こんにちは、FF7マニアのユウです!
今回はジェノバ・プロジェクトの責任者であり、なおかつエアリスの父親でもある『ガスト博士』の死亡場面について語っていきます。
物語の根幹に関わっている反面、作中ではイマイチ影が薄いガスト博士。
原作版FF7では、普通にプレイしているだけだと宝条やセフィロスの台詞の中でしか登場しないという体たらく。
それどころか、物語後半で訪れるアイシクルロッジにてビデオを再生するという任意イベントを起こさないと、どのような風貌なのかさえ分からないという始末。
セフィロスの実母である【ルクレツィア】ほどではありませんが、このガスト博士もある意味では中々の隠しキャラと言えるでしょう。
そんなガスト博士ですが、インターネット上では「宝条に殺害された」という言説が流布されています。
この言説は決して間違いではないのですが、だからと言って正解でもありません。
詰まるところ、全容を表している訳ではないのです。
…にも関わらず、公式書籍であるアルティマニアにも「ガスト博士は宝条に殺害された」という趣旨が述べられています。
古代種研究の第一人者でありであり、ジェノバを古代種と信じて「ジェノバ・プロジェクト」を立ち上げ古代種を増やそうとするが、研究途中で過ちに気付き辞職。
アイシクルロッジでイファルナの協力を得ながら、独自に研究を進めていた。
だが、娘が生まれて間もなく宝条に殺され、研究成果も奪われる。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 59ページより
【FF7】奥深いストーリーを理解するために役立つ書籍5選+α
この文章を書いたアルティマニアの制作スタッフは、残念ながら事実を曲解していると言わざるを得ません。
当然ながら、FF7マニアである筆者としては釈然としない気持ちがあります。
そこで、宝条の冤罪(?)を晴らすために、このような考察記事を執筆しようと思い立った次第です。

何でもかんでも宝条博士“だけ”を悪者扱いする風潮には、ぶっちゃけ違和感を禁じ得ないであります!

宝条はFF7における“嫌われ役”ではあるけど、プレイヤー側は“事実”と“感情”は分けて物語を咀嚼しないとな!
それでは、まず先に結論を述べます。
ガスト博士を殺害したのは宝条ではなく「宝条を護衛していた神羅兵」です。
しかも、宝条はガスト博士を殺す意図は無かったと推察されます。
は???
そんな訳あるか!!!
…と思う人もいるでしょうけど、筆者とて何の根拠もなくこのような主張をしている訳ではありません。
それでは、ここから先はいつものように“論より証拠”をモットーにして、ガスト博士の死亡場面について読み解いていきます。
ガスト博士が死亡した場面の一部始終

神羅兵を引き連れてガスト博士宅に押し入ってきた宝条

宝条にとって「元上司」であるガスト博士とは数年ぶり(?)の再会ということになる

「元部下」が突然やって来たことを訝しむガスト博士

宝条の台詞から察するに、ガスト博士の所在はとうの昔にバレていたようだ

ガスト博士は少なく見積もっても2年間は泳がされていたらしい

生後20日のエアリスに魔の手が伸びようとしていることを感じ取るガスト博士

宝条はここで初めてエアリスの名前を知った模様

「神羅と手を切った」と主張するガスト博士だが…

そう言われて素直に帰るほど宝条は善人ではない

娘の危機を察知して自ら犠牲になろうとするイファルナだが…

宝条は「イファルナ」と「エアリス」の2人を欲しているだ

「妻子を差し出せ」という通告に等しい宝条の発言(※詳しくは後述)

当然ながらガスト博士が承服するはずもなく…

宝条もまた武力行使も辞さない姿勢を露にするのであった…

ここで初めてカメラの存在に気付いた宝条

カメラが壊されたため、ここから先は「音声のみでお楽しみください」の状態になるだが…

「ドンッ」という物音から察するにガスト博士が抵抗したらしい

妻子を逃がすべく体を張るガスト博士であったが…

銃声と共にイファルナの悲鳴が響き渡る

この時の銃撃によってガスト博士は死亡した模様

その後、ガスト博士宅にあるビデオの存在に気付いた宝条

宝条にとってウェポンや古代種に関する情報は「宝」と呼ぶに値するものだったようだ
ガスト博士宅に残っていたビデオを再生すると、上記のイベントを見ることが出来ます。
途中で宝条の指示によって神羅兵がカメラを壊してしまうので、ガスト博士が絶命した肝心要の場面について詳細を窺い知ることは出来ません。
しかし、この一連の流れを見ると、宝条がガスト博士を殺すために来訪してきた訳ではないことは明らかです。
この場面における宝条の目的とは、古代種のサンプル(=イファルナ&エアリス)を手に入れることです。
つまり、ここでガスト博士が死亡したのは結果論なんですよね。
宝条やガスト博士の台詞、さらには物音の内容から察するに、ガスト博士はおそらく、宝条か神羅兵のどちらかに物理的な攻撃を加えたのでしょう。
この辺りは映像が無いため想像するしかありませんが、掴みかかるなり、飛びかかるなり、体当たりするなりしたと考えられます。
早い話、体を張って妻子を守ろうとした訳ですね。
これはガスト博士にとって、当たり前と言えば当たり前の行動なのですが…
ここで少しばかり視点を変えて「宝条を護衛している神羅兵」の立場で物事を考えてみましょう。
護衛対象である宝条が、神羅を辞めた科学者から暴行を受けそうになった。(または、制止する間もなく危害を加えられた)
これは「護衛」という立場上、絶対に看過できない行為です。
この神羅兵たちの仕事とは、護衛対象である宝条を守ることですからね。
つまり、宝条の安全を確保するためにガスト博士を射殺するという選択をした神羅兵の行為は、護衛としての職務を全うしたと言えるでしょう。

兵士たる者、護衛対象のために尽力するのは当然のことであります!

皮肉なことに、ガスト博士の行動が自身の死を招き寄せる“呼び水”になったという訳か…
付け加えると、宝条は神羅兵に対して「撃て」とか「殺せ」といった指示は一切出していません。
詳しくは後述しますが、この場面における宝条はガスト博士に対して“殺意”を抱いている訳ではないのです。
もちろん、この場面において宝条が「ガスト博士が射殺されるのを黙認した」と解釈するのも不可能ではありません。
…が、これも後述しますけど、宝条自身が多少なりともガスト博士の死を惜しんでいるような描写もあります。
よって、ここでの「ガスト博士が死亡する」という展開は、やはり宝条の本意ではなかったと考える方がシックリきます。
取りあえず、この一部始終から読み取れる“事実”は下記の2点です。
・宝条はガスト博士を殺す気はなかった
この“事実”に基づいて、宝条とガスト博士の言行についてより詳しく見ていきます。
宝条はガスト博士に“仲間意識”を抱いていた?

宝条にとってガスト博士とは“越えられない壁”であり“目の上のたん瘤”だったのだろう
まず大前提として、宝条がガスト博士に対して劣等感を抱いていたのは紛れもない事実です。
ヴィンセントの台詞によると、宝条はガスト博士と比較されることによって自分の凡庸さを痛感し、精神的に苦しんできたのだとか。
さらに興味深いのは、この二人の関係性です。
ジェノバ・プロジェクトの発足当初、ガスト博士は“責任者”であり、宝条は“助手”という立場でした。
平たく言えば、上司と部下という間柄だったという訳ですね。
そのような上下関係と相まって、宝条はガスト博士に対しして対抗心や嫉妬心といった“負の感情”を増大させていったと推測されます。

雇用主であるルーファウスからも“二流科学者”と揶揄される宝条
多分ですけど、宝条はこんな具合に負の感情を募らせていたのではないでしょうか?
このような暗い情念は並大抵ではなく、ガスト博士の死後も消えることはなかった。
それはセフィロスの台詞、さらに言えば宝条自身の台詞からも明らかです。

セフィロスが言う「偉大な科学者」とはガスト博士のことである

宝条がガスト博士に対して劣等感を抱いていることはセフィロスの目から見ても明らかだったのだろう

当の宝条も自分がガスト博士よりも劣っていることは認めているらしい
しかし!!!
だからと言って、宝条はガスト博士を殺そうとまではしていません。
実際のところ、宝条がガスト博士の家に来訪した場面をよくよく見てみると、このように言っています。

「星の運命を変える」とは、実はジェノバ・プロジェクト発足時からの理念だったのかも?
この場面、特に興味深いのが「わかってくれますよね」の件です。
そう、宝条はガスト博士に対して協力&承諾を呼びかけているのです。
ガスト博士からすれば、妻と娘を実験サンプルとして扱う気満々の宝条は、家族の平穏を脅かす敵でしかありません。
しかし、宝条側はガスト博士を一方的に敵視している訳ではないのです。
この場面、意訳するならば「貴方の妻子が研究に協力してくれれば、神羅カンパニーも、科学のレベルも、さらに発展する」といったところでしょうか。
これは、お世辞にも善意的な誘い方とは言えません。
しかしながら、善悪はともかく宝条はガスト博士に(武力の後ろ盾があるとはいえ)古代種研究についての承諾を求めているのです。
イファルナ&エアリスが神羅に来るとなれば、当然ながらガスト博士も付いてくるでしょう。
ここでの台詞を深読みすれば「また自分と共に古代種の研究をしましょう」と誘っているとの解釈もできます。
このような意図が「わかってくれますよね」という言葉に集約されていると筆者は考えています。

宝条博士は「星の運命を変えられる」とも言っておりますが、これはどういう意味でありますか?

古代種の力を借りて「約束の地(=魔晄が豊かな土地)」を見つけ出し、前人未到の偉業を成し遂げることが可能になる…といったところか?(多分)
さらに見方を変えると、宝条はガスト博士に対して“科学者としての理解”を求めているとの解釈も可能です。
ある種の仲間意識とでも言えば良いでしょうか。
何なら、描写を見た限りだとガスト博士が抵抗することについては予想外だったようにすら見えます。
これは裏返すと、宝条は割と本気でガスト博士が了承してくれると信じていた証左ではないでしょうか?

ガスト博士による抵抗について驚き(?)を隠せない宝条
これまた善悪は別としてですが、宝条の発言の端々からは科学者としての矜持が窺えます。
実例として、まだセフィロスが産まれる前の出来事について見てみましょう。
胎児にジェノバ細胞を植え付ける件について抗議してきたヴィンセントに対して、宝条は毅然とした態度で反論しています。
妻であるルクレツィアを含めて「私も彼女も科学者だ」と言い放つ様子からは、宝条なりのプライドが見て取れます。
このことから、宝条は「科学者たる者、あらゆる手段を用いて目的を達成するべし」と考えていることが分かります。

ルクレツィアの身を案じて宝条に詰め寄るヴィンセント

宝条独自の使命感や正義感みたいなものが窺える台詞である
実はこれ、ガスト博士にも通ずる理念なんですよね。
ガスト博士はジェノバ・プロジェクトの失敗を悟って神羅を辞めた後、性懲りもなく古代種を探し求めています。
その結果、奇跡的に現存していた純血古代種と出会ったのは周知の事実です。
そんな手前、宝条がガスト博士一家を“勧誘”するのは、ある意味では自然なことなのかもしれません。

セフィロスを実験体とした責任はガスト博士にもある訳だが、その因果が巡り巡って…
…みたいなことを宝条は考えていたのではないでしょうか?
ガスト博士が考案したジェノバ・プロジェクトによって、生まれる前から人生が狂ってしまったセフィロス。
そんなセフィロスの実父であり、なおかつガスト博士の助手(=部下)だった宝条。
この前提を踏まえて「わかってくれますよね」という台詞を分析すると、非常に重い一言であるように思える訳です。
胸の内で煮え滾る“劣等感”や“対抗心”。
同じ科学者としての“仲間意識”。
息子が実験体となったことへの“皮肉”あるいは“意趣返し”。
これらの感情や思惑があるからこそ、宝条はガスト博士を殺そうとまではしなかった。
イファルナ&エアリスを実験サンプルとして扱う様を、ガスト博士に見せ付けたかった。
“悪意”や“害意”はあれど、実のところ“殺意”までは抱いていなかった。
筆者はそのように解釈しています。
ガスト博士の死を惜しむ(?)宝条

非常に短い台詞ではあるが、意外と深い意味が込められているかも?
ガスト博士が射殺された場面を見てみると、宝条は「まあいい…」と言っています。
ガスト博士が無惨に殺されたことについて、一体何が「まあいい…」なのか?
この台詞、少しばかり“落胆”のニュアンスが滲んでいるように感じるのは筆者だけでしょうか?
目の前でガスト博士が死んだことについて、宝条にとっては多少なりとも不本意な展開だったのか?
…という訳で、この場面からは先述した通り「やはり宝条はガスト博士を殺す気はなかった」という事実が推測できます。
宝条は、ガスト博士に対して“敵意”に類する感情を抱いていた。
それは間違いない。
しかし、だからと言って“殺意”までは抱いていなかった。
そのことを裏付ける台詞が、この「まあいい…」なのだと筆者は解釈しています。

これは意訳すると「本当はガスト博士も生け捕りにしたかったけど、取りあえずイファルナ&エアリスを確保できたから良しとしよう…」といったところか?

宝条博士は「無駄な抵抗はしないでください」と忠告しているので、やはりガスト博士を殺す気はなかったと考えられるであります!

「抵抗さえしなければ手荒なことはしない」という意思表示をしている宝条
では、もし仮に…
あくまで仮にですが、宝条がガスト博士を殺したいと思うほど敵視していたら、一体どうなっていたでしょうか?
これまた筆者の推測ですが、宝条だったらきっと大笑いしていると思うんですよ。
それこそ、超デカい奇声を発して。

興奮すると「クァッ クァッ クァッ」と笑う宝条
…みたいな感じで、もし本当にガスト博士を憎み抜いているのなら、このような展開になってもおかしくないはず。
しかし、実際にはどうか?
微妙な心残りを感じさせる、どうにも煮え切らない台詞。
落胆と言うか、ガッカリ感と言うか、少なくともガスト博士が死んで大喜びしているという雰囲気ではありません。
そもそも「無駄な抵抗はしないでください」などと敬語で忠告している時点で、宝条はガスト博士に対して一定の礼儀を弁えているとの解釈もできます。
こんな具合に様々な感情を抱いている相手が想定外の死に方をした件について、宝条も内心では色々と思う部分があったのかもしれません。

そうは言っても、この数秒後にウェポン関連のビデオを見付けて宝条博士はほくそ笑むであります!

知的好奇心の対象を見付けた途端に通常運転に戻る辺りが、何と言うか宝条らしいな…

今まで知らなかった存在を目の当たりにして興奮を隠せない宝条
ガスト博士にとっての“最適解”は何だったのか?

傍目から見ると勇ましい言い草だが、実際のところは勘違いも甚だしい発言である
結果だけ見れば、まるでゴミクズのように呆気なく殺されてしまったガスト博士。
では、ガスト博士はどうすれば良かったのか?
宝条来訪の際、ガスト博士はどのように行動するべきだったのか?
…という訳で、あくまで “たらればの話”ではありますけど、この場面におけるガスト博士にとっての最適解について考えていきます。

“プレイヤー目線”という名の“神の視点”で、ガスト博士の軽挙妄動について徹底分析するぞ!!

宝条博士を擁護して、ガスト博士を酷評するとは…
管理人殿のようなFF7プレイヤーは珍しいであります…
まず初めに、ガスト博士の心情についてはよーく理解できます。
自宅に突然押し入って来た宝条と神羅兵を、何とかして追い払いたい。
産後間もない妻、そして生後間もない娘を守りたい。
いや、守らねばならない。
夫として、父親として、これは至極真っ当な感情です。
しかし、この一連の場面におけるガスト博士は決して賢いとは言えない行動を起こしています。
大体にして、非力な中年男性であるガスト博士が武装した神羅兵に対抗できるかと言うと、全くそんなことはありません。
バレットのような屈強な体躯を持ち合わせている訳ではない。
ティファのように格闘術を嗜んでいる訳でもない。
正味な話、爪も牙も持たない赤子同然の弱者でしかない訳ですよ。
「私はこんな奴らには負けない」などと豪語したガスト博士ですが、何の勝算があってこんな発言をしたのか、筆者にはサッパリ理解できません。
そんなザコ同然のガスト博士が神羅兵に挑むなど、無策を通り越して愚策なんですよね。
どこからどう見ても、勝ち目は皆無。
主人公補正を得た一般兵が英雄に挑むのとは、まるで訳が違う。
端的に言うと、彼我の戦力差を分析できていないのです。
もしかしたら何らかの科学兵器を用いて対抗する気だったのかもしれませんが、そのような描写は全くありませんし。
ただ感情的になって、宝条あるいは神羅兵に対して殴りかかった(または体当たりした)と思われる描写しか無いわけですから。
ハッキリ言って、ただの捨て鉢な行動にしか見えません。
この「明らかに分が悪い」という事実を認識できていなかった時点で、ガスト博士の命運は既に尽きていたと言えるでしょう。

科学者としては有能でも、非常事態になると冷静な判断力を失うタイプなのだろうか…?

きっとガスト博士は“科学的センス”にパラメーターを全振りしたような人物だったであります!
だったら、ガスト博士はどうするべきだったのか?
宝条が嫉妬するほどの“天才”ならば、その優秀な頭脳をどのように活用すれば良かったのか?
これは筆者の私見ですが、この場は取りあえず宝条に従えば良かったんじゃないですかね?
妻子共々、唯々諾々として神羅カンパニーへと赴き、古代種の研究に協力する。
つまり、一旦は宝条の言いなりになる訳です。
その後、神羅カンパニーの中で何らかの行動を起こせば良い。
例えば、プレジデントに直談判して、約束の地の捜索について妻子を協力させる代わりに、彼女たちの安全を保障してもらうように交渉するとか。
それこそ、ガスト博士は天才と呼ばれた人物です。
そんな人物が「約束の地は自分が責任を持って見付けるから、妻子には危害を加えないでくれ」とでも言えば、プレジデントなら聞く耳を持ってくれた可能性もあるのではないでしょうか?
このような交渉方法は純血古代種からすれば承服できかねるものに違いないですが、この場合は致し方ないかと。

目的達成のためなら、手段にはあまり拘りが無さそうなプレジデント
極端なことを言えば、神羅は約束の地を見付けるために古代種を欲しているのであって、古代種それ自体は目的という訳ではありませんし。
古代種を現代に復活させようとしたジェノバ・プロジェクトだって、本来は「効率よく約束の地(=魔晄が豊かな土地)を見付ける」という目的に基づいて始動した計画ですし。
ガスト博士にとって、目下の課題は「妻子に危害が及ばないようにすること」なのだから、面従腹背を決め込むのは決して悪手ではなかったはずです。
あるいは、自ら率先して科学部門での仕事をこなすことで実績と信頼を集め、社内政治の末に宝条から古代種研究の実権を奪うとか。
はたまた、実際にイファルナ&エアリスがやったように神羅内での軟禁生活から隙を見て逃げるとか。
…とまあ、ガスト博士に先見の明があれば、このような手段を選ぶことだって出来たはずです。
少なくとも、アイシクルロッジで射殺されるという結末は避けられたでしょう。
さらに付け加えると、ゲーム本編のように妻子二人だけが神羅ビルの中で過酷な日々を強いられ、イファルナに至っては衰弱死するという“最悪な展開”だって回避できた可能性すらあります。

社内での根回しによって妻子を守ることもまた、家庭人としては立派な“戦い”となり得ただろうに…

でも、ガスト博士の人柄を考えると社内政治とかは苦手そうですな…
もちろん、これは筆者目線での意見に過ぎません。
当事者であるガスト博士からすれば「あんなブラック企業に妻子が連れて行かれるなんて冗談じゃない!」という感情の方が圧倒的に勝るでしょう。
しかし、ここでガスト博士が“感情”ではなく“理性”の方を働かせていれば、後々の展開も変わっていたのではないか?
ガスト博士が生存していれば、イファルナやエアリスもゲーム本編とは異なる運命を辿ったのではないか?
…という想像をしてみると、結果的にイファルナ&エアリスを窮地に追いやったのは、実はガスト博士の“短慮”が一因なのかもしれません。
まとめ:ガスト博士の“短慮”が自身の死を招いた

軽率・無責任・安易な行動の積み重ねが、ガスト博士自身を死に至らしめたのかもしれない…
ガスト博士が死亡した一部始終において、直接的な原因は間違いなく宝条にあります。
これは疑いの余地などない事実である反面、宝条がガスト博士殺害の下手人だとは言い難い。
そもそも、宝条もあくまで神羅カンパニーの一員として動いているという事を忘れてはなりません。
やり方に問題こそあるものの、現代まで生き残っていた純血古代種に協力を求めること自体は、神羅が約束の地を探し出すためには当然の手段だと言えます。
そうは言っても、宝条の場合は「神羅の一員」としての使命感よりも、「科学者」としての欲求の方が勝っているのは明らかです。
イファルナ&エアリスを実験サンプルにする気満々の宝条からは、FF7屈指の外道臭さが漂っています。
つまり、結局のところ悪いのは宝条である。
それは、誰の目から見ても明らかです。
ですが、その一方でガスト博士にも“落ち度”はあります。
科学者として持ち合わせていたであろう理性を働かせるのではなく、家庭人としての感情を優先してしまったことが、自身の命を落とすという結末を呼び込んでしまった。
さらに言えば、ガスト博士が幼いセフィロスを放り出して行方をくらませたことも、今回の一件に絡んでいるときた。
ジェノバ・プロジェクトを中途半端な形で放棄したという点については、ガスト博士にもやっぱり責任はあると思います。
宝条からしたら、そういったガスト博士の姿勢も気に食わなかったのかも知れませんし。
そんな各場面における“短慮”の積み重ねが、自身の死を招いた。
ある意味、これは因果応報とも言えます。

ガスト博士と宝条の因縁が、子供世代であるエアリスとセフィロスにまで及ぶ辺りが業の深さを感じさせるよ…

エアリス殿とセフィロス殿の因縁は、二人が生まれる前から始まっていたであります!
それにしても、このガスト博士という人物。
無惨に死ぬべき人間とまでは言いませんが、理不尽な死に方をしても仕方ないだけの所業をやらかしています。
故意ではないとはいえ、ジェノバを古代種と誤認したり。
ジェノバ・プロジェクトの“成果”として生まれたセフィロスを放り出して失踪したり。
しかも【ルクレツィア】のように隠遁生活をする訳でもなく、暗い過去に蓋をするようにして純血古代種を探し出したり。
こんな具合に、ガスト博士の行為には糾弾されるべき点が多々あります。
宝条が“悪”ならば、ガスト博士は“無責任”といったところでしょうか。
何れにしても、実父がこのような人物であることを知らないまま逝った娘は、考えようによっては幸せだったのかもしれません。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました!
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