こんにちは、FF大好きのユウです!
FF7の発端にして元凶とも呼ぶべき宇宙生物「ジェノバ」。
物語の根幹に関わる存在であり、作中では驚異的なトンデモ能力を幾つも披露してくれました。
限りなく不死に近い生命力。
相手の記憶を読み取って姿形を変える擬態能力。
身体をバラバラにされても細胞単位で呼び合うリユニオン能力。
プレイヤーが操作するクラウド一行と敵対したのはもちろんのこと、本編の2000年前には古代種を絶滅寸前にまで追い込んだ罪深いヤツです。
まあ、FF7の本編中ではセフィロスの傀儡みたいな扱いをされているけど…
しかしながら、です。
ジェノバの「能力」については作中でしっかり解説されているものの、その一方で「目的」については全くと言って良いほど触れられていません。
何を求めて、FF7の「星」へと飛来したのか?
それ以前は、宇宙のどこで何をしていたのか?
ジェノバは何を考え、何がしたくて生きているのか?
いや、そもそも「目的」について考えるだけの脳ミソを持っているのか?
こいつの「目的」は謎に包まれており、なおかつ原作版FF7では、その点について何も掘り下げも無いまま物語が幕を閉じてしまいました。
そんなこんなで、ジェノバの「目的」については、プレイヤーの間で様々な俗説が囁かれるようになる始末。
もはや、何が正しくて、何が間違っているかも分からない。
そう言ってもいい程に、インターネット上に溢れているジェノバ関連の情報。
果たして、ジェノバに関する“真実”はどこにあるのか?
…という訳で、20年以上もFF7を愛してやまない筆者が、本気を出して「ジェノバの目的」に関して考察してみることにしました。
原作版FF7だけでなく、FF7ACやFF7CCといった派生作品。
さらには、公式から発売されているアルティマニアや小説といった書籍類。
これら、ありとあらゆるFF7関連の作品を筆者は所持しています。
そこで、各作品に散りばめられた数少ないヒントに基づいて「ジェノバの目的」について読み解いていこうと思います!
本記事にはネタバレが多数含まれていますので、閲覧は自己責任でお願いします!
大前提:ジェノバがライフストリームを食糧としている描写は一切無い
ジェノバの目的について調べて見ると、インターネット上ではこのような言説が流布されています。
(※もし気になる人は「ジェノバ 目的」でGoogle検索してみてください。)
しかしながら、原作版FF7において「ジェノバが生命活動のためにライフストリームを食糧としている」という描写は全く存在しません。
実際のところ、ジェノバとライフストリームを関連付けられるだけの明確な根拠が無いのです。
これはFF7ACといった派生作品、FF7関連の攻略本や小説、さらには令和以降に発売したFF7リメイクシリーズにおいても同様です。
よって、ジェノバはライフストリームを食い尽くすためにFF7の「星」へとやって来た…という言説は誤りであると言えます。
大切なことなので、もう一度言いますよ。
ジェノバはライフストリームを食い尽くすためにFF7の「星」へとやって来た…という言説は誤りです!!
少なくとも、FF7関連の作品を全てプレイし、なおかつFF7関連の公式書籍を隅々まで読み込んでいる筆者としては、そのように考えています。
原作版FF7をプレイした人ならば知っての通り、ジェノバは古代種に敗れた後、仮死状態のまま約2000年も地中に封印されていました。
当然ながら、この2000年間は“飲まず食わず”の状態です。
ライフストリームを食べる(または吸う)どころか、地中にいる虫一匹すら捕食していないと思われます。
まあ、ジェノバの生態を人間と比較すること自体、ナンセンスかもしれませんが…
このことから、ジェノバは外部から栄養的なモノを摂取しなくても、何の問題もなく生きられる生物であるいう可能性すらあります。
エヴァンゲリオンの使徒みたいに、体内でエネルギーを無限に生み出せるような永久機関でも持っているのかね…
では、なぜ「ジェノバはライフストリームを食い尽くす生物である」という言説がここまで広がったのでしょうか?
私見ですが、これはFF7が発売された時期に関係があると筆者は推測しています。
FF7が発売した1990年代、旧スクウェア社から発売されたゲームには「星(=大地または自然)のエネルギーを食い荒らす系の敵」が数多くいました。
代表的なところだと、下記のような感じですね。
◎1998年 ゼノギアス:デウス
◎1999年 サガフロンティア2:エッグ
ラヴォスに至っては「星の内側から全ての生物の遺伝子を食らって自己進化を遂げる」という超ヤバい生物である!
こいつらは何れも星(=大地または自然)にとっては害悪な連中です。
まさに“百害あって一利なし”といった存在。
そういった意味では、ジェノバと類似している悪役と言えます。
しかも、先述した「星(=大地または自然)のエネルギーを食い荒らす」という厄介な特徴は別として、こいつらはジェノバとの共通点を数多く持っています。
例えば、ラヴォスは星との衝突した際に、当時隆盛を極めていた恐竜人を絶滅に追い込んでいます。
これはジェノバがFF7本編の2000年前に古代種と戦い、彼らを絶滅寸前にまで追い込んだ構図と似ています。
また、ラヴォスは成長して世界滅ぼした後、「プチラヴォス」と呼ばれる分身を多数生み出し、“親”であるラヴォス本体は別の星へと旅立っています。
この点については、セフィロス・コピーを彷彿とさせる設定であると言えるでしょう。
デウスに関しては、一言でまとめると「惑星規模の生体兵器」と呼ぶべき存在です。
こいつはですね、何と“人間を生体パーツとして自身に取り込む”という特性を備えています。
これは端的に言うと、ジェノバのリユニオン能力にも通じる要素です。
エッグも中々のヤバさでして、サガフロンティア2世界におけるアニマ(=ライフストリーム的なもの)を悪用して、人類に災いをもたらしています。
エッグの正体は“先行種族の精神を封じた器”なので、人類と先行種族との生存競争という見方も出来るけどな…
どれもこれも、人類にとっては迷惑極まりない行為ばかり。
当然ながら、悪い意味で世界環境を激変させている。
早い話、ラヴォス・デウス・エッグともに“人類の天敵”とも呼ぶべき存在という訳です。
FF7が発売した1997年の前後において、これらの悪役たちはジェノバに勝るとも劣らないインパクトがありました。
以上の内容を踏まえて、もう一度ジェノバについて考えてみましょう。
同じ旧スクウェア社から発売された他作品でも、ジェノバのようなヤバい生物(あるいは物体)が存在していた。
和解はおろか、対話さえも望めない相手。
しかも、そいつらの悪行は世界規模ときた。
そんな奴らが悪役として登場するゲームが次々と発売されていたのが、1990年代という時代です。
(※この時期に発売されたゲームは好評を博したものが多く、今日では「スクウェア黄金時代」と呼ばれたりしています。)
このような時代背景、さらにはプレイヤーの先入観と相まって、FF7と他作品の悪役の特徴を混同した「ジェノバはライフストリームを食い荒らす宇宙生物である」という言説が誕生したのだと思います。
しかし、繰り返しになりますけど「ジェノバがライフストリームを食糧としている」と思しき場面について、FF7関連の各種作品・書籍においては一切確認されていません。
ゲームでも、攻略本でも、小説でも、そのような説を裏付ける描写は全く無いのです。
むしろジェノバが生命活動のためにライフストリームを食べるなり吸うなりしている場面を知っている人がいたら、本記事のコメント欄にて教えていただきたいです!
では、ジェノバは何を目的としてFF7の「星」へと飛来したのか?
何か明確な目的があって、わざわざ「星」へと激突したのか?
宇宙を漂っていたら、たまたま見かけた「星」に興味本位で立ち寄ってみただけなのか?
FF7本編から遡ること2000年前、古代種が栄えていた「星」にジェノバが降って来たのは、偶然か、必然か。
何かと謎が多い生物ですが、ここから先は数少ない手掛かりを見つつ、「ジェノバの目的」について考えていきます。
考察:ジェノバが宇宙から飛来した目的とは?
先述した通り、これが筆者の考え方です。
だったら、何がジェノバを突き動かすのか?
ジェノバは、何を求めて生きているのか?
その点について推し測るには、やはりジェノバの行動履歴を辿ってみるのが最も良いでしょう。
ジェノバの歴史は、FF7の物語の歴史でもあるからな!
さて、FF7の本編から遡ること2000年間、ジェノバは古代種と戦い、そして敗れています。
擬態能力に加えて相手をモンスター化させるウイルスを駆使し、古代種を絶滅寸前まで追い詰めたものの、わずかに生き残った古代種たちに地中深くに封印されたジェノバ。
そこから約2,000年もの間、ジェノバはガスト博士に発見されるまで“仮死状態”のまま長い時を過ごすことになります。
その後、ジェノバを古代種と誤認したガスト博士によって「ジェノバ・プロジェクト」が立ち上がり、FF7本編の話へと繋がっていきます。
そんなこんなで、神羅カンパニーによってその細胞を利用され、セフィロスをはじめとするソルジャーたちの根幹を関わるようになったジェノバ。
早い話、ジェノバがいたからこそ、セフィロスが生まれ、ソルジャーが生まれ、増大した武力によって神羅カンパニーは世界を牛耳るにまで至ったのです。
しかし!!!
それはジェノバ自身の意志ではなく、結局のところ神羅の科学者(=ガスト博士や宝条)による仕業です。
ジェノバ・プロジェクト始動からFF7本編開始までの約30年間において、ジェノバ自身は何の悪さもしていません。
(※むしろ、ガスト博士や宝条によって勝手に細胞を採取され続けたという意味では“被害者”と言えなくもない。)
そして、いよいよ始まったFF7本編の時間軸において、クラウド一行と幾度となく戦ったジェノバですが…
結局のところ、何れの場合でもジェノバはセフィロスの意志に従って戦っていただけです。
エアリスを殺した悪名高い「ジェノバLIFE」という個体も、結局はセフィロスの傀儡に過ぎなかったしな…
FF7はエアリスが死亡するからこそ“名作”との評価を得たのではないか?
では、セフィロスという要素を切り離して、ジェノバ本来の目的なり生態なりについて考えてみましょう。
大体にして、こいつは一体何がしたくて宇宙から飛来したのか?
そもそもな話、ジェノバという生物に「目的」はあるのか?
…と言うか、ジェノバに「目的」を考えるだけの脳ミソはあるのか?
これらの点に関して、FF7の派生作品を含めて、参考となる描写について読み解いていきます。
考察材料①:FF7アルティマニアΩの記載内容
この星ではない、宇宙のどこかに棲息する知的生命体。
約2000年前、ノルズポル(現在のアイシクルロッジ周辺)に飛来し、星に悪影響を与え、当時まだ数多く存在していた古代種に「空から来た厄災」と恐れられた。
性質は残虐で、攻撃性が高い上に狡猾。
破壊の先の創造などは考えず、ただ自分以外のものを滅ぼそうという本能に従い、「擬態能力」(→P.211)も利用してウィルスを植えつけ、他の生物を侵略していく。
また、生命力が異様に高いのも特徴で、たとえバラバラにされても細胞同士が呼び合い、もとの姿に再生することができる(→リユニオン/P.211)。
ジェノバと星が衝突した跡はクレーターとなって今も残り、「北の大空洞」と呼ばれている。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 210ページより
原作版FF7において、ストーリーの解像度が最も高く、なおかつ裏設定についても網羅&解説されている書籍は、間違いなくこのアルティマニアΩです。
FF7アルティマニアΩの210P~213Pにジェノバ関連の情報がギッシリと記載されている訳ですが…
再三のことですけど、先述した「ジェノバはライフストリームを食い尽くす生物である」といった趣旨の記述は一切ありません。
(※「擬態能力」や「リユニオン」については詳しく解説されていますけど。)
詰まるところ、アルティマニアΩのような辞書みたいに分厚い書籍にすら、「ジェノバが星へと飛来した目的」については明記されていないのです。
しかし、ジェノバの目的について推測するヒントとなる箇所はあります。
それは「自分以外のものを滅ぼそうという本能」という部分です。
では、そもそも「本能」とは何でしょうか?
言葉の定義だけを考えるならば、「後天的な経験・学習を経ずに、生物が先天的に備えている行動様式」といったところですかね。
人間で例えるなら、腹が減ったら何かを食べ、喉が渇いたら水を飲むようなものです。
これをジェノバに置き換えて考えるならば、「生物・非生物を問わず他者を攻撃せずにはいられない性質」とでも表現すれば良いでしょうか。
実際のところ、ジェノバに非生物(岩とか建造物とか)への破壊欲求がどの程度あるのかは不明だけど…
目に映ったもの全てを、片っ端から殺す、または壊す。
その行為に深い理由は無くて、ただ単純に湧き起こってくる破壊衝動に身を委ねているだけ。
しかも、その衝動は決して鎮まらないときた。
相手が友好的か、敵対的かなんて一切関係ナシ。
とにかく、殺したくて仕方ない。
とにかく、壊したくて堪らない。
その一方で、ただの力押しだけではなく、搦手にも長けている。
もし相手が手強い場合は、擬態能力を使って騙し討ちをしたり、ウィルスをバラ撒いてモンスター化させたり、狡賢い作戦だって何のその。
オマケに、限りなく不死に近い生命力と相まって、そう簡単にはくたばらない。
こんな具合に、性格も、能力も、ただひたすら“相手を滅ぼす”という方向に特化している宇宙生物。
それがジェノバという存在です。
こんなトンデモ生物、古代種たちにとっては文字通りの“厄災”だわな…
このように危険極まりないジェノバですが、ただ単に破壊なり殺戮なりをしたいだけの生物なら、別にFF7の「星」に来なくても良かったはずです。
無人の惑星にでも行って、そこで適当に破壊活動を楽しんでいれば良かっただろうに。
あるいは、ジェノバと同類のような宇宙生物がいる星にでも行って、そいつらを相手にドンパチしていても良いだろうに。
(※そもそも宇宙にジェノバ以外の宇宙生物がいるかどうかは不明ですが。)
なぜ、ジェノバはわざわざFF7の「星」を標的として見定めたのか?
何らかの理由があってFF7の「星」へとやって来たのか?
この点についても謎が多いですが、ヒントとなる描写はあります。
それが次に紹介するカダージュの発言です。
考察材料②:カダージュの発言
母さんは長い旅をしてこの星へやって来た
愚かな連中を宇宙から滅ぼすために
引用:FINAL FANTASY Ⅶ ADVENT CHILDREN
原作版FF7の2年後を描いた映像作品であるアドベントチルドレン(通称:AC)。
この作品にて、悪役の一人であるカダージュが上記のような発言をしました。
カダージュはセフィロスの思念体であり、ジェノバに連なる人物でもあります。
つまり、カダージュもまた「ジェノバの息子」と呼んで差し支えない存在なんですよね。
このような背景もあって、カダージュもまたジェノバのことを「母さん」と呼んでいます。
そんなカダージュの視点から語られた、「星」へと飛来する以前のジェノバ。
これは大変興味深い描写です。
「愚かな連中」
「宇宙から滅ぼす」
これらの言葉尻から、どのような解釈が出来るでしょうか?
ジェノバが宇宙空間での放浪生活に疲れ果て、餓死寸前のタイミングでFF7の「星」を食糧にしようと思い付いたのでしょうか?
いやいや、本記事の序盤で述べた通り、ジェノバがライフストリームを食糧としている描写は全く存在しません。
腹が減ったジェノバは“餌場”を求めてFF7の「星」に来た…という可能性は無いと考えられる
では、一体なぜジェノバはFF7の「星」へと訪れたのか?
そもそも、ジェノバが「星」へと来たのは偶然なのか?
それとも、必然なのか?
この点について、筆者としては後者だと考えています。
一連のカダージュの発言が真実だとするならば、もしかするとジェノバは“敵”を求めて宇宙を漂っていたのかもしれません。
カダージュの発言から察するに、FF7の「星」に来る前に、他の星でも「愚かな連中」と戦い、滅亡へと至らしめた可能性も低くはなさそうですし。
(※ジェノバ視点での「愚か」の定義は不明ですけど。)
色々な星へと赴き、その星に生息している生物を皆殺しにする。
そして、その星での殺戮行為に飽きたら、別の敵を求めて再び宇宙へと旅立つ。
ジェノバにとって、それはライフワークのようなものなのかもしれません。
まるでドラゴンボールのサイヤ人(=登場初期のベジータ)みたいな生活だな…
自分の力を存分に振るい、心ゆくまま破壊と殺戮を行える環境。
なおかつ、攻撃対象となる相手が数多くいる惑星ならば万々歳。
さぁ、次の敵は何処のどいつだ!!?
…というような思考をしている最中に、たまたまFF7の「星」を見付けてしまったのかもしれませんね。
ジェノバが古代種と戦い、そして彼らを絶滅寸前に追い込んだという経緯を考えると、少なくともジェノバの視点からは古代種が「愚かな連中」に見えていたでしょうし。
そうは言っても、何がどのように「愚か」だと思ったのかは皆目不明です。
魔法を使えるという点が気に食わなかったのか?
自分に敵対することが癇に障ったのか?
その辺りは定かではありませんが、ジェノバにとって古代種たちは「ムカつく存在」であったことは間違いなさそうです。
(その後、古代種たちと対面)
まさにバトル脳の極致とでも呼ぶべき様相ですが…
ジェノバにとって戦う・殺す・壊すといった行動は「本能」に沿ったものなので、そこに深い意図などは存在しないと考えられます。
…とまあ、こんな感じで古代種への敵意が赴くままに、2000年前のジェノバは暴れていたのかなと。
何と言うか、アレですね。
街中で柄の悪いヤンキーが突然喧嘩を売りつけてきたみたいな。
しかも、因縁を吹っ掛けた理由としては、ただ単に「何となくムカつく」という程度のもの。
ムカつくから、出会い頭から戦わずにはいられない。
ジェノバがFF7の「星」へと飛来し、古代種たちと戦った理由とは、案外こんなものなのかもしれません。
何だか、FF8でサイファーがスコールを敵視していた構図に似ている気がする…
もはや言うまでもないことですが、ジェノバが好戦的な生物であることは間違いありません。
なおかつ、ジェノバにとって“闘争欲求”を満たしてくれる相手として、強さという観点から考えるに古代種たちは適当だったと。
このような複合要因によって、ジェノバはFF7の「星」へと飛来した…という解釈も一興かもしれません。
考察材料③:セフィロスの発言
私の望みはな、クラウド…
この星を船として宇宙の闇を旅することだ
かつて母がそうしたようにな
やがて我らは新たな星を見出し、その地で輝ける未来を創造する
引用:FINAL FANTASY Ⅶ ADVENT CHILDREN
ACの終盤、カダージュとジェノバ細胞を媒介として蘇ってしまったセフィロス。
そんなセフィロスの口から、自身の目的と共にジェノバの過去について語られました。
抽象的な言葉・表現が多いものの、先ほど触れたカダージュの発言内容よりも解像度が高いことは間違いありません。
セフィロスが言う「輝ける未来」が何なのかは全く不明です。
しかしながら、ジェノバの生態を考えるに、おそらくは殺戮ライフを楽しむことを指しているのではないかと筆者は想像しています。
ただし、その前段階として2つの行程があることが判明しました。
②船と化した星に乗って宇宙を旅する
2005年にFF7ACが発売した当時、セフィロスが語った上記の行程は「宇宙船地球号計画」などと呼ばれました。
事実、星そのものを宇宙船として利用しようとしている訳ですから、言い得て妙な表現ではあります。
早い話、セフィロスなりジェノバなりが「新たな星」へと行くためには、当然ながら宇宙空間を「旅」する必要があると。
そして、その「旅」のためには「船」が必要だから、FF7の「星」を「船」に改造しようとした。
詰まるところ、そういった話です。
この行動原理はゼノギアスのデウスそのまんまだな…
FF7本編から遡ること、実に2000年も前の時代。
FF7の「星」飛来してくる際、ジェノバは全く手段を用いたという訳ですね。
実際のところ、FF7ACでカダージュが「母さんは長い旅をしてこの星へやって来た」と発言した際、イメージ映像としてメテオが星へと近づく様子が描写されています。
つまり、ジェノバは小規模の「星」に乗っている状態で、FF7の「星」へと降下したと考えて良いでしょう。
余談だけど、FF7ACが発売するまでジェノバは体一つで空から降ってきたと考えられていたんだよね…
だって原作版FF7ではジェノバが隕石に乗ってきた描写なんて一切なかったしなぁ…
ジェノバの主目的とは、端的に言えば殺戮ライフであると考えられます。
しかし、その目的実現のための手段として「自分が今いる星を船化する」という行為もまた、ジェノバにとって重要であることが窺えます。
仮にですが、ジェノバが今いる「星」での殺戮ライフを終えたとします。
その時、ジェノバを待っているものは“退屈”または“孤独”です。
だって、攻撃できる対象を全て殺し尽くしてしまったら、最後に残るのは自分だけですからね。
でも、ジェノバは殺戮ライフを楽しみたい。
殺す相手、壊す対象、暴れる理由。
それらが、欲しくて欲しくて仕方がない。
でも、周りを見渡しても生物らしい生物は全て殺し尽くしてしまった。
だったら、新しい「星」へと行き、殺せる対象を探すしかない。
ジェノバの考え方(?)としては、大体こんなところでしょうか。
いくらジェノバと言えど、単身では宇宙には飛び出せない。
だったら、星そのものを改造することで“船化”して、他星への移動を実行するのみ。
スケールこそ壮大な話ですが、理屈としてはとてもシンプルです。
カダージュやセフィロスの発言から察するに、ジェノバがFF7の「星」へと飛来する以前、ジェノバは「別の星」を船として宇宙を漂っていたのは間違いありませんからね。
そうは言っても、かつてジェノバがどのような手段で星を“船化”したのかは不明です。
FF7ACのセフィロスように、星痕症候群みたいな病を流行らせて、星の生命循環システムを乗っ取ったのか。
それとも、重力魔法や隕石魔法の応用によって、ある種の力技で星を動かしたのか。
あるいは、FF7DCで登場した箱舟のような物体に便乗でもしたのか。
はたまた、FF7の派生作品でも明かされていない、未知の技法でも用いたのか。
公式からは何の回答も示されていないだけに、ジェノバの過去には興味が尽きないところです。
ゼノギアスのデウスみたいに“惑星改造”でもしたのだろうか…?
FF7アルティマニアΩによると、ジェノバは「知的生命体」であるとされています。
このことから、善悪はともかくとして、ジェノバが知性を持ち合わせている生物であることは明白です。
つまり、ジェノバはバトル脳の持ち主でありながらも、単なる脳筋ではないことが窺えます。
決して、オツムが弱い訳ではない。
だからこそ、現状を打破するために、努力なり試行錯誤なりをする。
これは生物の常であり、ジェノバもご多分に漏れず、方向性はともかくとして知恵を絞ることには余念が無かったのかもしれません。
限りなく不死に近い生命力をフル活用し、何千年、あるいは何万年という長い歳月を費やし、その末に星を“船化”するための手段を確立したと。
気が遠くなるほどの時間をかけて、惑星移動さえも可能にした知的生命体。
もしそうだとしたら、ジェノバはFFシリーズ屈指のトンデモ生物であると言えそうです。
仮にですけど、FF7の宇宙にジェノバと同種の生命体が複数いたとしたら、人類にとっては遅かれ早かれ滅亡必至もいいところですね。
余談:セフィロスは「神」になって何がしたかったのか?
セフィロスは原作版FF7の中盤で、自分は「神」を目指していると発言しています。
(※ここで喋っているのは、実際には“セフィロスに擬態したジェノバ”ですが、ジェノバ自体がセフィロスの意志で動いている状態ですので、これは紛れもなくセフィロスが発した台詞だと言えます。)
黒マテリアを用いて、宇宙から巨大隕石を呼び寄せる。
そのメテオによって「星」を傷付け、その衝突地点に集まってきた大量のライフストリームと同化する。
そして、神として生まれ変わる。
ファイナルファンタジーの悪役らしい壮大な目的ですが、この件には意外な盲点があります。
セフィロスにとって「メテオによって星を傷つける」「ライフストリームと同化する」のは、あくまで神になるための手段です。
セフィロスにとって大切なのは、とにかく神になること。
FF7世界における「神」の定義はサッパリ分かりませんが、セフィロスは神様になりたくて仕方がない…という訳ですね。
FF7ではメテオのインパクトが強過ぎて忘れられがちですが、豹変後のセフィロスにおける主目的はコレです。
要するに、万物の支配者として君臨する存在になりたいってことだろうな…
誤解されがちですけど、セフィロスはメテオによって星を滅ぼしたい訳ではありません。
むしろ、「神になる」というセフィロスの目的から逆算して考えると、メテオによって星が完全に粉砕され、宇宙の塵になってしまうのは悪手なんですよね。
外傷を癒すためにライフストリームが一箇所に集まるどころか、ライフストリームそのものが宇宙空間に四散しかねない程のダメージを星に与えてしまったら、本末転倒もいいところです。
よって、セフィロスにとっては「星が完全には壊れない程度に傷つける」ということが肝要なのです。
そして、ここで新たな疑問が生じます。
セフィロスは神になって、一体何がしたかったのか?
…という点です。
星と同化し、神にも等しい存在になりさえすれば、それで満足なのか。
それとも、神の如き存在へと昇華することで、初めて可能となる何かがあったのか。
これは1997年に発売した原作版FF7では明らかにならなかった部分であり、だからこそ原作をプレイしたファンの間では盛んに議論が交わされていた点でもあります。
しかし、2005年に発売したFF7ACによって、セフィロスの“真の目的”がようやく垣間見えました。
先述した通り、FF7ACにてセフィロスは「やがて我らは新たな星を見出し、その地で輝ける未来を創造する」と発言しています。
詰まるところ、これこそがセフィロスの将来設計であり、なおかつジェノバの生態に倣った行為でもあると言えます。
この事実と照らし合わせると、原作版FF7で語られた「神になること」さえも、セフィロスにとっては「最終目的(=別の星へ行くこと)を実現するための手段かつ過程でしかなかった」という解釈が成り立ちます。
星と同化して、神にも等しい存在となる。
それは即ち、FF7の「星」そのものがセフィロスの手足のような存在となることを意味しています。
他のFFシリーズで例えるなら、FF9で「老いた星」が「若い星」を乗っ取ろうとした構図に似ている気がしますね。
そうは言っても、テラはガイアと中途半端な形でしか融合できなかった訳だけど…
セフィロスと同化し、セフィロスの傀儡へと成り果てた「星」。
陳腐な表現ですが「セフィロス星」とでも呼ぶべき状態にでもなったら、セフィロスの意志に沿って、宇宙空間を自由に動き回ることだって可能かもしれません。
FF7の世界観を考えれば、重力魔法の応用によって引力や推力を生み出し、自分が望む方向へと星を動かせたとしても、何ら不思議ではありません。
…というか、セフィロスならばその程度のことは簡単にやってのけそうです。(汗)
そんなこんなで宇宙を「旅」した末に、良さげな「新しい星」を発見できたら万々歳。
なおかつ、その「新しい星」に人類のような知的生命体が栄えていれば、セフィロスとしては御の字といったところでしょうか。
あとは、ジェノバよろしくの殺戮ライフを、今度はセフィロスが実行するのみです。
ニブルヘイム事件の時と同じく、理由なき無差別殺人によって充実感MAXの状態となること待ったなし。
仕舞には「母さん、やっぱり破壊と殺戮は気持ち良くて止められないね」とでも言い出しそうです。
こうしてセフィロスの発言なり行動なりを読み解いていくと、こいつはマジで頭がイカれているな…
それから完全に余談ですけど、筆者が注目しているのは、セフィロスが目指したのは「王」ではなく「神」であるという点です。
これは地味ながら注目に値するポイントだと思っています。
…というのも、歴代のFFシリーズに登場する悪役たちとは少しばかり毛色が異なる目的だからです。
ただ単に支配欲を満たしたいのなら、誰も逆らえない力を以って、世界の「王」として君臨すれば良いではないか。
他のFF作品で例えるなら、FF2の皇帝とか、FF6のケフカとか、FF9のクジャみたいな感じで。
圧倒的な力を手に入れて、誰からも命令されることなく、自由気ままに暴虐の限りを尽くす。
至高の存在となった後の望みは、ただそれだけ。
殺して、壊して、他者を害しまくることについて愉悦を見出す。
もしそれを実行したいのなら、強者という立場で人類社会の頂点に立つのが最も手っ取り早いはずです。
しかし、セフィロスはそのような活動には及んでいません。
むしろ、もっとスケールが大きいことをやっています。
つまり、セフィロスは「世界(=人類社会)」だけではなく「星(=自然)」をも支配したかったという訳ですね。
そもそも、セフィロスは「人間」という枠には拘っていないようですし。
歴代のFFシリーズの悪役たちを見ても、ここまでの支配欲を発揮している奴は中々いません。
まさに、飽くなき支配欲の持ち主。
これはジェノバの影響によるものなのか、それともセフィロス自身も自覚していなかった彼本来の気質なのか。
FF7のストーリーを見た限りだと、おそらく前者である気がしますが…
何れにせよ、セフィロスの精神構造は常識では測れない域に達していることは間違ないです。
まとめ:ジェノバは極端なバトル脳の持ち主である可能性が高い
まるで息を吸うのと同じレベルで、戦い、殺し、壊す。
それこそがジェノバの「本能」であり、そこには深慮遠謀などは一切ナシ。
己の内から湧いてくる衝動に従い、他者を害することに命を懸ける厄介者。
それがジェノバという生物の本質なのかなぁと筆者は考えています。
結局のところ、ジェノバには目的らしい目的は無くて、本能のままに殺戮ライフを送ることを考えているだけなのかと。
早い話、とんでもなく極端な“バトル脳”の持ち主という訳です!
…で、当然ながら一連の暴力行為には“敵”が必要です。
戦う相手、殺す相手、壊す相手。
FF7の作中では、その相手として不幸なことに古代種が選ばれてしまいました。
結果的にジェノバは古代種に敗れ、地中深くに封印されてしまった訳ですが…
ジェノバとしては思い切り戦った末の敗北だったでしょうから、ある意味では本望だったのかもしれません。
むしろ、無人の惑星で孤独に過ごしているよりは、遥かにマシな日々だったのかと。
ジェノバがバトル脳の持ち主であることは明白ですので、“敵”がいないような環境は、好戦的なジェノバにとっては耐え難い苦痛だったでしょうし。
絶滅寸前にまで追い込まれた古代種を含めて、FF7の「星」にとっては百害あって一利なしとでも呼ぶべきジェノバ。
まさにFF7の元凶とでも呼ぶべき生物ですが、こいつが宇宙から飛来しなければFF7の物語は生まれなかったことも事実です。
こいつがいたからこそ、セフィロスが生まれ、ソルジャーが生まれ、クラウドやザックスは立身出世を志した。
そう考えると、一概に「悪」とは言えない存在であるようにも思えます。
本能に従って他の生物を殺すという意味では、リアルの猛獣(=ライオンとか虎とか)と似たようなものですし。
何なら、私利私欲のために他者を害する輩の方が、悪辣度は高いと思いますし。
むしろ、こんな激ヤバな生物の遺志を受け継ぐ存在(=セフィロス)を生み出してしまったという意味では、やはり神羅カンパニーこそが諸悪の根源だと言えそうです。
より正確に言うと、ジェノバ・プロジェクトを立ち上げた挙句、幼いセフィロスを放置して逃げ出したガスト博士が悪い!!
まあ、ジェノバ自体が対話も和解も望めないような破壊生物ですから、結局のところFF7の作中では「悪」に分類されてしまう訳ですけど。
突き詰めると、FF7とは「星」と「ジェノバ」による生存競争の物語であると言えますね。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
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