【FF7】ティファとクラウディアの確執について読み解く

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こんにちは、FF7マニアのユウです!

ティファクラウディアの関係性について語っていきます。

片方は、言わずと知れたFF7のヒロイン。

もう片方は、主人公であるクラウドの母親。

後者のクラウディアはゲーム本編における影は薄いものの、クラウドにとっては唯一の肉親ということもあり、意外と(?)重要なキャラクターです。

そんなティファとクラウディアですが、この二人には因縁があることを知っていますか?

それはもう、現実リアルの世界であれば全く笑えないレベルのみぞがある訳ですよ。

この両者の因縁は、本編から12年前——ティファの母親が亡くなったことに端を発しています。

ティファとクラウドが8歳の頃、その事件は起きてしまった

当時8歳だったティファは母親の急逝によって打ちのめされていた

死んだ母親に会いたいと願ったティファは、ニブル山に向かった。

クラウドは、そんなティファに同行した。

その結果、ティファは大怪我を負い、クラウドは責任を感じて苦しむようになった。

FF7プレイヤーならば知っての通り、ティファとクラウドによる物語の起点とも呼ぶべき出来事だった訳ですが、この一件はクラウディアにも大きな影響を及ぼしました。

FF7の外伝小説FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Traces of Two Pastsによると、クラウドだけではなくクラウディアもニブルヘイム住民たちから批難されています。

詳しくは後述しますが、クラウディアにとっては不本意かつ腹立たしい展開となった訳です。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

クラウディア殿は善良な人物として描かれていますが、ティファに対しては実際どのように思っていたでありますか?

ユウ
ユウ

外伝小説の内容から考えるに、内心では複雑な感情を抱いていたと思うぞ…

不仲という意味では、十分過ぎるほどの素地があったティファとクラウディア。

では、もしクラウディアが5年前のニブルヘイム事件で死亡せず、本編でも存命していとしたら?

なおかつ、世界が平和になった後でクラウドとティファが結婚したとしたら?

その場合、ティファとクラウディアは凄惨な嫁姑バトルを繰り広げていた可能性が高い。

…などという想像をしてしまうくらいには、ティファとクラウディアの間には深い“溝”がある。

それこそ、現実リアルの人間関係で言えば修復不可能なレベルの“溝”が。

…という訳で、世の中ではあまり知られていないティファとクラウディアの確執について読み解いていきます。

本記事にはFF7のネタバレ要素が含まれていますのでご注意ください!
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初めに:ティファ負傷事件の概要について

ティファが負傷したのは自業自得な側面があるのだが、周囲の大人たちはクラウドを責めた

リメイク版の描写を読み解いていく前に、まずは原作版FF7の内容を振り返ってみようと思います。

ストーリー後半でクラウドとティファはライフストリームへと落ち、そこで初めてクラウドの真実の過去が明かされます。

クラウドがソルジャーを目指した動機。

セフィロスのような強い人物に憧れた理由。

それは、無力で弱い自分に腹が立ったからでした。

ユウ
ユウ

このクラウドの過去が明かされる場面はFF7屈指の名シーンだと思うぞ!

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

台詞回しからBGMまで、全てが秀逸なイベントであります!

ティファとクラウドが8歳の頃、ティファの母親が亡くなりました。

ゲーム内で死因こそ語られていないものの、幼いティファにとって母親との死別は耐え難い苦痛であったことは容易に想像できます。

精神的に打ちのめされたティファは、母親に会うことを切望します。

そして、混乱した精神状態のままニブル山へと向かうのです。

ニブル山を超えれば、死んだ母親に会えると信じて。

そんなティファを見て、取り巻きの少年たちはティファに同行します。

しかし、ある者は山道の途中で、ある者は吊橋の前で同行を断念します。

そして、最終的に残った少年——それは取り巻きでもなければ仲が良いわけでもない、ロックハート家の隣に住んでいたクラウドでした。


母親を亡くしたティファは“ニブル山の向こう”に思いを馳せた

実はクラウドの父親もニブル山で死んだとされている(※後付けだけど)

母親を亡くしたショックと悲しみでティファは正常な判断力を失っていた

この場面、ティファは半ば自暴自棄になっているように見える

8歳という年齢を考えれば、ニブル山の向こう(=死者の国)に母親がいると解釈しても不思議ではないのだが…

このティファの行動が、ティファ自身だけでなくクラウドをも不幸にする呼び水となってしまった

ニブル山を進むティファ&取り巻き少年たちを追いかけるクラウド

最後まで残っていた取り巻きの少年たちも吊橋前で引き返したが、クラウドはティファを追いかけ続けた


隣人同士ではあるものの、ティファと親しい間柄ではなかったクラウド。

取り巻きの少年たちがニブルヘイムへと引き返していく中で、なぜクラウドだけは最後までティファを見捨てなかったのか?

8歳だった当時、クラウドは既にティファのことを好きになっていたのか。

ティファへの好意は特に無いけど、母親を亡くして悲しみの淵にいるティファを放っておけなかったのか。

はたまた、生来の“勇気”または“男気”が途中で引き返すことを躊躇ためらわせたのか。

その理由は定かではありませんが、結局のところティファとクラウドは山中の崖から滑落してしまいます。

ティファは、頭を打って意識不明の重体。

クラウドは、膝を擦りむいただけ。

そんな二人のことをニブルヘイムの大人たちが発見する訳ですが、クラウドにとって辛い現実が待っていたのはここからです。

ニブルヘイムの大人たち、特にティファの父親であるブライアン・ロックハートはクラウドのことを容赦なく批難します。

ティファがこのような酷い目に遭ったのは、クラウドの責任である…と。


全ての元凶はクラウドだと思い込んで怒鳴るティファの父親

ティファの父親の口調から察するに、クラウドが無口な性格だったことも災いしたようだ

結果的にティファを助けられなかったことは事実だが、ここまでクラウドが責められるのも変な話である


この一件において、クラウドは全く悪くありません。

むしろ、ティファの行動に巻き込まれた被害者と言っても良いレベルです。

そのティファですら、母親の死に直面して動揺していたことを考えれば、情状酌量の余地は十分にあると言えるでしょう。

よって、この一件では結果こそ目も当てられないものの、実のところ悪者らしい悪者はいない訳です。

しかしながら、悪者扱いされたのはクラウド一人だけ。

詳しくは後述しますが、この悪者扱いについてリメイク版や外伝小説では、より辛辣な形で表現されています。

ティファの母親が亡くなったことが発端というだけで、本来ならば誰も悪くないはずなのに、結果論として“クラウドの一人負け”みたいになった訳です。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

管理人殿!

自分はティファの父親の態度には納得いかないであります!

ユウ
ユウ

そうだよなぁ…

でも、僕くらいの歳(=30代)になるとブライアンの気持ちも理解できるんだよなぁ…

プレイヤー目線だと「ティファパパ」ことブライアン・ロックハートの物言いには釈然としないものを感じます。

そもそも、お前がティファから目を離したからこんな事故が起きたのではないのか?

父親としての監督不行き届きこそが、ティファが意識不明の重体となるに至った元凶ではないのか?

お前さぁ、一体何様のつもりだよ?

…などと思ったFF7プレイヤーも多いのではないでしょうか?

かくいう筆者自身も、少年時代に原作版FF7をプレイした時は「いけ好かない親父オヤジだな…」などと思ったものです。

でも、これってあくまで“プレイヤー目線”だからこその意見なんですよね。

忘れがちですけど、ティファの母親が急逝したのはブライアンにとって間違いなく不幸なことです。

母親を亡くしたティファと同じく、ブライアンもまた妻を亡くしたことで精神的に打ちのめされていたはずです。

そんなドン底の状態で、妻に続いて大切な一人娘まで死ぬかもしれないという展開になったら、ハッキリ言って不幸の上塗りでしかありません。

早い話、ブライアンからすれば発狂しかねないレベルの事態だった訳です。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

“泣きっつらはち”というヤツですかな…

ユウ
ユウ

もし自分がブライアンの立場だったら、ぶっちゃけ正気を保てる自信が無い…

“妻を亡くした直後”に“娘が意識不明の重体”という、ブライアンにとっては人生最悪の厄日かという程の異常事態。

こんな現実に直面して、父親として、そして家庭人として冷静でいられるはずがないのです。

大体にして、ブライアン目線ではティファとクラウドの間に起きたことを100%正確に推し測ることなど不可能です。

だって、愛娘のティファは会話するどころか意識不明の状態なのですから。

(※ティファは1週間後に目を覚ますのだが、頭を打った影響によりニブル山での出来事は覚えていなかった。)

そして、その傍らにほぼ無傷のクラウドがいたら、クラウドの弁明を聞く前にコイツが俺の愛娘をこんな目に遭わせたのかという感情が先走ったとしても無理はありません。

つまり、クラウドへの物言いこそ胸クソ悪いものの、この時点でのブライアンは十分過ぎるほどに“不幸な人物”なのです。

もし仮にですけど、ティファがそのまま死んでしまったとなれば、それこそクラウドに対して文句を言うだけでは収まらなかった可能性すらあります。

そう考えてみると、ブライアンがクラウドを激しく嫌悪することは決して変ではないのです。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

いくら何でも、管理人殿はティファの父親を擁護し過ぎではありませぬか?

ユウ
ユウ

手厳しい指摘だが、親になることで初めて理解できる感情というものがあるのだよ…

前置きが長くなりましたが、この一連の“ティファ負傷事件”では各々のキャラクターが独自の目線で行動しています。

そして、だからこそ興味深いとも言えます。

ティファの目線。

クラウドの目線。

ティファの取り巻きである少年たちの目線。

ブライアンを含むニブルヘイム住民たちの目線。

これらについて意識してみると、本記事のテーマであるティファとクラウディアの確執について、より深く理解できるようになります。

FF7外伝小説「Traces of Two Pasts」の内容について

400ページ超のボリュームがある外伝小説「Traces of Two Pasts」

FF7を代表するダブルヒロインである、ティファとエアリス。

この二人の“過去”について描かれているのが外伝小説Traces of Two Pastsです。

前半がティファ編、後半がエアリス編という本作ですが、今回はティファ編の描写について詳しく見ていきます。

このティファ編の序盤~中盤にかけて、ティファがニブルヘイムにてどのような生活をしていたのかが描かれています。

原作では未登場の母親「テア・ロックハート」とのやり取り。

幼少期のティファから見て、クラウドはどのような人物だったのか。

ザンガン師匠と出会い、どのような経緯でザンガン流格闘術を学ぶようになったのか。

セフィロスがニブルヘイムを訪れた際、どのような経緯を経てニブル山のガイドに抜擢されたのか。

どれもこれも興味深いエピソードばかりなのですが、本記事では「ティファ負傷事件」に焦点を当てて読み解いていこうと思います。

「クラウドがティファをそそのかした」という虚偽情報

この虚偽情報によってクラウドだけが責められることになった…

ニブル山の向こうには死者の国がある。

村に昔からある言い伝えだ。

母の死で動揺するティファはその言葉にすがって山に入った。

母親に会いに行こうとしたのだ。

心配したエミリオたちが同行するが天候が荒れ、危険を感じて途中で下山した。

もちろんティファも連れ帰ろうとした。

ところが途中で現れたクラウド・ストライフがティファをそそのかし、ふたりはさらに山の奥へと行ってしまった。

その結果ふたりは山道から滑落した。

クラウドは膝を擦りむいた程度だったが、ティファは頭を強打。

その後一週間意識を取り戻さなかった。

引用:FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Traces of Two Pasts 66ページより

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

管理人殿!

ここで登場する「エミリオ」って誰でありますか?

ユウ
ユウ

ティファの取り巻きだった3人組の中の一人だよ!

原作版、リメイク版、そして外伝小説。

全ての作品において、ニブル山に向かったのは間違いなくティファの意志です。

つまり、結果的に頭を打って意識不明の状態に陥ったのは、ある意味ではティファの自業自得であると言えます。

その一方で、クラウドはどうか?

作中の描写から察するに、クラウドはティファに付いて行っただけです。

リメイク版に至っては、エミリオたちが引き返した後も、ティファに思い止まるように必死で呼び掛けています。


必死な口調でティファに呼び掛けるクラウド

この台詞はクラウド自身が父親を亡くしているが故の発言だったのだろうか…


エミリオたちが去った後、なぜクラウドはティファに同行し続けたのか。

クラウドの父親はニブル山で死亡したとされているので、ティファを父親の二の舞にしたくなかったのか。

何れにしても、各作品において「クラウドがティファをそそのかした」という事実は一切ありません。

…と言うか、これは完全なる虚偽です。

よって、後述するニブルヘイム住民によるクラウド批難は“濡れ衣”もいいところなんですよね。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

いやはや、これは酷い冤罪えんざいでありますな…

ユウ
ユウ

事実無根の冤罪について真相が究明されないまま時間が経っていく辺りが、ニブルヘイムは“村社会”という感じがして怖いんだよなぁ…

ところで、ここで改めて注目したいのは「唆した」という件です。

そもそも、この「唆した」という情報は先に下山したエミリオたちの証言によるものです。

そして、ブライアン・ロックハートを含むニブルヘイムの住民たちはエミリオたちによる「唆した」という言葉を信じた。

それこそが、クラウドのみならずクラウディアまでもが悪評を被る発端となった訳ですが…

一体なぜ、エミリオを含む取り巻きのたちの視点だと「クラウドがティファをそそのかした」ように見えたのでしょうか?

ティファに対して思い止まるように呼び掛けていたクラウドの様子が、傍目からは「唆した」ように見えたのか?

それとも、ティファを連れ戻せなかったことについて大人たちからの追及を避けるために、クラウド一人に責任を押し付けようと思って「唆した」という嘘の情報を流布したのか?

前者だとしたら情状酌量の余地がありますが、もし後者だとしたら救いようのない糞ガキということになります。

この「唆した」云々については様々な解釈ができるため、ここで書いたことは想像の域を出ません。

しかしながら、可能性の一つとしてエミリオたちが意図的にクラウドを陥れたという見方も出来ます。

このように、ティファが負傷した責任の所在について、解釈次第では様々な可能性が考えられる訳です。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

もしエミリオたちが責任回避のために「唆した」という証言をしたのなら、自分はコイツらを許せないであります!

ユウ
ユウ

それは僕も同感だ!

でも、ニブルヘイムみたいな“村社会”では後者のようなタイプほど幅をかせているのが世の常なんだよなぁ…

ティファ負傷事件によるクラウディアへの影響

ニブルヘイム住民たちは「クラウドが唆した」という虚偽情報を信じた…

ティファは何も覚えていなかった。

ただ、原因を作ったという自覚はあったので謝罪した。

母親を亡くした直後だからと同情され、クラウドだけが責められることになった。

ティファは目覚めてみればほぼ無傷だったことは忘れられ、意識不明のままジリジリと過ぎた一週間だけが大人たちの記憶に刻まれていた。

人々は事故ではなく事件だったと考えるようになり、クラウドはもちろん、クラウディア・ストライフも肩身の狭い思いをすることになる。

状況は今でもあまり変わっていない。

引用:FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Traces of Two Pasts 66ページより

村社会の典型のようなニブルヘイム。

そんな場所で母親を亡くしたばかりの少女を唆して危険な目に遭わせた奴がいるという噂が流れたら、一体どうなるでしょうか?

言わずもがなですが、その犯人——つまりクラウドへの風当たりは相当なキツさだったことでしょう。

そこに加えて、ティファが頭を打って軽度の記憶喪失状態となったことが良くなかった。

繰り返しになりますが、ニブル山へ向かったのは間違いなくティファの意志です。

しかし、当のティファはそのことを“覚えていない”ときた。

クラウドに唆されたのか、唆されていないのか。

それさえもティファには分からない。

結局のところ、怪我をする前後の出来事を“覚えていない”のだから、ティファとしては何の証言もできない。

エミリオたちによる「クラウドがティファを唆した」という証言について、肯定することも、否定することも出来ない。

そんなこんなで、クラウドだけが責められる羽目になった…というくだりですね。


FF7リバースの9章にて自身の負傷事件について振り返るティファ

エミリオたちがクラウドよりも先に引き返したの事実である

しかし、当のティファ自身はいまいちピンと来ていない様子である

ここで初めて、クラウドはティファが当時の記憶を失っていることを知った

ティファは頭を強打した影響により一部始終を覚えていなかったのだ

しかも、目覚めた後の記憶も曖昧な状態だったらしい

ティファの立場からすれば、周囲の人間たちによる証言を信じるしかなかったのだ


ユウ
ユウ

もしティファが一部始終を覚えていたなら、クラウドだけが悪者扱いされることもなかっただろうな…

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

ティファが大人たちに対して「クラウドは悪くない」とでも言っていたら、また違う展開になっていたでしょうからな…

ところで、この一連の出来事について第三者であるニブルヘイム住民たちはどのように捉えていたのでしょうか?

外伝小説では事故ではなく事件として考えるようになったという表現がされています。

“事故”ではなく“事件”。

つまり、不可抗力によって生じた不幸ではなく、悪意によって引き起こされた出来事と考えている訳ですね。

このような解釈によって、ニブルヘイム住民はクラウドだけでなく母親クラウディアをも悪者扱いし始めたのだと推察されます。

何と言っても、この時点でのクラウドはまだ8歳です。

現実リアルの世界で例えるなら、小学校の2年生か3年生という時分です。

そんな8歳の子供が悪事を働いたのであれば、その子供の親にも相応の責任がある。

第三者がそのように考えるのは当然のことです。


ニブルヘイム住民による悪口のイメージ図

クラウドがティファを「そそのかした」のは、母親クラウディアの教育が悪いからではないか?
母親クラウディアがクラウドのことを常日頃からしつけていれば、こんな事件は起こらなかったのではないか?
クラウドによる悪行は“偶然”ではなく、母親クラウディアの監督不行き届きが招いた“必然”では?
この一件では、クラウドだけではなく母親クラウディアも責められて当然では?

“悪事千里せんりを走る”ということわざがありますが、ニブルヘイムは“村社会”だからこそ、このような悪評は一気に広まったはずです。

さらにクラウドとクラウディアにとって不都合だったのが、この二人だけのストライフ親子には味方となってくれる人物が乏しかったであろうという点です。

外伝小説を読むと分かることですが、ティファの父親であるブライアン・ロックハートはニブルヘイム評議会の一員でもあります。

具体的な権力構造は不明ですが、ニブルヘイム内では村長に次ぐレベルの発言力があったと予想されます。

当然ながら、村内での“味方”は元々多かったことでしょう。

その一方で、ストライフ親子はどうか?

頼れる親戚が身近にいる訳でもない。

村の有力者と特別親しい訳でもない。

ロックハート家と比較した場合、村内での力関係で言えば弱小もいいところです。

このような背景もあり、ストライフ親子は一方的に責められる羽目ハメになったのではないでしょうか?

誰からも庇ってもらえず、ただひたすら村内で冷遇される。

これはクラウドのみならず、クラウディアにとっても心外かつ憤慨であったことは想像に難くありません。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

“スクールカースト”ならぬ“村内カースト”というヤツですかな…

ユウ
ユウ

この生々しい人間関係こそがFFシリーズの真骨頂とは言え、傍目から見ていて気分が良いものではないな…

ニブルヘイム住民による批難

ティファ負傷事件から数年が経った後でもストライフ親子に関する悪評は消えていなかった…

ティファは身構える。

あの話が始まるのだろう。

「クラウドがあんたをそそのかしてニブルにのぼったのは、やっぱり血のせいなのかね」

引用:FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Traces of Two Pasts 44ページより

先述した通り、ティファ負傷事件によってクラウドとクラウディアの生活は悪い方向に変わりました。

周囲から物理的な危害を加えられた描写こそありませんが、精神的な意味においては長期間に渡って辛酸を舐めさせられています。

その中でも特に興味深いのが、ニブルヘイム住民によってクラウドの父親までもが批難される件です。

クラウドの父親は、クラウドが歩き出すかどうかの頃にニブル山へと赴き、そこで亡くなったとされています。

【FF7】クラウドの父親に関する数少ない描写を読み解く

ティファが負傷した件について、クラウドのことを誹謗するニブルヘイム住民。

それだけに留まらず、クラウドの父親(=故人)のことまで引き合いに出すときた。

もはやストライフ父子の悪口でしかない訳です。

筆者の個人的な意見ですけど、この場面は外伝小説の中でも際立って胸クソ悪いエピソードです。

「クラウドがあんたをそそのかしてニブルにのぼったのは、やっぱり血のせいなのかね」

一体、何が“やっぱり”なのか?

父親が父親なら、息子も息子だ。

…とでも言いたかったのでしょうか?

カエルの子はカエルだ、とでも言いたげな口調。

確かに、クラウドの父親は冒険好きな性分でした。

そして、ニブル山へと行ったことで命を落としたのも事実です。

しかし!!!

クラウドの悪行を批難するために、わざわざ不本意な死を遂げた人間のことまで引き合いに出す必要性があるのか?

しかも、そんな話をわざわざティファに言い聞かせる意味があるのか?

この場面、負傷時のことを何も覚えていないティファも流石に看過できなかったのか、ニブルヘイム住民に反抗しているかのような描写がされています。

ユウ
ユウ

この侮蔑的な発言をしたのはニブルヘイムの老人なんだけど、現実リアルの世界にもこんな感じの年寄りっているよな!

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

全く、絵に描いたような“老害”ですな!!

こんな不愉快かつ歪曲された事実をティファに吹き込もうとするくらいですから、ニブルヘイム内では常日頃からストライフ家に関する悪口大会が行われていたと考えられます。

ニブルヘイムという“村社会”の構造を考えれば、そのような悪口は当然ながらクラウドとクラウディアの耳にも入っていたことでしょう。

クラウドにとって、そしてクラウディアにとって、これ以上の屈辱があるでしょうか?

原作版FF7の頃から、ティファ負傷事件を契機としてクラウドは荒れていったと明言されています。

誰彼構わずに喧嘩を仕掛けるばかりの日々。

その理由の一つとして、このような“父親批難”があったのではないでしょうか?

親を馬鹿にされて黙っていられる子供など、この世にいるはずがありません。

自分が批難されるだけなら、まだ我慢できる。

でも、故人である父親までおとしめられるのは許せない。

幼少期のクラウドは、子供ながらにそのような怒りを抱きながら過ごしていたのではないでしょうか?


たとえクラウドでなくても、8歳でこんな仕打ちを受けたらメンタルが荒むに決まっている…

心が荒んだクラウドにとって“英雄セフィロス”は眩しい存在であったに違いない

クラウドが“強さ”に憧れたのは、自分の“弱さ”を嫌っていたが故の反動だったのである…


クラウドの場合は「ソルジャーになる」という目標を見出すことで、自分の中にある怒りや無力感を昇華させようとしました。

その一方で、クラウディアはどうでしょうか?

クラウディアは、大切な一人息子が傷付き、荒れていく様を間近で見続けた訳です。

さらに付け加えると、近隣住民たちによる亡き夫への陰口が嫌でも聞こえてくるときた。

息子クラウドだけではなく、夫までも貶められる。

クラウディアにとって、これは耐え難い屈辱であったはずです。

ある意味では、クラウド以上に憤慨していた可能性すらあります。

そもそも、後述するようにクラウディアはティファ負傷事件の真相を知っている節があります。

だからこそ、事実無根の噂によって息子クラウドや夫が批難されることについて、内心でははらわたが煮えくり返るほどの怒りを感じていたのではないでしょうか?

何れの作品でもクラウディアは善良な人物として描かれていますが、いくら何でも限度というものがあります。

いや、善良な人物だからこそ、やり場のない怒りに震えていた可能性がある。

その怒りの感情が、後述するティファへの辛辣な態度へと繋がっている。

筆者としては、そのように解釈しています。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

これ程の屈辱を受けながらもニブルヘイム住民に何も言い返さないとは、クラウディア殿はちょっと変ではありませぬか?

ユウ
ユウ

馬鹿か お前は!!

そんなことをしたら息子クラウドの立場が余計に悪くなるのは明白だろうが!!

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

そ、そうでありますな…

クラウディア殿が悪評を甘んじて受け入れていたのは、息子クラウドのことを思えばこそという訳ですな…

クラウディアはティファに辛辣である

“善良な一般人”の代表格のようなクラウディアだが、実のところ内心では…!?

「クラウドがソルジャーになるって言ってたから……ちがうんですか?」

「へえ。ティファにはそんなこと言ってたんだ」

クラウディアは何度も“へえ”と繰り返しながら野菜を刻んだ。

その後もふたりは並んで料理をした。

時々クラウディア・ストライフが何か言いかけて口をつぐむ、その気配をティファは感じていた。

遭難事件のことを話したいのだと思った。

しかしティファから話せることなど何もない。

(中略)

ティファはクラウディアに断って作業を離れた。

「山はダメよ」

クラウディアの声を背中で聞きながら走った。

振り返らずに、はいと答えた。

引用:FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Traces of Two Pasts 70~71ページより

ティファが15歳になった頃、ニブル山に人型のモンスターが現れるという事件が起こります。

それが発端となってニブルヘイムでは自警団が結成され、村の女たちは持ち回りで炊き出しを行う場面があるのですが…

ここでようやくと言いますか、本記事の主題であるティファとクラウディアによるバトル(?)が発生します。

…と言っても、ティファとクラウディアが激しく罵り合うという訳ではありません。

しかし、いや、だからこそ闇が深いとも言えます。

特に興味深いのは、クラウディアが山はダメよと発言する部分です。

善良かつ温厚なクラウディアらしからぬとげのある言い方。

この場面、クラウディアは「お前がニブル山に行くとロクなことが起こらない」とでも言いたそうなんですよね。

ティファもティファで“振り返らずに”返事をしているし。

詰まるところ、どこからどう見ても険悪な雰囲気という訳です。

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

この場面、ティファの言動や態度は“子供”ですな…

ユウ
ユウ

そうだな…

“大人”として直接的な文句は言わないクラウディアとは対照的にな…

この場面の描写から察するに、クラウディアはティファ負傷事件の真相を知っている可能性が高いです。

当時8歳だったクラウドが、母親クラウディアだけには真実を話したのか。

口には出さずとも、息子クラウドの真意をクラウディアは見抜いていたのか。

その辺りは定かではないものの、クラウディアとしては息子クラウドが悪者扱いされるのは筋違いだと認識しているようです。

なればこそ、やはり責められるべきはティファである。

自分・夫・息子の3人が不当に貶められた原因は、全てティファにある。

そのような考え方に基づいて、ティファに対する嫌悪感を募らせていた可能性は十分にあります。

そこに加えて、どうやら息子クラウドはティファを異性として意識しているらしいという情報が、クラウディアをより一層不快にさせた。

そんなこんなで、クラウディアが長年に渡って溜め込んだ怨嗟の念が、少しばかり垣間見えた。

そんな風にも解釈できる一幕なんですよね。


負の感情を滾らせるクラウディア(※筆者の勝手なイメージです)

お前さえニブル山に行かなければ…
お前が息子クラウドの呼びかけに応じて下山していれば…
しかも、都合よく記憶喪失になって同情までされて…
お前のせいで、私も息子クラウドもずっと苦しんできた…
それなのに、息子クラウドはこんな娘のことが好きなの…
ああ、面白くない…気に食わない……

こんな具合に、クラウディアの胸中ではドス黒い感情が渦巻いていたのではないでしょうか?

そもそも、外伝小説においてティファがストライフ親子に対して謝罪しているような場面はありません。

ティファ自身が“被害者”として扱われており、そもそも負傷時の記憶が曖昧なのだから、それはそれで仕方ないことなのかもしれません。

しかし、クラウディアの立場としては“仕方ない”の一言で片付けられては困る訳です。

理由と経緯はどうであれ、真実を捻じ曲げられ、息子クラウド共々苦渋を強いられたクラウディア。

そんなクラウディアにとって、ティファという人物は怒りと恨みの対象でしかない。

クラウディアがそのような感情を抱いていたとしても、何ら不思議ではない訳です。

ティファ目線では、事件の発端は確かに自分にあると考えている。

その一方で、周囲を“巻き込んだ”という自覚はない。

ティファ自身がそのような認識のまま生活しているからこそ、クラウディアにとっては余計に腹立たしかったのではないでしょうか?

ニブルヘイム在住時のティファは、異性の取り巻きが複数いたことも相まって無自覚なお姫様気質でした。

同性からすれば、老若を問わずに嫌われる傾向がある気質です。

それは善良な人物であるクラウディアにとっても、決して例外ではなかった。

嫌悪する理由こそあれど、好感を抱く理由など無い。

自分たちストライフ一家がさげすまれる原因を作った張本人ともなれば、尚更のことです。

ユウ
ユウ

女の敵は女”とはよく言ったものだよ…

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

もしクラウディア殿が生きていたら、クラウドを間に挟んでの嫁・しゅうとめのバトルが繰り広げられていたかもしれませんな…

余談:母親クラウディアから息子クラウドへの意味深な忠告

彼女がいないクラウドに対してお節介(?)な発言をしたクラウディア

「お姉さん」という言葉からはエアリスを連想させられるが…

もしクラウディアとエアリスが対面したら、どのような会話が繰り広げられていたのか興味は尽きないところである


FF7のヒロインであるティファとエアリスならば、どちらが主人公クラウドに相応しいか?

この“FF7ヒロイン論争”において、何かとネタとして挙がる母親クラウディアの発言。

何を隠そう、原作版FF7の頃から母親クラウディアはクラウドに対して付き合うなら年上の女性が良いという趣旨の発言をしています。

これはティファとエアリスを比較した場合、年上であるエアリスの方が主人公クラウドとの相性は良い。

この一連の場面は、そのような意味合いを含む制作スタッフからの公式メッセージであると考えられていました。

ちなみに、この母親クラウディアによる台詞はリメイク版においても寸分違わずに再現されています。

ユウ
ユウ

エアリス派”のFF7プレイヤーにとってはご馳走みたいな台詞なんだよなぁ…

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

ちなみに“ティファ派”と“エアリス派”の対立は昔から凄まじいであります…

しかしながら、このクラウディアによるお姉さん云々の台詞。

この記事で紹介した外伝小説「Traces of Two Pasts」を読んだ後だと、今までとは異なる解釈が可能となります。

“ちょっとお姉さん”

“グイグイ引っ張っていく”

これらの言葉尻だけを捉えると、原作版・リメイク版を問わず、ティファの性格とは合致しません。

そして、外伝小説の設定に準拠すれば、この時点でのクラウディアは息子クラウドがティファに対して恋愛感情を抱いていることを知っている…ということになります。

その上で、クラウディアは息子クラウドに対してこのような発言をしているのです。

これは一体、どのような意図に基づいての発言なのか?

…という訳で、筆者の独断と偏見に満ちた私見を述べようと思います。

これは「ティファと関わるのは止めておけ」と遠回しに忠告しているのではないでしょうか?

自分の責任によって、誰かを引っ張っていく訳でもない。

それどころか、自覚が無いまま周囲の人間を巻き込み、そして振り回す。

しかも、そういった行為について罪悪感を抱くどころか、むしろ自然体で行っている。

そのような“お姫様気質”を持ち合わせているのがティファという娘であり、今後も息子クラウドにとって“害”となる可能性がある。

さらに言えば、そんな我儘わがままなクソ女に、可愛い息子クラウドが苦汁を舐めさせられるなんて我慢ならない。

もしクラウディアがそのような意見を持っていたとするならば、この一連の台詞は息子クラウドからティファを遠ざけたいが故の発言だったのではないでしょうか?


ティファとは真逆の人物像について言及するクラウディア

「うるせぇな…俺はティファのことが好きなんだよ…」とでも言いたそうなクラウド


このような文章を書いていて、筆者自身も話が飛躍していると思わなくもないのですが…

外伝小説でのクラウディアからティファへの辛辣な物言いを知った後だと、あながち的外れでもないように思えるのです。

もし仮にですけど、クラウドとティファが結婚でもしたら、クラウディアにとってロックハート家は“親戚”ということなります。

つまり、大切な息子をののしったブライアン・ロックハートとも“親戚付き合い”をしなければなりません。

ティファが義理の娘になり、ブライアンとも上手く付き合っていく必要がある。

そんな未来を、クラウディアが望むでしょうか?

ただでさえニブルヘイムは閉鎖的な“村社会”なのだから、これはクラウディアにとって苦痛極まりない展開だと考えられます。

ユウ
ユウ

ついでに言うと、ブライアンはクラウドのことを凄まじく嫌っているからなぁ…

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

自分はストライフ家とロックハート家が仲良くしている未来図がイメージできないであります!


カームでの回想イベントでブライアンの人となりが垣間見える場面がある

クラウドに対して敵意&警戒心を隠そうともしないブライアン


結婚とは家同士の付き合いであるなどと言われることが多々ありますけど、その意味が大人になるとよく分かります。

結婚とは、付き合っている当人だけの問題ではありません。

お互いの家族にも関わる一大事ですので、そう簡単には話が進まないこともザラにあります。

結婚前の段階で両家の間にみぞがあるのであれば、尚更です。

よって、クラウディアによる“お姉さん云々の発言”には、実はとてつもなく深い意図が込められていたのではないか筆者は思う訳であります。

まとめ:クラウディアはティファを嫌っていた可能性が高い

クラウディアが善人であることは間違いないけど、嫌いな相手には辛く当たるタイプの人物なのかもしれない…

外伝小説「Traces of Two Pasts」を細かい部分まで読み解いていくと、ティファとクラウディアの間には深い溝が存在していたことが窺えます。

ティファの行動が発端となり、苦痛と屈辱を強いられたクラウディア。

そして、自分のせいでストライフ親子を苦しめてしまったという自覚もなく生活していたティファ。

この“自覚が無い”という部分がヤバいと言うか、特にタチが悪い。

もちろん、この点についてティファを責めるのは酷だとは思いますよ?

母親を亡くし、その直後に頭を打って昏睡状態になり、目覚めたら一部始終についての記憶を失っていた。

この事実だけを見れば、ティファにも同情すべき点は多々あります。

しかしながら、第三者の視点で外伝小説を読んでいると、ティファ関連の描写にはどうも苛々イライラしてしまうのです。

負傷時のことを、何も覚えていない。

だが、何も覚えていなければ責任を負わなくても良いのか?

クラウドだけでなくクラウディアまでもが悪評を被った現状を、黙って見ていても良いという理由になるのか?

…みたいな感じで、外伝小説ではティファが主人公のはずなのに、むしろクラウドやクラウディアに感情移入している自分がいます。

クラウディアが善良な人間だからこそ、そんな善人が虐げられている様子は目にえない訳です。

ユウ
ユウ

この絶妙なモヤモヤ感こそが外伝小説「Traces of Two Pasts」の醍醐味なのかもしれないな…

名もなき神羅兵
名もなき神羅兵

モヤモヤ感ですか…

言い得て妙な表現でありますな…

どう考えても、クラウディアはティファに対して嫌悪感を抱いていたのではないか。

表向きは平静を装っていたとしても、腹の底では凄まじい怨嗟が渦巻いていたのではないか。

生来の善良な人柄に覆い隠されているだけで、一皮剥けば憤怒の感情が溢れ出てくるのではないか。

読者目線だとそのように感じられるくらいには、クラウディアが置かれた状況は中々に陰鬱なものでした。

よって、クラウディアはティファを嫌っていた可能性が高い。

これが独断と偏見に満ちた、筆者なりの解釈です。

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!

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