こんにちは、FF7マニアのユウです!
今回は「クラウドの疑似人格」が妙に“女好き”である点について読み解いていきます。
FF7プレイヤーならば知っての通り、ストーリー序盤~中盤におけるクラウドの人格は、ジェノバ細胞によって形成された疑似的なものです。
(※本記事では便宜上「疑似人格」と記載しています。)
クラウドの体内にあるジェノバ細胞が他者の記憶を読み取り、その結果として誕生した仮初めの人格。
それこそが序盤~中盤のクラウドという訳ですね。
では、この疑似人格はどのような記憶によって構成されているのか?
それについては以下の3つが該当します。
② ティファの記憶
③ ザックスの記憶
①に加えて、ジェノバ細胞が②と③を読み取ったことで「クラウドの疑似人格」が形成されたという訳ですね。
ちなみに、③についてクラウドは後に「ザックスから聞いた話」と表現しています。
その一方で、ニブルヘイムでの回想時にはザックスしか知り得ないことを“自分の体験”として仲間たちに語っています。
具体例としては、魔晄炉内で魔晄漬けの人型モンスターを発見した場面などですね。
以上のことから、クラウド&ザックスがニブルヘイムの神羅屋敷を脱出してミッドガルまで辿り着くまでの間に、クラウドの中にあるジェノバ細胞が“ザックスの記憶”を読み取ったのだと考えられます。

ティファと共にライフストリームから生還した後、今までの“疑似人格”について説明するクラウド

ストーリー序盤~中盤の「疑似人格」について“幻想”と表現するクラウド
この“ザックスの記憶”と“女好き”という2点こそが、本記事の重要なテーマです。
後述するように、ザックスと言えば“女好き”の陽キャです。
そんなザックスとは逆に、本来のクラウドと言えば童貞臭が漂う“陰キャ”です。
この両者の記憶がジェノバ細胞の影響によって混合した結果、クラウドの疑似人格においても“女好き”の要素が垣間見えるようになりました。
この“女好き”について、初回プレイでは特に気にならなくても2週目以降のプレイだと「なるほど確かに…」と納得する場面が数多くあります。
いわゆる初回プレイでは気付かない類の伏線ですね。
これらを1つ1つ見ていくとFF7のストーリーは細部まで作り込まれていることがよく分ります。
それでは前置きはこのくらいにして、ザックス由来の“女好き”がクラウドの疑似人格に与えた影響について読み解いていきます。
初めに:原作版FF7のザックスは“女好き”である

ザックスの“女好き”は生来の性分であると思われる
ザックスと言えば、世間ではFF7CCやFF7リメイクシリーズで描かれた男前なイメージが強いかと思います。
前向きで、勇敢で、義理人情に厚い、まさに非の打ち所がないイケメン。
そんな訳で、ある意味ではクラウド以上にFFの主人公らしいザックス。
平成から令和へと時代が移り変わる中で、もはやザックスはFF7における準主役級と言っても過言ではないほどのキャラクターにまで成長しました。
しかし!!!
このザックスには1つだけ万人受けしない設定があります。
それは“女好きである”という点です!!
この“女好き”については先述した派生作品&リメイク版からは殆ど感じられませんけど、原作版FF7においてはザックスの人物像を語る上では欠かせない要素なんですよね。
ガールフレンドが多数いる、まさに“モテ男”の典型です。
モテるから“女好き”になったのか。
“女好き”だからモテるようになったのか。
その辺りについては定かではないものの、とにかくザックスにはガールフレンドが大勢いる。
これは紛れもない事実であり、エアリスもまたザックスについて「女の子が大好きな奴だった」と評しています。

エアリスがザックスの人物像について語る貴重なシーン
これはゴンガガでザックスの実家に行った際、エアリスがパーティー内に居ると発生する特殊な会話イベントです。
原作版FF7ではゴンガガに立ち寄ることはストーリー上で必須ではなく、しかも「エアリスを連れて」「ザックスの実家に行く」という2つの条件を満たす必要があるため、初回プレイでは気付かない人も多かったとか。

実のところ、FF7を初めてプレイした当時小学生の僕は全く気付かなかった…
よって、これは任意イベントという扱いではあるものの、ザックスというキャラクターについて理解する上では重要な場面なんですよね。
そして、さらにFF7インターナショナルでは下記のイベントが追加され、ザックスの“女好き”についての解像度が上がりました。

「あちこち」に「あて」があるとは、数多くのガールフレンドがいることを指している

しかし、親と同居しているガールフレンドを頼るは流石に気が引けるらしい

言い換えれば、一人暮らしのガールフレンドであればクラウド共々面倒を見てもらう気だったことが窺える
悪く言えば、チャラい。
少なくとも、硬派な性格とは言い難い。
そのような事実について窺えるのが原作版FF7におけるザックスなんですよね。
エアリス(=第三者)視点での「女の子が大好きな奴だった」という評価。
ザックス自身による「仲が良い女の子が大勢いる(意訳)」という発言。
これらを踏まえて考えると、ザックスが“女好きな人物である”という事実は揺るがない訳です。
FF7CCやリメイク版の内容から考えると、もはや黒歴史とでも呼ぶべき“女好き”の設定。
ザックスファンにとっては看過し難い“汚点”ではあるものの、本記事では敢えてその“女好き”に踏み込んでいきます。

“女好き”という部分だけを見ると、原作と派生作品では別人と言っていいレベルですな…

ああ……
正直言うと、僕はザックスの“性格改変”について釈然としない気持ちがあるよ…
FF7に登場するザックスの性格が改変された理由について考察する!
ザックスの“女好き”が影響している場面

ストーリーの序盤~中盤にかけてクラウドが“女好き”を発揮している場面は意外と多い
物語序盤のクラウドは、ザックスの記憶や立場を参考に、理想の自分を無意識のうちに演じている。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 59ページより
繰り返しになりますが、ストーリー序盤~中盤のクラウドは「本来のクラウド」ではありません。
ジェノバ細胞の能力によってティファとザックスの記憶を読み取り、その結果として誕生した「疑似人格」です。
敢えて強調しますが、この人格はあくまで“疑似的”なものです。
当然ながら、女性への考え方についても“疑似的”な部分が散見されます。
もっと端的に言うと「女性慣れしているザックス」と「女性慣れしていない本来のクラウド」混ざり合っている状態ですね。
そのせいなのか、女性への接し方についても非常にチグハグな印象を受けます。
ザックス由来の“女好き”が表出している場面もあれば、そうではないもある。
…という訳で、まずは序盤~中盤のクラウド関連で“女好き”が窺えるイベントについて見ていこうと思います。
① ジョニーとの会話

蜜蜂の館の前で悶々としているジョニーだが…

ここで「ああ、俺もだ」という選択肢を選ぶと…

クラウドとティファの関係性を知っているせいか、新しい彼女(=エアリス)のことを引き合いに出して怒り始める

ジョニー(=非モテ)からすれば、クラウド(=モテ男)に嫉妬するのは当然の状況である
序盤で訪れるウォールマーケットの中でも一際目立つ「蜜蜂の館」。
現実の世界で例えるならばキャバクラ(または風俗店)を彷彿とさせる怪しさMAXの店なのですが、この店の前にいるジョニーに話しかけると上記画像のような会話イベントが発生します。
ジョニーへの受け答えこそプレイヤーが自由に選べるものの、ここでの選択肢が非常に面白い。
「ああ、俺もだ」
…という堂々たる選択肢からは、ザックス由来の“女好き”が窺えます。
意訳するならば「俺もお前と同じで可愛い女の子と楽しいことをしたい」といったところでしょうか。
こんなこと、本来のクラウドであれば絶対に言わないでしょうね。
だからこそ、ここでの描写は興味深い。
念のため補足しますが、この時のクラウドはティファの行方を追って、エアリスと一緒にウォールマーケット内を探し回っている状態です。
…にも関わらず、この軽妙な答え方。
見方によっては、ティファを捜索することよりも蜜蜂の館に現を抜かしているという解釈もできます。
そんなクラウドを見て、ジョニー目線では色々と釈然としないものがあったのでしょう。
ジョニーの言葉を借りるなら、まさに「何という人だ」という状態です。

この場面、クラウドよりもジョニーに共感してしまうのは僕だけか?

これは奇遇ですなぁ、管理人殿…
自分も嫉妬で頭が爆発しそうであります!!
ティファやエアリスといった美人だけでは飽き足らず、さらなる出会い(刺激?)を求めて蜜蜂の館に興味を示しているクラウド。
本来のクラウドが女性慣れしていない朴訥な人物であることを考えると、これはクラウドの疑似人格にザックスの“女好き”が影響していることを示す描写の1つであると言えるでしょう。
② 蜜蜂の館への入店時

「女装に必要な何か」などと尤もらしい理由(=建前)を語るクラウド

そんなクラウドの「誤魔化し」について冷ややかな視線を送るエアリス

この場面、クラウドが気合入りまくりで笑えるのは筆者だけか?
またもや登場した「蜜蜂の館」ですが、今回は先ほどのジョニーとの会話以上にザックス由来の“女好き”が感じられる場面です。
コルネオ邸に潜入するために、何と主人公が女装するというFF7屈指の迷イベント。
その一環で、FF7のみならずFFシリーズ全体を通して見てもトップクラスの怪しさを誇る「蜜蜂の館」に入店したクラウド。
この時のクラウドからは“仕方なく嫌々と”入店するといった雰囲気は全く感じられません。
それどころか、むしろ“期待と興奮に胸を弾ませながら”入店しています。
クラウドが言っている女装に必要なもの云々なんて、ここでは建前にしか見えません。
本音の方は、この店の中にいるであろう魅力的な女性との出会いが楽しみで仕方ない。
そのような魂胆が透けて見えます。
そんなクラウドの下心を見抜いているからこそ、エアリスは建前で本音を誤魔化そうとしているクラウドに突っ込みを入れたのでしょうね。
これもまた、クラウド本来の人格からは大きくかけ離れた発言&行動だと言えます。
むしろ、この場面だけを切り取って見ると“女好きのザックス”そのままです。

「本来のクラウド」であれば、蜜蜂の館に入ることを決断できるかどうかも怪しいもんだ…

いや、そもそも蜜蜂の館を見た時点で挙動不審になるのでは?
エアリスという美女が目の前にいる状況で、他の女性への興味を隠そうともしない。
それどころか、堂々と、そして揚々と店内へと走っていくクラウド。
あくまでネタ的なイベントではあるものの、この「蜜蜂の館」関連のイベントではザックス由来の“女好き”が十二分に発揮されていると言えるでしょう。
③ ミッドガル脱出時

カームまでの道中、パーティーを分けることをクラウドに提案するバレットだが…

ある条件を満たすと、クラウドが女好きであることを揶揄するような台詞を喋る
ミッドガルを出てカームへと向かう際、バレットがパーティーを二手に分けることを提案します。
その際にクラウド・ティファ・エアリスの3人パーティーを編成すると、バレットが上記画像のような発言をします。
これもまた、クラウド&ザックスの関係性を紐解く上では地味に重要なシーンだと思うのは筆者だけでしょうか?
それでは、この場面におけるバレットの思考について読み解いていきましょう。
「やると思ったぜ」
果たして、バレットは何について“やると思った”のか?
言わずもがなですが、それはクラウドがティファ・エアリスとの同行を選んだことについてです。
では、それは一体なぜなのか?
それは、クラウドが“両手に花”というチャンスを見逃すはずがないと思ったから。
その一言に尽きます。
出会って間もないものの、バレットはクラウドのことを“女好きの人物”だと認識していた。
だからこそ、今回のような状況ならばクラウドは間違いなくティファ・エアリスの2人と一緒に行動するはずだと予想していた。
そのように考えると筋が通ります。
ゲーム内では描写されていないだけで、バレット目線ではクラウドが“女好き”であることを察するような場面があったのでしょう。
先ほど述べた「蜜蜂の館」のように、クラウドの疑似人格の中にはザックス由来の“女好き”という要素が潜んでいます。
その“女好き”について、ある意味ではバレット目線の評価とでも呼ぶべき台詞が「やると思ったぜ」という訳です。
ちなみにですが、ここでクラウド・バレット・レッドⅩⅢという3人パーティーを編成すると、今度はティファ・エアリスが下記のような発言をします。

女性陣にとって、男2人+1匹のパーティー編成は意外だったらしい

これもまた原作版FF7においては条件が揃わないと見れないレア会話である
これもまた、ザックス由来の“女好き”を語る上では興味深い描写なんですよね。
ここでのティファ・エアリスの発言を意訳するならば「“女好き”のクラウドが自分たち2人を選ばないなんて予想外だ」といったところでしょうか。
つまり、ティファ・エアリスの2人もまたクラウドのことを“女好きの人物”と認識していた節が窺えます。
特に、エアリスは「蜜蜂の館」での一件を知っています。
それだけに「予想外」という言葉からは余計に説得力が感じられます。

それにしても、こんな細かい描写まで拾って考察するとは…
管理人殿のFF7好きは筋金入りですな…

まあ、小学生の頃から慣れ親しんだゲームだからね…
④『ちょっと背伸びパンツ』の場面

ティファの部屋にてパンツを発見するFF7屈指の迷シーンである
カームでの回想シーンにて描かれた伝説のアイテム『ちょっと背伸びパンツ』。
ティファの部屋に無断で侵入し、箪笥を調べ、そしてパンツを発見し、しかもそのパンツを懐にしまい込む(=盗む)というFFの主人公にあるまじき蛮行。
ストーリー上は必須ではない任意イベントでありながらも、その羨ましさ卑劣さはFFシリーズでも指折りのレベルです。
この“パンツ泥棒”とでも呼ぶべき一連の犯行ですが、ここにもザックス由来の“女好き”が影響している可能性があります。
実際のパンツ窃盗場面に関しては諸説あるものの、この犯行について「本来のクラウド」であれば100%不可能なんですよね。
少なくとも、筆者はそのように考えています。
事実にせよ、妄想にせよ、このパンツ云々については多かれ少なかれザックスが絡んでいる。
筆者にはそのように思えてなりません。

この“パンツ泥棒”の真犯人については下の記事で詳しく考察しているよ!

ティファ殿のパンツに興味がある諸兄は是非とも読んでほしいであります!
【FF7】ティファの『ちょっと背伸びパンツ』を盗んだのはクラウドか?それともザックスか?
⑤ 運搬船からの下船時
船内でのジェノバBIRTH戦を経てコスタ・デル・ソルへと到着したクラウド一行。
この時、パーティー内にティファ・エアリスがいない状態だと上記の会話が発生します。
ミッドガル脱出時と同じくパーティー編成によっては発生しない会話イベントであることから、初回プレイではあまり気付かない人も多いかと思います。
…で、注目するべきはクラウドの様子です。
エアリス曰く「クールな顔が崩れている」とのこと。
つまり、この時のクラウドは余程ニヤニヤしていたことが窺えます。
身近な美女2人の水着姿。
それらを想像(妄想?)したことで、クラウドの表情に明確な変化が現れたということですね。
そんなこんなで、自分の表情についてエアリスから突っ込みを入れられたクラウド。
この場面もまた、ザックス由来の“女好き”が垣間見える訳ですよ。
一応、本来のクラウドがムッツリスケベだからこそ疑似人格に影響しているという可能性も否定はできません。
しかし、先述した「蜜蜂の館」や「ちょっと背伸びパンツ」の件と照らし合わせて考えると、やはりザックスの影響であると捉えた方がシックリきます。
⑥ コスタ・デル・ソルの浜辺
運搬船からの下船後、コスタ・デル・ソルの浜辺に行くと上記の会話イベントが発生します。
浜辺で水着姿のお姉ちゃんたちと戯れている宝条。
そんな宝条を見て、釈然としないものを感じているティファ。
そんなところにクラウドがやってきた訳ですけど、これも選択肢次第ではザックス由来の“女好き”が垣間見えます。
この場面、会話の選択肢は「あいつは宝条…」と「水着の女の子か…」の二択です。
本来のクラウドが選びそうなのが前者、ザックス要素が強い場合に選びそうなのが後者、といったところでしょうか。
…で、後者を選ぶとクラウドが「悪くない眺めだな…」などと言う訳ですよ。
しかもこの場面、ティファの反応から考えるに、クラウドは冗談ではなく本気でこの発言をしています。
これもまたクラウド本来の人格がムッツリスケベなのであれば、一応ですけど筋が通る話ではあります。
しかしながら、ストーリー後半のクラウド(=本来の人格)、さらには派生作品でのクラウドの様子を見た限りだと、このような場面で“水着の女の子”に目が向くなんて十中八九あり得ません。
これは即ち、ザックスによる“女好き”が疑似人格に大きく影響していることを示唆しています。
「本来のクラウド」は女性慣れしていない
序盤~中盤のクラウドから伝わってくるザックス由来の“女好き”。
その反対に、「本来のクラウド」が女性慣れしていないことを示している場面も存在します。
その代表格がプリシラに人工呼吸を施すイベントです。

ああ、クラウド殿の“ファーストキス”として名高いイベントですな!

そうは言っても、人工呼吸を“キス”として捉えるかどうかは人それぞれだけどな…
ここで人工呼吸するように周囲から促されたクラウドは、どこからどう見ても挙動不審です。
…と言うか、プレイヤー目線では逆に笑えるレベルです。
ネット上で「クラウ童貞」などと揶揄されているクラウドですが、童貞云々はさて置き、ここでのクラウドからは明らかに女性慣れしていない様子が窺えます。
それでは、問題の(?)人工呼吸シーンについて詳しく見ていきましょう。
注目すべきは、クラウド自身が言った「あの、女の子だし…」という台詞です。
女の子だったら、一体何なのでしょうか?
自分のような成人男性が、かなり年下の少女に人工呼吸したら拙くないか?
…とでも言いたかったのでしょうか。
それはそれで間違いないでしょうけど、その他にもクラウドが動揺した理由はありそうです。
クラウドが人工呼吸を渋った真の理由。
それは、クラウドが「キス」を連想したからではないでしょうか?
念のため付記しますが、人工呼吸そのものは立派な救命行為です。
そして何より、ここでのプリシラは呼吸停止状態であり、端的に言えば命が危うい状況です。
その反面、人工呼吸を行うということは、実質的には唇と唇を重ね合わせることを意味しています。
目の前にいる女性(少女だけど)と、唇を重ね合わせる。
その件について、この時のクラウドはキスを連想して戸惑ったのだと考えられます。
キスを「唇と唇の接触」と定義するならば、クラウドのファーストキスの相手はプリシラだという説すら成り立ちます。
何れにしても、クラウドにとって異性への人工呼吸(=唇と唇の接触)は重大な意味を持つ行為であったことは間違ありません。
そして、このような場面で戸惑うような人物こそが「本来のクラウド」ではないか?
…と、筆者は考えています。
選択の余地もなく、人工呼吸をせざるを得ない。
そのような逼迫した状況だからこそ、普段のクールな態度を取り繕う余裕がなく、地が出てしまった。
「地」――つまり「本来の自分」です。
こうして見てみるとラブコメ漫画の一幕みたいですが、クラウドの疑似人格に含まれている「本来のクラウド」の要素を読み解く上では、これはとても重要な描写だと言えます。
それもそのはず、陽キャ・モテる・女好きの三拍子が揃っているザックスであれば、ここまで挙動不審になったりはしないでしょうからね。

ザックスならキス(=唇と唇の接触)くらいで取り乱したりはしないだろうなぁ…

ザックス殿みたいな百戦錬磨のモテ男ともなると、そのくらいの余裕はありそうですな…
その他にも、クラウドが女性慣れしていないことを示唆している場面があります。
それは、ゴールドソーサーでのデートイベントです。
このイベント時にエアリスが来ると、エアリスがクラウドにデート経験の有無について尋ねます。
ここでの選択肢が、これまた興味深い。
なぜかと言うと、片方はザックスが言いそうで、もう片方は「本来のクラウド」が言いそうな台詞だからです。

真夜中にも関わらずクラウドの部屋にやってきてデートに誘うエアリス

目の前の展開に付いていけず素っ頓狂な反応をするクラウド

そんなクラウドにデート経験の有無について尋ねるエアリス

ここで「正式には、ない」と正直(?)な回答をすると…

エアリスから良くも悪くも“正確な評価”をされてしまうのであった
再三のことですけど、原作版FF7のザックスはガールフレンドが多数いるモテ男です。
もしかすると、デートなんて“慣れている”を通り越して“飽きている”という域にまで達しているかもしれません。
その一方で、クラウドはどうでしょうか?
言わずもがなですが、クラウドはと言えば女性経験など皆無に等しい人物です。
少なくとも、ゲーム内でクラウドがデートなりキスなりしている描写は確認されていません。
(※ただし、大空洞への突入前夜に好感度次第ではティファと○○○する描写はある。)
…という訳で、デート経験に関するエアリスからの質問に対して「正式には、ない」と答える辺りから「本来のクラウド」の匂いがするのです。
女性経験という点において、まさに対照的と言っていいクラウドとザックス。
両者の違いについて特に感じられるのが、エアリスとデートする前の会話選択肢なのかもしれません。

クラウド殿とザックス殿が“似て非なる人物”であることの証明ですな!

ああ…
このデートでエアリスがザックスのことを引き合いに出すからこそ、余計に印象深いというのもあるな…

恋愛的な角度からストーリーの核心に迫る台詞を喋るエアリス

「歩き方」も「手の動かし方」もクラウドの中にあるジェノバ細胞が「ザックスの仕草」をコピーしただけに過ぎない
まとめ:ザックスの“女好き”はクラウドの人格形成に影響を与えた
ザックスが「クラウドの疑似人格」における基礎となったことについて、今日では割と有名な話です。
原作版FF7をプレイしたことはなくても、この事実だけは知っている。
…みたいな人も、実はそこそこ多いのではないでしょうか?
でも、原作版FF7の発売当初(1997年頃)は「結局のところクラウドとザックスってどんな関係なの?」みたいな感じで困惑する人も多かったと聞きます。
実際のところ、当時は小学校の低学年だった筆者なんかはチンプンカンプンでした。

そもそも「ジェノバ細胞が他者の記憶を読み取る」という設定が難解であります!

この設定を初見で100%理解して、その上でストーリーを俯瞰できるプレイヤーが当時どのくらいいたのだろうか…
こんな具合にクラウドとザックスの関係性を読み解いていくと、意外と躓きやすいポイントが多いんですよね。
ジェノバだの、リユニオンだの、セフィロス・コピーだの、その他の設定に関する複雑さとも相まって混乱する人が出てくるのも、まあ理解できる話ではあります。
その一方で、全ての設定を理解した上で原作版FF7をプレイすると、このゲームは本当に細部まで練り込まれていると感心します。
会話イベントにおける任意の選択肢なんかが、その最たる例ではないでしょうか?

ここで「宝条」と「水着の女の子」を天秤にかける辺りが、地味ながらもクラウドの「疑似人格」を上手く表現しているように思える…
ある選択肢は、ザックスが言いそうな台詞。
他の選択肢は、本来のクラウドが言いそうな台詞。
内容的に相反している選択肢が出てくること自体が、序盤~中盤におけるクラウドの思考の歪さを表している。
こうして見てみると「クラウドの疑似人格」がいかに複雑な存在かがよく分ります。
ついでに言うと、原作版FF7では殆ど出番がなかったザックスですが、その時点で“女好き”という設定は確固たるものであったことが窺えます。
このような設定を踏まえた上での台詞回しについては、制作スタッフも狙ってやっているのでしょうね。
世界で最も売れたFFである「7」ですが、こういったストーリーの完成度が一役買っているのは間違いなさそうです。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
コメント