こんにちは、FF大好きのユウです!
今回は「クライシス・コア・ファイナルファンタジーⅦ」(※以下、略称であるFF7CCと記載)に登場する女性タークス「シスネ」について語っていきます。
FF7CCとは、2007年にPSPで発売したFF7派生作品の一つです。
2022年12月にはリマスター版も発売されました。
当然ながら、FF7を愛している筆者はPSP版もリマスター版もメチャクチャやり込んでいます。
主人公はクラウドの疑似人格のベースになったザックスであり、FF7本編の前日譚といった位置付けです。
そんなFF7CCですけど、それはもう男臭い作品です。
ザックスの周囲にいるのは、揃いも揃って男、男、男。
そんでもって、その男同士の絡みがやたらと濃い。
それはクラウドも然り、セフィロスも然り、アンジールも然り、ジェネシスも然りです。
まあ、作品のテーマとして男同士の友情や信頼関係に焦点が当てられている訳ですから、それはある意味、当たり前のことなんですけど…
美形の男性キャラクターばかりが登場する手前、PSP版が発売した2007年当時から「ホモ臭いゲーム」などと揶揄する人も一定数おりまして、そういった意味では不遇な作品かもしれません。
しかし、FF7CCでは女性キャラクターもしっかりと登場します。
一人は、本作だけではなくFF7本編でもメインヒロインを務めているエアリス。
そして、エアリスとは異なる立ち位置でサブヒロインを務めているのが、本記事で紹介する「シスネ」です!
この男臭い作品にあって、前者のエアリスが大きな役割を果たしているのは言わずもがなですが、後者もシスネもかなり良い味を出しています。
そもそもFF7CCという作品自体、名前付きの女性キャラクターと言えば、実はシスネ&エアリスの二人くらいしかいません。
あとは、第8章(ニブルヘイム編)でティファが少しだけ登場するくらいですかね…
このシスネに関してですが、ポッと出のサブヒロインなどと侮るなかれ、凄まじい魅力に溢れているキャラクターです。
作中全体のイベントシーンの時間を見ても、シスネとエアリスの登場場面は同じくらいであり、かなり優遇されているキャラクターだと言えます。
そこで、本記事では筆者の思い出話を交えつつ、シスネの魅力を存分に語っていこうと思います!
シスネの基本情報
・職業:タークス
・武器:手裏剣
・声優:中田あすみ氏
史上最年少でタークス入りした記録を保持する少女。
身の上は天涯孤独で、孤児院にいた幼少期に神羅から才能を見出され、ゆくゆくはタークスとなるべく専門の訓練を施されてきた。
隊員の中で最も年下だが、困った者を放っておけない世話好きな性分。
八番街の警護中にザックスと出会い、彼の人間性に惹かれていく。
引用:CRISIS CORE FINAL FANTASY Ⅶ ULTIMANIA 27ページより
FF7CCというゲームをクリアした人ならば、シスネに対して好感を抱いたプレイヤーが殆どではないでしょうか?
実際のところ、作中におけるシスネの貢献度は非常に高いと筆者は考えています。
男臭いFF7CCというゲームに華を添えているだけでなく、ザックスの逃避行を手助けするという意味でもです。
そんなシスネですけど、彼女のことを端的に表すなら“タークスらしくない人物”です。
「困った者を放っておけない」という公式設定がある訳ですが、もうその時点でタークスには向いていないって感じがします。
怜悧冷徹な主任としてタークスを束ねるツォン。
不満を抱えながらも七番街プレートを破壊したレノ。
プライド故に舐められることを嫌うルード。
ポンコツに見えて任務遂行には躊躇がないイリーナ。
FF7本編に登場するタークスのメンバーたちと比較しても、シスネは明らかに情が深い人物です。
“情が深い”という部分に関して、一般人であれば美点と呼んでも良い要素です。
しかし、タークスのようなプロフェッショナル集団においては、その限りではありません。
…と言うか、神羅カンパニーの中で汚れ仕事を請け負っているタークスとしては、割と致命的な欠点だと思われます。
非情に徹しきれない点を除けば、タークスとしての資質は申し分ないのですが…
実際のところ、シスネはザックスのことを意図的に2回も見逃しています。
2回ですよ、2回!!!
任務遂行を最優先して動くタークスでありながら、私情に流されて仕事を放棄する。
“優しい”を通り越して、もはや“甘い”と言わざるを得ない行動を取る。
それはタークスとして失格もいいところですが、そんな“甘い部分”こそがシスネの魅力だと思うのです。
そんな訳で、ここから作中におけるシスネの描写について深掘りしていこうと思います!
戦闘能力はかなり高い
流石にザックスやセフィロスといったソルジャー・クラス1stには及ばないものの、FF7の世界において、シスネの戦闘能力は高い部類に入るであろうことが示唆されています。
FF7CCの作中では、世界各地に現れたジェネシス・コピーを単独で倒しています。
ちなみにですが、ジェネシス・コピーの素体には、ソルジャー・クラス2ndまたは3rdの肉体が使われています。
よって、シスネの実力は少なく見積もっても中堅レベルのソルジャーを上回っていることが窺えます。
この辺りは「史上最年少でタークス入りした」という設定よろしくといった感じですね。
ジェノバ細胞によって肉体が強化されている訳でもないのに、これだけの強さを誇るとは大したものです!
武器は手裏剣であり、動きも俊敏なので、FFのジョブで例えるなら忍者タイプですかね。
FF7世界の中では、ユフィの戦闘スタイルに近いと言えます。
そのため、FF7CCが発売した当初は「シスネはウータイ出身ではないか?」などと噂されていました。
ですが、FF7の10周年記念アルティマニアによると、出身地は「不明」と明記されています。
「孤児院で暮らしていた頃に才能を見出された」という設定があるので、ウータイの血縁という訳ではないけど、ウータイ流の技術を仕込まれて育ったということなのかもしれません。
単純な戦闘行為だけでなく、潜入・諜報・破壊工作といった方面でも活かせる能力が揃っていそうですので、神羅のタークスとしては非常に有能な人材だと言えるでしょう。
実際のところ、ゴンガガでザックスの前に姿を現した時は、まさに忍者さながらで気配を悟らせることなく無音で出現し、ザックスのことを驚かせています。
もしシスネがザックスのことを本気で捕縛なり暗殺なりしようとしていたら、ザックスもクラウドもかなり危なかったのではないでしょうか?
第9章でザックスがシスネに「見逃してくれ」「タークス相手じゃ流石にキツい」と言ったのは、シスネの実力を知っていたが故の発言だったのかも…
家族も肉親もいない哀しい生い立ち
優れた戦闘能力や技術を誇っているシスネですが、その生い立ちは暗いです。
親を知らず、兄弟も知らず、物心ついた頃には孤児院で生活していたシスネ。
その後は神羅のタークスとなるべく英才教育を施され、その甲斐あって史上最年少でタークス入りするという記録まで打ち立てた訳ですが、果たしてそれはシスネにとって幸福だったのかどうか。
作中の描写から察するに、一つだけ確実なのは“精神的には決して幸せではなかった”ということです。
作中でシスネ自身が言っていますが、シスネは幼少の頃から「自分以外は敵と思え」などと教えられて育った人物です。
それはタークスとして好ましい思考法なのかもしれませんが、そんな価値観を幼少期から植え付けられる側としては、ハッキリ言って堪ったもんじゃないですよね。
このこと自体、傍から見たら不幸としか言いようがありません。
シスネ自身もそのような生育環境について嫌悪感を抱いていたのか、幼い頃に「翼があればいいと思ってた」と発言しています。
翼とは、自由の象徴である。
シスネはそのように考えている節がありますので、このことからシスネは幼少期から「自由」を欲していたのかもしれません。
辛くて厳しい訓練なんて投げ出して、普通の女の子として生きたい。
でも、周囲の大人たちがそれを許さなかった。
なぜなら、シスネにはタークスとしての資質があったから。
そして、幸か不幸か、史上最年少でタークス入りしてしまった。
しかし悲しいかな、タークスとして非道な任務を全うするには、シスネの心は優し過ぎた。
このような事情と相まって、物語後半でシスネは「任務遂行」を躊躇ったのでしょう。
タークスとして正しいのは、私情を排して任務を遂行すること。
シスネ自身が望むのは、どうにかしてザックスを助けること。
この板挟みによって悩む姿もまた、シスネという人物の魅力だなぁと筆者は思う訳です。
後ほど紹介しますが、ニブル平原の浜辺で見せた悲しい表情がプレイヤーの視点からだと切なく映ります…
ザックスの逃避行を手助けする
FF7CCの作中において、シスネは2回もザックスのことを見逃してくれます。
1回目はニブルヘイム付近の平原にて。
2回目はザックスの故郷であるゴンガガにて。
わざわざ上司に嘘の報告を入れ、魔晄中毒者が一緒でも移動しやすいようにサイドカーまで用意するという手厚い支援。
ザックスにとっては僥倖もいいところだったことでしょう。
でも、これってタークスとしては完全に失格な行為なんですよね。
そもそも、この時のシスネの任務とは「逃亡した実験サンプルを連れ戻すこと」です。
つまり、科学部門(その中でも特に宝条か?)からの要請に基づいて行動している訳ですね。
神羅カンパニーという会社は、後ろ暗い事情がある仕事はタークスが請け負うという企業文化があります。
よって、ザックス&クラウドが逃亡した件も、ご多分に漏れずタークスにお鉢が回ってきたという感じでしょうか。
しかしながら、先述した通りシスネは2回も任務に“失敗”しています。
これは意図的な行為であり、そのお陰でザックス&クラウドは捕まらずに済んだ訳ですが、タークスとしてはお世辞にも褒められたもんじゃありません。
社会人というか、組織で働いている人であれば凄く分かると思うのですが、これは絶対に社内で責任を問われるパターンだと思うんですよね。
多分ですけど、シスネは帰社した後、何らかの形で「任務失敗」という結果について叱責されたんじゃないですかね。
一時的にとはいえ、シスネはタークス内で肩身の狭い思いをしたのではないでしょうか?
でも、シスネは頭が良い女性なので、自分が叱責される展開も承知の上で、ザックスを助けるという決断をしたのだと思います。
任務遂行を最優先して動くタークスとしては、どう考えても異端の存在。
そういった意味では、シスネは“タークスらしくない人物”だと言えます。
でも、そこが良い!!
そこが、シスネの魅力である!!
…と、筆者は断言します。
これぞFFの真骨頂とでも呼ぶべき人間ドラマであり、なおかつシスネというキャラクターの本質について垣間見えるのが最高に良い。
そのように思うのは、筆者だけでしょうか?
悩んだ末に、任務遂行の使命感よりも、ザックスを助けたいという私情を優先したシスネ。
もちろん、シスネにはタークスとしての立場があるので、あまり表立っては動けません。
そういった事情を踏まえた上で、シスネは自分の職責の範囲内で、最大限の支援をザックスに対して行っています。
このようなリアルの社会人にも通じる事情を抱えている辺りもまた、シスネというキャラクターの魅力であり、FF7CCのヒロイン格として株を上げた一因だと思っています。
実はエアリスと同年齢である
シスネは初登場の時点(=ミッドガル八番街でのイベント時)で16歳です。
そして、FF7CCのエンディング時点(=ザックスの死亡時)で22歳です。
つまり、シスネとエアリスは同年齢なのです!!
このような年齢設定もまた、FF7CCのヒロイン論争でシスネとエアリスが比較されるネタになっています。
ついでに言うと、ザックスはシスネ&エアリスよりも1歳だけ年上です!
後ほど詳しく触れますが、シスネはザックスに対して恋愛感情を抱いている節があります。
シスネ自身がクールな性格だからあまり表立ってはいないものの、コスタ・デル・ソルの浜辺で談笑したり、メールでLOVELESSの観劇に誘ったりなど、サブヒロインとしての務め(?)はしっかりと果たしています。
…が、FF7CCをクリアしたプレイヤーならご存知の通り、中盤以降のザックスはエアリス一筋の状態です。
恋愛的な意味で言えば、もうその時点でシスネはエアリスに敗北していると言えます。
その一方で、ニブルヘイム事件以降の逃避行において、ザックス&クラウドを実質的に支援しているのはシスネです。
…と言うか、シスネが意図的にザックス&クラウドを見逃さなければ、その時点でFF7CCという作品はバッドエンディングを迎えていた可能性すらあります。
神羅屋敷からの脱出後、逃亡生活におけるザックスのモチベーションを支えているのは、間違いなくエアリスの存在によるところが大きいです。
しかし、エアリスとは別の角度からザックスに救いをもたらしたシスネの功績もまた、決して小さなものではないと筆者は思う訳です。
ストーリー上の役回りとして、エアリスに出来ないことをシスネがやっているという感じですからね!
そうは言っても、シスネがエアリスのことを明確に恋敵視している描写はありません。
そもそも、FF7CCの物語内でシスネとエアリスが対面するような場面もありません。
(※タークスにとって古代種は護衛対象でもあるので、シスネはエアリスの素性について詳しく知っていたと考えられますが。)
よって、FF7本編のエアリス&ティファのように、対等の立場で恋愛バトルが繰り広げられている訳ではないのですが…
FF7CCという作品だけに限ってみて見ると、シスネとエアリスの二人が同年齢であるという設定については、製作スタッフなりの拘りみたいなものが窺えます。
FF7シリーズで初めて水着姿を披露した
今から少しばかり、FF7CCがPSPで発売した2007年当時の思い出話をします。
令和の現在でこそ、エアリス・ティファ・ユフィといったFF7本編での女性キャラクターたちが当たり前のように水着姿を見せていますが…
何を隠そう、派生作品を含むFF7シリーズの中で水着姿を初めて披露したのはシスネなのです!!
この事実について、意外と知らない人も多いかもしれませんね。
それだけに、2007年にFF7CCが発売した当初、FF7好きのユーザー界隈では結構な話題になったんですよね。
エアリスやティファですら水着姿になってないのに、新キャラの女タークスが水着になったぞ!!
…みたいな感じでね。
FF7CCという作品において、あくまでシスネはサブヒロインという扱いになっていますが、この水着姿のお陰で一躍有名になった訳です。
やっぱり水着の破壊力って凄いわ…
コスタ・デル・ソルでのイベントの際、ザックスとシスネが何の前触れもなく水着になって出てきたものだから、初見ではかなり驚いたプレイヤーもいたとか。
…と言うか、発売直前のゲーム雑誌とかでもシスネの水着姿が取り上げられたりして、もうその時点で結構な話題性がありましたし。
しかも!!!
2022年のリマスター版では、グラフィックに磨きがかかった状態で水着姿のシスネが帰ってきました。
まさに「再臨、水着の天使」といったところでしょうか。
何かにつけて再臨しまくっている片翼の天使とは別の意味で注目を集めたシスネ…(汗)
余談ですが、ザックスは水着姿のシスネを目の当たりにしても無反応です。
この時点でのザックスはエアリスのことで頭の中が一杯であり、シスネに対して鼻の下を伸ばすような素振りは一切ナシ。
「オイル塗ろうか?」というシスネの申し出を無視して、スクワットに励むという体たらく。
良くも悪くも「エアリス馬鹿」なザックスが見れるシーンなのですが、これがまた当時は賛否両論だったんですよね。
かくいう筆者自身も、FF7好きの友人同士で色々と語り合ったことをよ~く覚えています。
原作版FF7で描かれた“女好きなザックス”からは想像もつかないような塩対応であり、FF7好きのユーザー間で物議を醸したという訳です。
原作版FF7を周回プレイしていた筆者としても違和感を覚える描写であり、そのことで【ザックスの性格が改変された】とまで思ったものです。
もしザックスの性格改変について興味がある人は、下の記事を読んでみて下さい!
FF7に登場するザックスの性格が改変された理由について考察する!
ザックスのファンクラブ会員である
FF7CCでは、セフィロス・ジェネシス・アンジールといった主要なソルジャーのファンクラブが存在します。
この各ファンクラブに関しては複数のサブイベントが用意されており、それらをクリアすることがFF7CCというゲームにおけるやり込み要素の一つになっています。
じゃあ、ザックスのファンクラブはあるのか?
…という疑問をお持ちの人も多いかと思いますが、当然あります!
しかしながら、このザックスのファンクラブ、ある特定の手順を踏まないと入会はおろか存在すら知ることが出来ません。
いわゆる隠しイベントの一種ですね。
そのため、ストーリー重視でサクサク進めていたプレイヤーにとっては、初回プレイではザックスのファンクラブ自体に気付かなかった人も結構いたのだとか。
では、ザックスのファンクラブに関するイベントとは、どのようにして発生するのか?
実はですね、第6章でジュノンがジェネシス軍に襲われた際、特定の場所でシスネに話しかけることで、ザックスファンクラブのイベントフラグが立つのです。
その後、第7章で神羅ビルの受付嬢に話しかけると、晴れてザックスのファンクラブに入会できるという流れになっています。
ザックス自身がザックスのファンクラブに加入するという、傍目から見ると奇妙な光景で笑えます!
その後、ファンクラブ経由でザックスのもとに様々なメールが届く訳ですが、これが中々興味深い。
ザックスがコスタ・デル・ソルで水着姿のまま応戦した件について、なぜかファンクラブ内で情報共有されているときた。
この情報の投稿主は「黒服」というペンネームなのですが…
実は、この「黒服」の正体こそがシスネなのです!
神羅カンパニーの暗部にて蠢く非情の戦士が、いちソルジャーのファンクラブに加入している。
しかも、タークスの服装に因んだ「黒服」というペンネームで。
極めつけに、割とコアなファンとして情報投稿まで行っている。
そう考えてみると、シュールかつ微笑ましく思えてきますよね。
コスタ・デル・ソルでの事件当時、シスネは17歳ですので、ある意味では年相応の行動だとも言えます。
まさに、青春って感じがしますね。
表向きはクールな態度を取っているシスネですが、仕事以外の場面では意外と普通の女の子なのかもしれません。
それにしてもファンクラブにまで加入しているとか、シスネってザックスのこと好き過ぎるだろ!!
シスネに関する裏設定
ここまでFF7CCの作中で描かれたシスネについて深掘りしてきた訳ですが、ここからはさらに深い部分にまで触れていこうと思います。
実はですね、シスネにはゲーム内では明言されていない裏設定が多数存在しています。
これはFF7CCのアルティマニアを読まないと分からない内容ばかりなのですが、FF7大好き人間である筆者は、当然ながらアルティマニアの細部まで読み込んでいます。
そこで、ここから先はアルティマニアの記載内容を引用しながら、シスネの裏設定について語っていこうと思います。
本名は「BCでのプレイヤー名」である!
――物語後半の、「まだ本当の名前を言っていない」というシスネのセリフは、どういう意味なんですか?
今泉 『BC』ではユーザーが名前を付けるので、「シスネ」が公式の本名になると悪いかなと思って、「シスネ」はコードネームということにしたんです。
北瀬 ボイス収録の終了まぎわに、無理矢理あのセリフを足したんだよね。僕はスタジオまで聴きに行っていた、「本当の名前って何?」ってビックリした覚えがある(笑)。
引用:CRISIS CORE FINAL FANTASY Ⅶ ULTIMANIA 581ページより
FF7CCの第9章で訪れたゴンガガで、シスネは「それ、本名じゃないの」と発言します。
本名じゃない、だって?
つまり、どういう意味?
…みないな感じで、この台詞はザックスのみならずプレイヤーをも驚かせました。
そう、「シスネ」という名前は本名ではなく仮名だったのです!!
しかも、物語をエンディングまで進めても、シスネの本名は明かされないまま。
結局のところ、シスネの本名は何と言うのか?
そのようにモヤモヤとした気持ちを抱えたプレイヤーも多いことでしょう。
これね、今思い返してみてもリアルタイムで『BC』をプレイしていた人でなければ混乱必至な展開だったと思うよ…
FF7CCがPSPで発売した2007年当時、FF7の派生作品である「BEFORE CRISIS」(以下、BCと記載)というゲームが携帯電話で展開されていました。
現代風に言うと、いわゆるソシャゲですね。
現在はサービス提供が終了しているため、残念ながらプレイすることは不可能です。
そんな幻のゲームと化したBCですが、この作品にこそシスネの本名に関する秘密が隠されています。
BCはタークスが物語の中心に据えられているゲームであり、当然ながら主人公もタークスでした。
具体的には、プレイヤーは任意の主人公を選んで任務に臨むという形式だったのですが、その主人公の中の一人が「シスネ(手裏剣:女)」なのです。
この主人公として選べるキャラクターというのは11人いまして、プレイヤーが自由に名前を付けることが出来ました。
極端なことを言えば、「クラウド」や「エアリス」という名前を付けてプレイすることも可能だった訳です。
当然ながら、シスネにも自由に名前を付けることが出来ました。
その気になれば、「あ」とか「い」みたいなふざけた命名も可能でした。
つまり、シスネの本名とは「BCでプレイヤーが付けた名前」ということになります。
この辺りはプレイヤーによって名付け方が異なることから、見方を変えると“シスネというキャラクターに関しては本名という概念自体が存在しない”とも言えます。
余談ですが、BCの中でシスネを操作可能になるのはストーリー後半からでした…
もっと前半から使いたかったなぁ…
初期案での名前は「ティアン」だった
田畑 シスネは、『BC』でプレイヤータークスを追加する検討をしていた頃に、「『CC』が絡むことになるから、その物語のキーになる人物を『BC』に出そう」ということで作ったキャラクターなんです。
野島 名前の候補はたくさんあって、僕もいくつか提案したんですが、最初は「ティアン」に決まりかけたんですよ。だけど哲さんに「ティファと混同するからダメだ」と却下されました(笑)。
田畑 「シスネ」というのは野村の案ですね。
引用:CRISIS CORE FINAL FANTASY Ⅶ ULTIMANIA 580~581ページより
「シスネ」という名前が仮名であるのは先述した通りです。
しかし、FF7CCのアルティマニアに載っているインタビュー記事によると、元々は「ティアン」という名前に決まりかけていたそうです。
まあ、結局はFF7シリーズでキャラクターデザインを行っている野村哲也氏の意向で「シスネ」という名前に決まったとのことですが…
アルティマニアでこのような話が出てきたものだから、FF7好きの界隈では「シスネの本名は“ティアン”ということで良いのでは?」という言説が流れたりもしました。
筆者自身も、FF7CCをプレイしていた友人と、そんな会話をしたような記憶があります。
ちなみにですが、このアルティマニア記事に触発された一部のBCプレイヤーが、「手裏剣(女)」に「シスネ」ではなく「ティアン」という名前を付けて遊んでいたとか…。
某掲示板で、そのようなことを投稿していた人がいた気がする…
コンセプトは「機動力があって優しい人物」
野島 色々な出来事を経てちょっと荒んでしまったザックスに、「あなたは一人じゃない」と励ましてあげられるキャラクターとしてシスネを出しました。
シスネ自身も孤独というか、任務優先で苦しいこともあると思うんですが、そんなときでも人としても優しいものの見方を忘れない人物、という感じですね。
物語中では殺伐とした人ばかり出てくるし(笑)、やわらかいところを担当するエアリスもスラムを離れられないので、機動力がありつつ優しい言葉をかけられる人物として登場させています。
引用:CRISIS CORE FINAL FANTASY Ⅶ ULTIMANIA 581ページより
シスネというキャラクターが誕生した経緯には諸説あります。
ですが、FF7CCのアルティマニアを読んだ限りだと、シスネの造形にはどうやら野島氏(シナリオライター)の意向が強く反映されていることが窺えます。
FF7CCのストーリーを考える上で、ザックスが行く先々で登場させられるタークスは、とても都合が良い存在だったのでしょうね。
ましてやシスネは忍者タイプのキャラクターなので、隠密行動には特に向いていそうですし。
それが巡り巡って、ザックスを陰から助けることにも繋がっている訳ですから、野島氏にとっては動かしやすいキャラクターだったのではないでしょうか?
なるほど、この辺りは確かに「機動力がある人物」だな…
FF7CCのメインヒロインはエアリスですが、残念ながら作中でのエアリスはミッドガルから一歩も外に出ていません。
(※エアリスは最後の古代腫として常に監視されているという事情もあるので、この場合は「出ていない」ではなく「出れない」という表現が適切かもですが。)
そんな経緯があるため、ミッドガルの外にいるザックスとのコミュニケーション手段は、もっぱら電話。
付け加えると、エアリスは携帯電話を所有していないことから、メールという手段は使えない。
そして、ニブルヘイム事件以降はザックスへの電話が通じず、手紙というやり方に切り替えて見たものの、当然ながら返事は来ない。
そしてザックスの側からしても、エアリスの手紙を読んだのは犬型のアンジール・コピーが運んできた1通のみ。
もはや音信不通と呼んでも差し支えない状態であり、メインヒロインにしてはあまりにも遠距離恋愛過ぎる展開の目白押し。
野島氏もその辺りを理解していたからこそ、エアリスの代わりとしてシスネに頑張ってもらっていた訳ですね。
もしエアリスがミッドガルから出張ってきたら、その時点でストーリーが破綻してしまうからなぁ…
こうして書いてみると、いかにもシスネはエアリスの代打のような存在であり、悪い言い方をするなら“負けヒロイン”そのもの。
ですが、そんな経緯は重要ではありません。
大切なのは、シスネという素晴らしいサブヒロインが誕生したという事実です!!
見た目といい、性格といい、戦闘スタイルといい、設定といい、刺さる人には深く刺さるキャラクターです。
かくいう筆者自身も、シスネというキャラクターが胸に刺さりまくったプレイヤーの一人です。
FF7CCという作品の中だけに限れば、「ザックスにはエアリスよりもシスネの方が似合っているのではないか?」などと真面目に思っています。
(※筆者はエアリスが嫌いな訳ではなく、むしろエアリスも大好きですし、何だったら【FF7が名作と呼ばれたのはエアリスのおかげ】とまで思っていますけど。)
取りあえず、筆者は声を大にして言いたい。
野島さん、よくやってくれた!!!
ザックスとの関係は“友達以上 恋人未満”か?
FF7CCの作中において、シスネはザックスに対して恋愛感情を抱いている節があります。
後ほど詳しく触れますが、観劇という名目でデートに誘ったり、ザックスの両親から嫁に来ないかと誘われて満更でもなさそうだったり等々。
恋愛的な意味で、シスネはザックスのことを好きなのではないか?
…と思わせるような描写が複数あるのです。
しかし、捉え方によっては“単なる友人関係”に見えなくもない。
この辺りはプレイヤーごとに解釈が分かれるところだと思います。
実際のところ、ゲーム内の描写を見ても、アルティマニアの内容を読んでも、シスネがザックスに対して友人以上の感情を抱いているのかどうかは定かではありません。
シスネは、ザックスのことが好きなのか?
あるいは、恋愛的な意味での“好き”という感情を自覚していないだけなのか?
それとも、単なる友人としか思っていないのか?
シスネの胸中については想像に委ねたい、という製作スタッフの意図が感じられますが…
筆者としては『シスネはザックスのことが好きである』という説を支持しています。
まあ、そうは言ってもザックスにはエアリスがいますので、シスネと恋仲になる訳ではありません。
しかしながら、シスネとザックスは単なる友人関係の枠には収まらない付き合いをしているのも事実です。
ただの友人と呼ぶには、あまりにも恋愛的な要素が含まれている関係性。
その一方で、恋人という領域にまで関係が達している訳ではない。
つまり、一言でまとめると“友達以上 恋人未満”という表現が適切だと思っています。
では、なぜ筆者はそのように思うのか?
そして実際のところ、ザックス側はシスネのことをどのように思っていたのか?
その辺りの描写について、作中の各場面を検証していこうと思います。
デートの誘いに見える描写 その1
これは戦闘中のデジタル・マインド・ウェーブ(以下、DMW)で見ることが出来るイベントシーンです。
ザックスの髪形から分かる通り、時系列としてはアンジールからバスターソードを継承する前のタイミングです。
より具体的には、ザックスがシスネやエアリスと知り合って間もない頃ですね。
この時点でのザックスは、まだエアリスとの交流は浅いせいか、エアリス一筋とは呼べないような印象を受けます。
時系列的なことを言うと、ザックスはシスネ&エアリスと殆ど同時期に知り合っています!
「今夜メシでもどうだ?」という言い方からは、ザックスがシスネをデートに誘っているとの見方も出来ます。
いやいや、たかが晩メシくらいでデートとか大袈裟でしょ!!
…などと筆者自身も思わないでもないのですが、少なくとも興味のない異性を「晩メシ」には誘わないですよね。
大体にして、シスネから断られた直後に「上に掛け合おうか?」などと食い下がっている時点で、ザックス独自の執着みたいなものが見て取れます。
“単なる友人”であれば、たかが晩メシのために「上に掛け合う」ことなどしないでしょう。
よって、この時点でのザックスはシスネとデートしたいが故に食い下がったと捉える方が自然であるように筆者は思う訳です。
そうは言っても、この後ザックスはシスネのことなんて眼中に無いとでも言わんばかりの“エアリス馬鹿”になる訳ですが…(汗)
デートの誘いに見える描写 その2
第8章でザックスがニブルヘイムに赴いた際、シスネからメールが届くという演出があります。
内容は「ミッドガルに戻ったらLOVELESSを一緒に観劇しないか?」というものです。
コスタでザックスがLOVELESSを読んでいたことを知っているとか、シスネってザックスのことを本当によく観察してるな…
FF7CCではジェネシスが何かにつけてLOVELESSの話ばかりをしますので、LOVELESSと言えばジェネシスの独り言というイメージが強い人も多いかもですが…
そもそもLOVELESSの原典とは叙事詩であり、FF7世界の中では舞台化もされているのです。
ちなみに、舞台そのものはミッドガル八番街で公演しています。
では、舞台でのLOVELESSとは一体どのような内容なのか?
作中ではカンセル(※ザックスの同僚ソルジャー)がLOVELESSを観劇したと教えてくれます。
そのカンセルは、LOVELESSの舞台について「男を助けた女視点のラブストーリー」と言っています。
LOVELESSを観たカンセルが号泣したとか、この際そこは重要ではありません。
このような舞台を一緒に観に行こうというシスネの言い方は、まさにデートの誘いそのものです。
だって、ただの“男友達”をラブストーリーの舞台観劇になんて誘わないじゃないですか、普通は。
これは即ち、シスネがザックスに対して少なからず恋愛感情を抱いていた証拠なのかなと。
少なくとも、筆者にはそのように思えてなりません。
しかも!!!
このLOVELESS云々は後々のストーリー展開への伏線でもあります。
「男を助けた女視点のストーリー」
これって、何かと似ていると思いませんか?
そう、第9章でシスネがザックスの逃避行を助けるという構図に似ているのです!
まあ、流石にこれはメタ的な視点からの意見ですけど、この符号については製作スタッフも意図的にやっているとしか思えません。
このようなゲーム内での細かい描写を読み解いていくと、シスネはザックスのことを憎からず思っていたことは明白です。
この辺りの描写は、まさに“友達以上 恋人未満”という言葉が当てはまるように思えてなりません!
ザックスはシスネを「美女」として認識している
これまた時系列はアンジールからバスターソードを継承する前の話になりますが…
神羅ビルのソルジャーフロアでモブのソルジャーに話しかけると、このような会話&選択肢が発生します。
「ミッドガル一の美女は誰だと思う?」という問いに対して、ザックス3種類の選択肢を思い浮かべます。
1つ目の選択肢は、伍番街スラムで出会ったエアリス。
2つ目の選択肢は、同じ会社に勤めているシスネ。
3つ目の選択肢は、まあふざけた内容なのでこの際無視しましょう。
ここで大切なのは、ザックスの頭の中で「エアリス」と「シスネ」が同列に扱われているという点です。
いや、回りくどいことは抜きにして、もっとハッキリ言いましょう。
この描写から窺えるのは「美女という言葉からシスネを連想した」という点です!!
エアリスも、シスネも、ザックスの中では“美女認定”されている訳です!!
つまり、少なくとも第5章の時点では、ザックスはシスネのことを異性としてかなり意識していたと捉えることも出来ます。
もちろん、これはモブのソルジャーとの会話という一幕であり、どの選択肢を選んでもメインストーリーには全く影響しません。
しかしながら、「ザックスはシスネに対してどのように思っていたのか?」という事情を推し測る上で、これは地味ながらも貴重な判断材料であると言えます。
まあ、再三のことで恐縮ですが、ザックスはこの後「エアリス馬鹿」となってしまいます。
そのため、シスネのルックス云々をザックスが誉める場面は二度とない訳ですが…
少なくとも、ザックスの中でシスネの容姿が上等な部類に入っていたことは間違いなさそうです。
タークスは美男美女ばかりだけど、シスネはその典型例という訳ですね!
「嫁にどうだ?」への反応
作中で詳しく描かれている訳ではありませんが、第9章でシスネはザックスよりも先回りしてゴンガガを訪れ、ザックスの両親に会っています。
そして、これまた経緯は定かではありませんが、ザックスの両親から「嫁に来ないか?」という誘いを受けています。
この描写から察するに、ザックスの両親(特に母親)にとって、シスネの印象はかなり良かったことが窺えます。
これこそ、サブヒロインであるシスネが、メインヒロインであるエアリスよりも唯一明確に勝っている部分です!!
そう、あのエアリスですら、ザックスの両親から嫁に誘われた訳ではないのです。
もちろん、それはストーリーの都合上、仕方のないことでもあります。
(※FF7本編でクラウド一行がゴンガガを訪れた際、ザックスは既に死亡しているので)
しかしながら、そのような事情を差し引いても「主人公の親から嫁に誘われた」という事実は重大かつ強烈です。
ちなみに、嫁云々の誘いにシスネがどのように返答したのかは不明です。
…が、シスネの表情を見る限りだと、満更でもないって感じがします。
この時のシスネの心境を想像して【こんな妄想小説】まで書いてしまいました!(汗)
もしシスネがザックスのことを“単なる友人”だと思っていたのなら、このような反応はしなかったのではないかと筆者は思うのです。
むしろ、ザックスのことを本当に“ただの友人”だと認識していたのなら、シスネの性格を考えると「ご両親に早くエアリスを紹介してあげなさい!」くらいの発破を掛けそうなものです。
しかし、シスネはそのようなことは言わずに、颯爽と立ち去っていきました。
しかも、とても嬉しそうな顔で。
序盤から一貫してクールな態度を取っており、どちらかと言えば険しい表情を多く見せていたシスネですが、この嫁云々の会話時はとてもにこやかです。
ある意味、この表情こそが素のシスネであり、自然な姿なのかもしれません。
そして、そのような笑顔を引き出したザックスの存在は、シスネにとって非常に大きなものだったのだと思えてなりません。
過酷な環境で生きてきた自分に、恋愛感情を含めて、様々な精神的幸福を教えてくれた人物。
シスネにとって、ザックスはそのような相手だったのかもしれません。
傍目から見たら“友達以上”の関係性だけど、当人たちは“恋人未満”であることを自認しているのが切ない…
エンディング後のシスネは何をしている?
FF7CCというゲームは、ザックスの死亡と同時に幕を下ろします。
その後、シスネに関して作中で語られることはありません。
ザックスの死後、シスネはどこで何をしているのか?
さらに言えば、メテオ襲来と共に神羅カンパニーが事実上瓦解した後、シスネは一体どうなったのか?
結論から言うと、シスネはきちんと生きています!!
…が、その辺りの事情については、先述したBCを含めても断片的にしか語られていません。
しかしながら、スクエニから販売されているFF7の外伝小説の内容を踏まえると、ある程度の推測は可能です。
ここから先は、数少ない資料を手掛かりとして、FF7CCのエンディング後におけるシスネの動向について考察していこうと思います。
ジルコニアエイド討伐後に“殉職”した
ザックスが死んでから間もなく、シスネを含むタークスのメンバーたちはジルコニアエイドの討伐に赴いています。
ジルコニアエイドとはBCのラスボスでして、FF7世界における召喚獣の一種です。
説明がややこしいのですが、凄く簡単に言うとウェポンに近い存在でもあります。
そのジルコニアエイドを撃破したものの、シスネを含むBCの主人公11名は、何と“殉職”扱いとなります。
なぜかと言うと、ジルコニアエイドの討伐時点で、彼らは神羅カンパニーの上層部から邪魔者として認識されていたからです。
BCの主人公11名だけではなく、ツォン・レノ・ルードの3名も危うい状況になるのですが、後者の3名は当時の副社長によって窮地を脱します。
そして、FF7本編へと繋がっていく訳ですね。
タークスがルーファウスに付き従うのは、かつて自分たちを救ってくれた恩人だからでもあるのです!
結論として、BCの主人公11名は“殉職”として扱われているものの、実はしっかりと生きています。
FF7CCでザックスやジェネシスが死んでいないのに“殉職”扱いされているのと、まあ似たようなものですね。
公式記録では死亡しており、表向きは神羅のタークスではなくなったBCの主人公たち。
ですが、彼らはタークスとしての矜持までは失っておらず、BCのエンディング(=メテオがミッドガル直上に迫ったタイミング)では、住民の避難活動にも参加しています。
(※この辺りは後述するFF7の小説「FINAL FANTASY Ⅶ On the Way to a Smile」でも描写されています。)
つまり、シスネは死んでいないので安心してください!
“殉職”してからは新しい人生を歩んでいる
やがて、元主任のヴェルドと当時の同僚たちがミッドガルに集まってきた時、これはメテオが見せた夢のようだとレノは思った。
かつて、タークスは、社の利益に反する活動をしたことがあった。
世界を救い、同時に、事件の中心にいたヴェルドとその娘を助けるために取った行動だった。
あれほどタークスが強く結束したことはなかったかもしれないと、レノは思い起こす。
進退窮まっているミッドガルの住民たちを助けながら、レノは頬が緩むのを意識せずにはいられなかった。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ On the Way to a Smile 211ページ
「他のタークスはどこだ?みんながいれば心強いぞ、と」
「世界中に散って情報を集めることになっている——が、今では皆、それぞれの人生を歩んでいる。メテオの下に集まったのは、わたしと同じ気持ちがあったからだろう。しかし、これからのことは誰にも無理強いはできない。」
ヴェルドの話を聞き終わったレノは不服そうな顔を見せたが、結局、黙って出ていった。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ On the Way to a Smile 233ページ
「また、さっきみたいな報告ですよ。だって、ジェノバ——」
ツォンにひと睨みされ、イリーナは目を伏せる。
「すいません、でも、アレを見付つけるなんて、無理だと思うんです」
「確かに個人の力では難しいかもしれない。しかし、可能性はゼロではない。加えて、定期的に連絡を取り合い、顔を合わせることは、組織の維持には必要なことだ」
「協力してくれる——」
イリーナは周囲を窺ってから声を潜め
「元タークスって何人くらいいるんですか?」
ツォンは、かつての部下たちの顔を思い浮かべる。
そのうち連絡がついたのは——
「何かあったようだな」
ツォンは思考を中断し、イリーナに注意を促した。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ Lateral Biography TURKS – The Kids Are Alright – 234ページ
シスネが殉職した後、彼女はどこで何をしているのか?
その点について考察するには、二冊のFF7小説に記されている描写が参考になります。
タークスの先代主任であるヴェルド曰く「今では皆、それぞれの人生を歩んでいる」とのことなので、シスネも新天地で生活していることが窺えます。
具体的なことは明言されていませんが、シスネもまた“元タークス”として新しい人生を歩んでいることでしょう。
“元タークス”という意味では、何だかヴィンセントを彷彿とさせる設定だな!
そうは言っても、シスネには「困った者を放っておけない世話好きな性格」という公式設定があります。
そのため、シスネの性格を考えると、必要に応じて現役タークスの4名(ツォン・レノ・ルード・イリーナ)を支援しているのかもしれませんね。
特に、メテオ災害後の神羅残党はジェノバを確保することに執心していますので、その件についてシスネが何らかの形で協力している可能性も低くはなさそうです。
何はともあれ、紆余曲折を経てタークスという肩書から(表向きはですけど)解放されたシスネ。
神羅という枠から弾き出され、タークスという居場所を失い、その代償として得た“自由”。
かつてザックスが歩んだ道を、今度はシスネが歩む番ということですね。
人生で初めて体験する“自由”は、きっとシスネにとって心地良いものであるに違いありません。
しがらみに囚われることなく、そして不必要に他者を殺めることもなく、シスネには心の赴くままに幸多い人生を歩んでほしいものです。
ザックスの両親と会うためにゴンガガへと向かった?
FF7CCの第9章で、ザックスは寂しい思いをしているであろう両親を思いやって、シスネに「話し相手になってほしい」と依頼します。
そして、シスネは二つ返事で了承しています。
この時、ザックスがどのくらい本気で発言したのかは分かりません。
単なる冗談のようにも見えるし、割とガチで頼んでいるようにも見える。
ただ、この時の会話の流れから考えるに、筆者としては「後者の意味合いが強いのかな?」と勝手に思っています。
だからこそ、このやり取りは興味深い訳です。
これ、傍目から見ると「彼氏でもない男の両親の面倒を見る」とも解釈できますので、シスネの立場を踏まえると、かなり不躾な頼みだと言えます。
しかし、当のシスネは嫌がるどころか、むしろ嬉しそうにしています。
シスネというキャラクターの懐深さが窺える一幕なのですが、FF7CCプレイヤーならご存知の通り、この後ザックスは死亡してしまいます。
つまり、この「両親の話し相手になってほしい」という頼みごとが、実質的にはザックスの遺言になってしまった訳です。
結果論とはいえ、そんな遺言めいた頼みをシスネが無下にするとは到底思えません。
よって、これは完全に筆者の想像(…というか願望)ですけど、シスネは最低でも一度くらいはザックスの両親に会いに行ったのではないでしょうか?
それこそ、ジルコニアエイド討伐後に“殉職”という形で“自由”になったシスネは、ザックスの両親がいるゴンガガへと真っ先に向かったのではないでしょうか?
ザックスが死亡したことについて、シスネはザックスの両親に伝えたのかどうか。
もし伝えたのなら、一体どのようにして伝えたのか。
そして、息子の訃報に、彼の両親はどのような反応を示したのか。
そんなザックスの両親を目の当たりにして、シスネは何を思ったのか。
何かもうそれだけで泣けるイベントシーンが出来上がりそうな構図ですけど、シスネだったら誠意をもってザックスの両親に対応したのではないかと思います。
…で、その後はザックスの死について責任を感じて、ザックスに頼まれた「両親の話し相手」を務めるべく律儀にゴンガガで暮らしているとか。
シスネの性格を考えると、可能性は決してゼロではないと思う…
まあ、この辺りは想像の域を出ないですけど、シスネが新しい人生を歩むにあたって、ゴンガガはちょうど良い場所だとも思うのです。
シスネの出身地は公式から出ているアルティマニアでも「不明」と明記されており、孤児院にいたという設定を考えると、シスネには帰るべき故郷など最初から存在していません。
繰り返しになりますけど、シスネは親も兄弟も知らないことから、家族と呼べる存在は皆無なのです。
そのため、タークスという居場所を失った殉職後のシスネは、よく言えば“自由”ですが、悪く言えば“孤独”でもあるのです。
そんなシスネの“孤独”を埋めるのに、ザックスから頼まれた「両親の話し相手」という役回りは、ある意味では人生の光明となり得るのではないでしょうか?
何はともあれ、シスネには“孤独”に苛まれることなく“自由”を謳歌してほしいものです。
まとめ:シスネはエアリスに勝るとも劣らないヒロインである!
FF7CCのメインヒロインは間違いなくエアリスです。
それは疑いない事実ですけど、その一方でサブヒロインであるシスネはどうでしょうか?
傍目から見ても美人であることは明白なルックス。
クールな性格に見えて、実は情が深いという性格。
史上最年少でタークスへと抜擢されたという経歴。
細身ながらもソルジャーに肉薄するだけの戦闘能力。
コスタ・デル・ソルで披露した水着姿。
タークスの一員として、任務と私情の狭間で思い悩む姿。
そして何より、ザックスの実母から嫁に誘われたという事実。
これだけのヒロイン要素が揃っているキャラクターは、派生作品を含むFF7シリーズの中でも稀ではないでしょうか?
ハッキリ言って、サブヒロインにしておくには勿体ないくらいのキャラクターだと筆者は思っています。
少なくともFF7CCの作中ではエアリスに勝るとも劣らない活躍をしており、その存在感はエアリスと比較しても遜色ありません。
男臭さがヤバいFF7CCという作品だからこそ、余計にシスネの存在感が際立つのかもしれませんね!
まあ、ヒロインレースという意味では、流石にシスネの場合は相手が悪いというのも分かります。
何と言っても、比較対象はエアリスですからね。
FF7はおろか、FFシリーズ全体の人気投票で常に上位に食い込んでくる、あのエアリスです。
FF7を詳しく知らない人でも、エアリスなら知っているという人までいる程の超人気キャラクターです。
シナリオの都合により、恋愛的な意味でザックスとの関係進展はしませんでしたけど、もうこれはぶっちゃけ仕方ないです。
むしろ、エアリスを相手にここまで健闘したシスネを誉めるべきでしょう。
いや、個人的には「健闘」ではなく「引き分け」だとさえ思っていますので!
FF7CCのヒロインとして、何だかんだ言ってシスネはエアリスに決して負けてはいないぞ!
まあ、そんな筆者の個人的な感想はさて置き…
「タークスの恋愛は上手くいかない」という原作版FF7の設定を踏襲している辺りも、生粋のFF7ファンとしては興味深いです。
ザックスと結ばれないという結末については残念ですが、だからこそシスネには幸せになってほしいなぁと思うばかりです。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
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