No.6とNo.7が本編の“謎”に挑む
ここは存在しなかった世界にある、巷では少し名の知れたバー“摩天楼”。
この店の奥には某ⅩⅢ機関御用達のVIP席(?)がある。
椅子が13個並んだ大きな円卓である。
その円卓の6番目と7番目の席に二人の男が座っている。
「サイクス、一体どうしたというのですか?」
「他のメンバーたちからの任務報告書に気になる点があってな。おまえに協力を仰いだというわけだ……」
6番目の席に座っている青年の名はゼクシオン。
幻術を操る策士として名高い男である。
一方、7番目の席に座っている男の名はサイクス。
普段は冷静だが月を見ると、まるで人が変わったかのように豹変する男である。
そんな彼を指して“狼男のような人物だ”などと呼ぶプレイヤーもいるとか、いないとか。。
「やはり、俺たち機関内で一番頭が切れそうなのはゼクシオンだろうと思ってな。そこで、ここに呼び出したわけだ」
「…あの、これも“任務”ですか?」
「難しい質問だな。まあ、取り敢えずキングダムハーツ完成には関係の無いことかもしれないが…」
「つまり、重大な“任務”…ということですね?」
「ああ。取り敢えず俺がまとめてみたこの“謎”リスト(?)を見てくれ」
サイクスは妙なレポート用紙をテーブルに広げた。
サイクスレポート(仮)
本編に残された“謎”
①:ゼムナス弱体化説
②:ゼムナス影武者説
③:ザルディン最弱説
④:ロクサスはシグバールを嫌っていた?説
⑤:ソラ&リクは留年、もしくは浪人した?説
「こ、これは……?」
「無能な指導者(=ゼムナス)に代わって、俺がおまえたちからの任務報告書を整理している際、このような“謎”が浮かび上がったのだ。…が、俺一人でこれらの謎(問題?)を片付けるには骨が折れそうなのでな……」
「それで、検証役として僕が選ばれた…ということですね?」
「その通りだ。見れば分かることだが我々の機関に関係している謎がほとんどだ。これらを検証しないワケにはいかない」
「いいでしょう。KHシリーズが世に現れてから5年の月日が流れた今日この頃、これらの謎を僕たちの手で(頭で?)解き明かしてみましょう」
「よし。ではまず、最初の謎から取りかかるとしよう……」
①:ゼムナス弱体化説
「ゼクシオンよ。おまえは前作のFM版で『謎の男』と対戦したことはあるか?」
「ええ、勿論です。個人的な感想ですが『謎の男』は凄まじい強さでした。単に僕のプレイモードがプラウドだったからかもしれませんが……」
「では…この『謎の男』=『ゼムナス』ということも知っているな?」
「ええ。とはいえ、攻撃方法こそ似てはいますが、にわかには同一人物だとは信じ難いですよね……」
「ここで浮かび上がったのが①の説だ」
「……と言うと?」
「順を追って説明しよう。まず前作のFMの時点ではゼムナスは凄まじいまでの強さを誇っていた。この事実についてはCOMでヴィクセンが“指導者にあなたの失態を報告する”というマールーシャの物言いに対して、それはもう大いにビビッていることからも推察可能だ」
「確かに、あの時ヴィクセンの慌てっぷりは滑稽なほどでしたからね。よほどゼムナスのことが怖かったのでしょう」
「ヴィクセンのビビり方からもCOMの時点でもゼムナスは凄まじい強さを誇っており、他のメンバーが怖れられていたことが推察できる。問題なのは、忘却の城の一件後だ……」
「ゼムナスはCOMからⅡの空白の1年の間に、指導者の椅子にふんぞり返って自分の手足を動かさないようになり、本来の強さが衰えてしまった…ということですか?」
「俺はそう考えている。実際、ソラとのタイマン戦でのゼムナスの弱さに驚いた者は少なくないだろう」
「そして、あのラストバトルも……」
「ゼムナス曰く『怒り・憎しみ』を手に入れて『最高』の状態になったらしいが、それでもFM版の強さには遠く及ばない……」
「僕もゼムナスが白黒のコート姿で再出現した時は、FM版の悪夢が再現されてしまうのかと思いましたよ。ですが、結局のところ全くそんなことはありませんでしたね」
「やはりゼムナスは指導者の椅子に座っているうちに筋力や精神力など、何から何まで衰えてしまったという考えが妥当かと俺は思うのだが……」
「いえ…その考えで正しいと思いますよ、サイクス。居心地の良い場所にいつまでも留まっていれば、腐っていくのが人間というものですから」
「まあ、我々は人間ではなくノーバディだがな。では、次の謎を検証するとしようか……」
②:ゼムナス影武者説
「影武者とは不可解な言葉ですね。これは一体どういう意味なのですか?」
「簡単に言うと、これは先ほどの①の説とは異なる考え方だ」
「異なる……とは?」
「前作のFM版のゼムナスとⅡにおけるゼムナスとではまるで別人のように異なる。それは先ほどの検証で明らかにした通りなのだが……」
サイクスは一呼吸し、再び口を開いた。
「これは『FM版ゼムナス』と『Ⅱでソラたちと戦ったゼムナス』は実は、本当に別人だったのではないか?…という説だ」
「な、何ですって……!?」
「仮に『Ⅱ版ゼムナス』をゼムナス①、『FM版ゼムナス』をゼムナス②とする。そして、ここで重要になってくるのはヴィクセンの存在だ。ヴィクセンはCOMでリクの“複製”を創り出したことがあっただろう?」
「ええ。確かに、ヴィクセンは一度リクと戦って得たデータから彼の“複製”を創り出したことはありましたが……まさか………!!」
「もしかしたら、ゼムナスは前もって自分の“複製”をヴィクセンに創らせておき、その影武者を裏から操っていたのではないか……ということだ」
「ま、まさか……そんなことが………!!?」
「勿論、根拠は有る。第一の証拠として、ヴィクセンはゼムナスのことを怖れていた。ゼムナスが何らかの形でヴィクセンを脅し、自分の“複製”を創らせるということは、二人の立場関係を考慮すれば特に不自然ではないだろう……」
「確かに、ヴィクセンならば素直に(仕方なく?)ゼムナスの命令を実行しそうではありますね……」
「第二に、ゼムナス①とゼムナス②では強さが異なるということ。さらに付け加えると、両者の体格も若干異なっているという点だ」
「確かに、ゼムナス②よりもゼムナス①の方が、僅かにではありますが肩幅も広いし、腕も太いように見えますね……」
「以上のことを念頭に置いた上で、ゼムナス①とゼムナス②のどちらがオリジナルで、どちらが影武者かと推理してみる。俺の考えでは、おそらくゼムナス②の方がオリジナルで、ゼムナス①の方が影武者ではないかと思うのだが……」
「…その根拠を伺っても良いですか?」
「まず、くどいようだがゼムナス②は凄まじく強いということが挙げられる。レベル100になったキーブレードの勇者(=ソラ)ですら蹴散らすほどの強さだ。しかも、このゼムナス②は、戦闘終了後に遠回しにだが“自分にはまだ余力がある”みたいな態度を取っている」
「なるほど…。確かに、ゼムナス②が“真の”ゼムナスであるならば、彼は機関の指導者の器に相応しい人物であると言えそうですね」
「さらに別の根拠として、ゼムナス①が極端に弱いということが挙げられる。ヴィクセンが失敗したためなのかどうかは知らないが、ゼムナス①は“複製”であるが故、強さや威厳(?)はオリジナルよりも劣る……ということだろう」
「では、本編でゼムナス①……もとい影武者が消滅した後、ゼムナス②は何処で何をしているというのでしょうか?」
「それは定かではないが……おそらく、また何処かの世界でキングダムハーツを創っているのではないだろうか?」
「エンディングでソラやリクが故郷の島で呑気に夕陽を眺めている間に…そんなことがあったとは……」
「さらに突き詰めて言うと、エンディングでカイリが持ってきた瓶の中に入っていた手紙の内容は……」
サイクスの言葉を聞いているゼクシオンの額に、嫌な汗が流れた。
「あの手紙は王が書いたものらしいが、その内容とは……」
“僕達が倒したゼムナスは実は偽者だったんだ!本物のゼムナスはまだ何処かで生きている!!”
「…みたいな内容だったのかもしれん」
「ば、馬鹿な……!!」
「いや、有り得ない話ではない。実際、Ⅰのラスボスであるアンセムも、結局はアンセムと名乗ったゼアノートであったわけだからな……」
「確かに“あのアンセムは偽者だった”と知った時は僕も驚きましたが……いや、しかし………」
「やはり、これは俺の考え過ぎだろうか……?」
「いえ…可能性が0だとは…言い切れないと思います」
「俺は以前、酒に酔った勢いでゼムナスを問い詰めた(※【機関の反省会①】を参照)ことがあったが、ヤツはのらりくらりと答えをはぐらかした。一体ヤツは何者だったというのだろうか?」
「…サイクス。もうこの話はやめましょう。何だか胃が痛くなってきました……」
「…そうだな。ゼムナスのことについては、後日また再検証ということにするか……」
「そうですね。では、次の“謎”を検証しましょうか……」
③:ザルディン最弱説
「これはまた不可解な表題ですね。ザルディンは機関内でもかなり強い部類に入るのでは?」
「そう結論を急ぐな、ゼクシオンよ。この説の根拠は、Ⅱのストーリー後半での出来事だ。ビーストの城でザルディンがベルとバラを抱えて逃げようとした時のことを思い出せ……」
「ああ、城の橋の上でザルディンがソラたちに“このままでは荷物が多い”みたいなことを言った時のことですね?」
「ベルかバラか、どちらかを選べ。…と、ザルディンが言った後はどうなった?」
「確か…ベルのエルボーのようなものを受けて……」
「ポイントはそこだ。この時のザルディンは、かなり苦しそうにしている。何しろその隙を突かれてベルにバラを奪われ、しかも逃げられたくらいだ……」
「それはストーリー上の演出とでも言うか、ただ単にザルディンが油断していただけなのでは?」
「いや、ここで注目して欲しいのは『ベルにバラを奪われて逃げられた』ことではなく『ザルディンがかなり苦しそうにしている』という点だ」
「それは……ベルのエルボーの当たり所が悪かったからでは?」
「いいか、ゼクシオンよ。冷静に考えてみろ。たとえば、ベルが某・暗殺拳法の使い手で、ザルディンの腹部の秘孔か何かを突いたというならば話は別だ」
「はあ、秘孔ですか。まるで北斗神拳みたいですね」
「だがな、それはあまりに非現実的な考えだ。俺が言っているのは、ザルディンはベルのような小娘のエルボー程度で、あれほどまでに痛がるほど打たれ弱い身体をしているのではないか?…という説だ」
「あの堂々たる体格をしているザルディンが……まさか、打たれ弱いと?」
「この説にも根拠はある。まず、ベルのエルボーを食らったくらいでバラまで奪われ簡単に逃げられた…というより、ベルもバラも追い掛けられなかったという点だ。もしかしたら、一時的な呼吸困難にでも陥ったのかもしれない。しかもこの後、結局ザルディンは戦う必要が無かったはずのソラと交戦する羽目になる」
「言われてみれば、確かに……」
「次に、ザルディンの戦闘シーンだ。ザルディンは風属性らしく“風”で槍を操りソラたちを攻撃していたが……」
「……はて?別に、それ自体は不自然なことはないのでは?」
「ザルディンの戦闘シーンをよく見てくれ。実は、ソラたちを攻撃しているのはあくまで『風』や『槍』であって『ザルディン自身』ではない。当のザルディンはと言うと、宙に浮かんで妙なポーズ(?)を取っているだけだ……」
「ザルディン戦ではそこまで細かい部分まで観察する余裕はありませんでしたけど、よくよく見てみるとサイクスの言う通りですね……」
「以上の描写から考えるに、ザルディンは打たれ弱いだけでなく槍を手で掴んで相手を攻撃するだけの腕力すら無いのではないか?…という考えが導き出せる」
「あのザルディンが、実は非力であった…ということですか?」
「さらに言うとだ。ザルディンは戦闘中、常に宙に浮いている点を考慮すれば、ザルディンは満足に走り回ることすら出来ない程に脚の筋力が弱いのではないか?……という考えも導き出せる」
「ザ、ザルディンが走れない……!?」
「そして、さらにだ。ザルディンはHPが減ると戦闘エリア外から回避不可能で、かつ連続ヒットするプレイヤー側からすれば卑怯極まりない攻撃…俗に言うところの『ハメ技』を多用するようになるが……」
「“絶望とはこういうものだ!!”と言って、ザルディンが竜巻みたいな風を繰り出す攻撃のことですね?」
「あの攻撃も、裏を返せば窮地に追い込まれたザルディンがソラ達からの攻撃から少しでも逃れようとしている…と、捉えることも出来る。“風”属性なだけに、ヤツは臆病“風”に吹かれて、より消極的な戦い方をするようになった…ということだ」
「では、ザルディンは本当に……?」
「以上の考察結果から、ザルディンは異常なまでの虚弱体質ではないか?……という説が浮上するわけだ」
「そ、そんなことが……」
「仮にだが、機関内で武器&特殊能力の使用を禁止の肉弾戦バトルが開かれたとしよう。相手を殴り倒すほどの腕力も無く、走って移動するだけの脚力も無く、おまけにボディは打たれ弱いとあっては…機関内では最年少のロクサスや、女であるラクシーヌにすら負けるだろうな……」
「それでは、ザルディンの長所は話術や風を操る能力だけで、それ以外は……」
「ああ、ダスク以下の身体能力ということになるだろうな。勿論、ザルディンの体格は見かけ倒しであり、ヤツが『武人』であるという公式情報も偽りである、ということに……」
「信じ難いことですが…確かにサイクスの考察は的を射ていると言えそうですね……」
「結論として、ⅩⅢ機関内での最弱人物はザルディンであったというわけだ」
「ザルディン…。僕はあなたを見損ないました……」
「まあ…そう気を落とすな。では次の“謎”だ」
④:ロクサスはシグバールを嫌っていた?説
「サイクス、ちょっと待ってください。ロクサスがシグバールを嫌っていたという描写は、本編中には無かったと思うのですが……?」
「確かに“ロクサス自身”がシグバールを嫌っていたという描写そのものは存在していない。しかし、この考えにもいくつか裏付けとなる事実がある……」
「根拠は複数存在しているということですか?」
「ああ。まず序盤のホロウバスティオンでソラとシグバールが対峙した場面だ。戦闘には至らなかったが、シグバールの挑発的な態度にソラは怒りを露にし、思い切りガンを飛ばしていた……」
「もしかしてシグバールが『そう言えばアイツもそんな目で俺のことを見ていたっけなぁ』みたいなことを言ったのは……」
「シグバールが言った『アイツ』とは、ロクサスのことを指しているのではないか…と、俺は予想している」
「ロクサスは常日頃からシグバールの態度に腹を立てて、彼を疎んでいたと?」
「プロローグのロクサス編からもわかるように、ロクサスは自分のことを馬鹿にするような者は容赦なく睨み付ける。このことから、ロクサスは自分を子供扱いするシグバールを嫌っていたのではないか?…という推察が出来るというわけだ」
「なるほど。そう考えてみると、ロクサスは意外とプライドが高いタイプなのかもしれませんね」
「さらに別の根拠として、他の機関メンバーのソラに対する態度が挙げられる。デミックスは何だかんだ言って、ロクサスに対する仲間意識のようなものを見せていた……」
「終盤でのルクソード戦の後でも、ルクソードは『ひどいな、ロクサス』と言っていましたね。あの場面もルクソードなりに、昔の仲間として『ソラ』=『ロクサス』を諫めるような発言をした…と、解釈できなくもないですね」
「かくいう俺自身も、本編の終盤でソラと戦う際に『さすがロクサスだ』と言ったからな。俺の場合、仲間意識は無かったとしてもロクサスの強さ自体は認めていた……」
「しかしながら、シグバール戦ではロクサスに対する敬意も仲間意識もまったく見られませんでしたよね」
「シグバールの場合は、最後の最後まで『ソラ』=『ロクサス』をからかうようなことしか言わなかったからな。何しろ臨終(?)の言葉が『混乱してろ…』だったからな」
「デミックスやルクソードが100%演技をしていたという可能性も否めませんが、ロクサスには『どこか人を惹きつける魅力がある』という公式設定もありますしね……」
「やはり、機関のメンバーは多かれ少なかれロクサスの性格やら強さやらを認めていた、というのが俺の見解だ。ロクサスにしても、アクセル以外の者に対しても程度の差はあれど仲間意識を持っていたのかもしれないな……」
「シグバールを除いて……ですか」
「ああ。もっとも、多分に憶測混じりなので、この説の立証は難しいのだが……」
「たとえ憶測でも、ロクサスは僕たちのことを“仲間”だと思っていたと信じたいものですね」
⑤:ソラ&リクは留年、もしくは浪人した?説
「おそらく、これはKHシリーズ最高峰の謎と言っても過言ではないな」
「一体、どうやって検証するんですか?」
「まずは判明している事実から整理してみよう。Ⅰの時点でソラは14歳、リクは15歳だった。よってこの時、ソラは100%中学生であり、リクは中学生、もしくは高校生であったと推察される」
「ソラはナミネによって記憶を書き換えられたことにより、1年もの間、存在そのものが忘れられていました。このことは勿論、学校側にも当てはまることであり、名簿などを見た先生が『こんなやつ居たっけ?』という誤解を招く事態に陥ったと考えられますね」
「ソラに関するポイントはまずそこだ。学校側からすれば正体不明な名前が名簿に記載されているということになるからな。進級や卒業する以前に、除籍になっていたという可能性すらある……」
「中学までは義務教育ですから、留年というケースはまず考えられないとは思います。…が、除籍ということは、一言でまとめるなら退学処分になっていたということですか?」
「おそらく……」
「不憫ですね……」
「さらにソラが除籍になっていたというケースの信憑性を高める要素として、カイリの存在が挙げられる。ロクサス編でカイリはソラのことを曖昧にしか覚えていなかった。もしソラの学籍が学校側に残っていたのならば、カイリはソラの姿形は思い出せなくても、名前くらいは覚えていた…いや、知っていたはずだ」
「それに加えて、セルフィは『ソラ』という存在自体を全く覚えていないといった様子でしたからね……」
「やはり、ソラは留年だとか高校受験だとか浪人しただとか以前に、学校側から除籍されていたという線が濃厚……か?」
「状況証拠からは、そのような結論になりますが……」
「キーブレードの勇者ともあろう者が、まさか中学の時点で退学者扱いとはな。ソラはいずれ履歴書に『中学を中退しました』などと書かなければならないということか……」
「ソラの将来は一体どうなってしまうのでしょうか?やはり、このまま彼はキーブレードと共に転落人生を歩むことになるのでしょうか……?」
ゼクシオンとサイクス、今後ソラを待ち受けいるであろう過酷な運命(人生?)にしばし沈黙。
「次に、リクについてだが……」
サイクスが重い口を開いた。
「まず、リクがⅠの時点で中学生であった場合について検証してみる。ロクサス編のカイリとセルフィの会話からも伺えるように、リクはソラとは違って単なる行方不明扱いになっていたようだ。よって、リクはⅡの時点では一応中学校を卒業していることになるが、当然ながら高校受験はしていないため、必然的に浪人生ということになる……」
「では、Ⅰの時点でリクが既に高校生だった場合、リクは出席日数が足りずに留年した…ということになるのでしょうか?」
「いや、そうとも言い切れないだろう。ここでまたカイリの存在が重要となってくる。先ほども言ったことだが、カイリはリクのことに関しては記憶を失っていたわけではない。よって『なぜリクが行方不明になったのか』という経緯も知っていたはずだ」
「カイリがリクの通っていた高校に事情を説明し、留年を取り下げてほしいと懇願した…ということですか?」
「まあ、そういうことだ。…とは言っても、学校側がカイリの説明を素直に信じたという可能性は低いだろうがな」
「世間一般の大人達からすれば『リクは闇の世界に居るから学校には来れません』みたいなカイリの説明なんては信じられない…というよりも、意味を持たないでしょうね。それどころか、カイリのことを『頭のおかしい小娘』みたいに思うかもしれません」
「結論として、リクはほぼ確実に留年、もしくは浪人したという線が濃厚ということだな」
「でも、ソラほど悲惨な末路を辿ったわけではありませんよね。それならば、まあ良いんじゃないでしょうか?」
「それもそうだな……」
おいおい、良いわけないだろ!!
(どこからかソラ&リク談)
“謎”に翻弄される二人
ゼクシオンとサイクスは一通りの検証を終え、一息ついた。
「これはまた、かなり熱の入った議論をしましたね、僕たち……」
「いや、安心してはいられないぞゼクシオン。いつまた新たな“謎”が浮かび上がるか分からない……」
「確かに、KHシリーズは謎だらけの物語ですからね」
「まあ、そこが面白いところでもあるのだがな」
「ええ、同感です」
「ストーリーが評判なのか、キングダムハーツⅡは前作以上に売れているという話だからな。もしかしたら、そのうち続編の制作発表でもあるかもしれないぞ?もしそうなったら……」
「またさらに“謎”が増えるのは避けられませんね……」
「もしキングダムハーツのⅢやⅣが発売された暁には、また我々で“謎”の検証を行う必要がありそうだな」
「ええ、望むところですよ、サイクス。」
「ちなみにだが、管理人がこのような謎の検証に踏み切ったのは、新しい小説のネタ探しのためでもあるらしいぞ?」
「ということは……?」
「いつか、ゼムナスが二人同時に出現するような小説を書くかもしれない…ということだな」
「ゼムナスが二人ですか…それはまたカオスな状況が予想されますね(汗)」
※ちなみに今回の考察は管理人の勝手な解釈ですので、本気にしないでください!
《終》
コメント