こんにちは、FF大好きなユウです!
今回はセフィロスの母親である「ルクレツィア」について語っていきます。
セフィロスの母親はジェノバでは?
…などと誤解されがちですが、実際にはルクレツィアという女科学者がセフィロスの実母なんですよね。
しかしながら、このルクレツィアには“悪女”という不名誉な呼び名が定着しています。
管理人殿!
ルクレツィアはそんなに悪い人物なのでありますか?
まあ、FF7プレイヤーの中には“悪女”として認識している人も一定数いるということだよ…
詳しくは後ほど述べますが、ルクレツィアはジェノバ・プロジェクトにおいて責任者であるガスト博士の助手を務めていた女性です。
つまり、「古代種」を現代に復活させるどころか、むしろセフィロスという「星に仇なす者」を生み出してしまった張本人の一人でもある訳です。
極めつけに、ルクレツィアはセフィロスが産まれてから程なくして「失踪」しています。
これらの事実こそが、ジェノバ・プロジェクトの中核メンバーである「ガスト博士」「宝条」「ルクレツィア」の3名がFF7世界の“戦犯”としてプレイヤーから忌み嫌われている理由です。
(※ついでに言うと、FF7の公式書籍であるアルティマニアでも、どちらかと言うとルクレツィアはネガティブ寄りの表現で紹介されているキャラクターでもある。)
しかし!!!
筆者としては、ガスト博士と宝条はともかく、ルクレツィアには情状酌量の余地があると考えています。
少なくとも、世間で“悪女”と呼ばれるほど酷い人物だとは思えません。
いや、それどころかFF7本編ではトップクラスの哀れな人物だと筆者は考えています。
「恋愛」も、「出産」も、「失踪」も、多数の環境要因が複雑に絡まり合い、本人からすれば不本意な方向に事態が進んでしまった。
ルクレツィアというキャラクターについて分析&考察すればするほど、そのように思えてなりません。
よって、ルクレツィアは決して“悪女”などではない!!
…というのが筆者なりの結論です。
管理人殿は“ルクレツィア悪女説”を否定する気でありますか!?
その通りだ!
大人になるとルクレツィアが抱えている苦悩がよく理解できるからな…!
“悪女”だとか“クズ”だとか、世間では散々な呼ばれ方をしているルクレツィア。
場合によっては“最低な母親”とまで言われてしまっている不遇な女性。
そんなルクレツィアについて、ルクレツィアLOVEのヴィンセントを上回る勢いで筆者が擁護していこうと思います。
ルクレツィアについて興味関心があるFF7プレイヤーは、ぜひ最後まで読んで頂けますと幸いです。
初めに:そもそもジェノバ・プロジェクトとは『古代種再生計画』である
「魔晄(→P.216)の豊富な約束の地を見つけ出す」という計画の一環として、約30年前に神羅科学部門統括のガストが始動させたもの。
その目的は、人工的に古代種(→P.214)の能力を持つ者を作り出すことである。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 210ページより
FF7プレイヤーならば知っての通り、ジェノバは本編から約2000年前に宇宙から来た破壊生物です。
古代種を絶滅寸前に追い込んだものの、僅かに生き残った古代種によって地中深くに封印され他ジェノバ。
そこから約2000年が経った、ある日のこと。
ジェノバはガスト博士によって発掘され、なおかつガスト博士が「こいつは古代種である」と認識してしまった。
言うなればFF7世界における“世紀の誤認”こそが、ジェノバ・プロジェクトの発端となった訳です。
なぜガスト博士はジェノバが古代種だと勘違いしたでありますか?
2000年前の地層から人型の生物が出てきたら、過去に栄えていたとされる古代種だと思ったとしても仕方ないだろう?
ジェノバが古代種の女性に化けたまま封印されたことが、ガスト博士の誤認に繋がった訳ですな…
そんなこんなで、ジェノバの正体について誤った認識のもとで始まってしまったジェノバ・プロジェクト。
その結果は言わずもがなですが、プロジェクトの成果としてセフィロスが誕生した訳です。
そして、そのセフィロスは成人した後、紆余曲折を経て「星の敵」としか言いようがない危険人物となってしまいました。
つまり、あくまで結果論ではありますけどジェノバ・プロジェクトは“大失敗”という結末を迎えた訳です。
しかし!!!
ここで筆者が声を大にして主張したいのは、ジェノバ・プロジェクトの“結果”ではなく“過程”についても目を向ける必要がある、ということです。
そもそも、ジェノバ・プロジェクトとは目的とは「古代種を現代に復活させること」です。
では、なぜガスト博士を筆頭とした神羅カンパニー勢は古代種を復活させようとしたのか?
それは、古代種であれば「約束の地(=魔晄が豊かな土地)」を探し当て、そこに神羅を導いてくれると考えたからです。
管理人殿!
約束の地は本当に魔晄が豊富なのでありますか?
それは神羅の勝手な解釈であって、明確な答えはアルティマニアにも書かれていないんだよなぁ…
つまり、約束の地の解釈については複数あるという訳ですな!
FF7世界における「約束の地」の定義については、一旦脇に置いておきましょう。
さて、「約束の地」に辿り着ければ、新たな魔晄炉を建設するなりして、企業としてより大きな発展を遂げられると考えた神羅カンパニー勢。
そのための手段として、まずは絶滅したとされる古代種を現代に蘇らせる必要がある。
そこで、ガスト博士はジェノバの細胞を活用して、新生古代種を誕生させようとした訳です。
つまり、当時の時代背景を考えるとジェノバ・プロジェクトとは“夢と希望に満ち溢れた大事業”だった訳ですよ。
ゲーム本編では、環境破壊によって金儲けばかりしている悪徳企業としてのイメージが強い神羅カンパニー。
しかしながら、そんな神羅にも功績はある訳です。
魔晄を発見し、それを動力として使う方法を確立し、人々の生活における利便性を向上させたのは紛れもない事実ですからね。
現実の世界で例えるなら、18世紀に起きたイギリスの産業革命とか、20世紀から始まった原子力発電とか、そのレベルの出来事だった訳です。
魔晄が豊富な土地を見つけ出せれば、人々の生活はもっと豊かになる。
それによって、貧しい生活で困窮している人たちは今まで以上に救われる。
そのためには、何としてでも古代種を現代に蘇らせる必要がある。
そのような使命感に基づいて、ガスト博士・宝条・ルクレツィアの3人が古代種の復活に情熱を注いでいた可能性は十分にあったと筆者は考えています。
つまり、ジェノバ・プロジェクトによって新生古代種が誕生すれば、その子供は“人類の希望” とでも呼ぶべき存在となり得た訳です。
その“希望の子”を生み出すための土台が、目の前にある。
2000年前の地層から発見された、古代種と思しき仮死状態の生物。
神羅カンパニーが所有している潤沢な資金。
そして、天才的な頭脳を持つガスト博士。
これだけの条件が揃っているのだから、ジェノバ・プロジェクトを押し進めない理由など無い。
たとえ危険を伴う人体実験的な要素があったとしても、結局のところ誰かがやらなくてはならない。
たとえ倫理観が欠如しているやり方だとしても、人類の発展のためならば止むに止まれない。
…みたいな感じで、古代種復活に懸ける使命感と情熱が、恐怖心や道徳心を上回っていたのではないでしょうか?
ジェノバ・プロジェクトの中核メンバー3人は、世の中をもっと良くしようと燃えていたのかもしれませんな!
宝条はともかく、ガスト博士とルクレツィアは本来善良な人物だからな…
詰まるところ、ジェノバ・プロジェクトとは悪意に基づいて始まった訳ではないのです。
いや、むしろ善意によって始動した計画であると言えるでしょう。
プロジェクトのやり方に問題があったこと、そして結果にはさらに大きな問題があったことは周知の通りです。
しかしながら、このような見地に立ってルクレツィアの行動について見ていくと、彼女は決して“悪女”ではないことが徐々に読み取れてきます。
これもまた、ルクレツィアの人物像について紐解く上では欠かせない視点だと筆者は思う訳であります。
ルクレツィア関連の描写について
神羅カンパニー科学部門に所属していた女科学者。
ジェノバ・プロジェクトの一員で、ガスト博士の助手を務めていた。
美しく聡明だが、宝条への愛ゆえに人の道を踏みはずし、己と我が子の肉体を実験に提供。
ジェノバ細胞を宿す子――セフィロスを産むも、実験の影響で身体に変調をきたし、人前から姿を消す。
ヴィンセントの憧れの女性であり、彼が罪の意識を抱く原因となった人物。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 59ページより
・フルネーム:ルクレツィア・クレシェント
・身長:163cm
・血液型:B型
・誕生日:7/22
・一人称:「私」
・声優:夏樹リオ
引用:FINAL FANTASY Ⅶ 10th ANNIVERSARY アルティマニア 97ページより
FF7の物語において、まさに最深部に関わっているルクレツィア。
セフィロスの母親であり、ジェノバ・プロジェクトの被験者。
宝条の妻であり、なおかつヴィンセントの想い人。
それなのに、普通にプレイしているだけだと名前すら出てこないときた。
そういった意味では、FF7屈指の不遇なキャラクターだと言えます。
そもそも、原作版FF7ではヴィンセント自体が隠しキャラという扱いだからなぁ…
事前情報なしでルクレツィア関連のイベントを見るのは、ハッキリ言って無理であります!
そんなルクレツィアですが、当ブログではお馴染みの「FF7 アルティマニアΩ」には、裏設定を含めて様々なことが記載されています。
セフィロスを産むまでに、どのような経緯があったのか。
セフィロスを産んだ後、なぜ消息を絶ったのか。
これらの内容について一つずつ見ていくと、ルクレツィアの人物像が浮かび上がってきます。
それでは、アルティマニアの記載内容に基づいてルクレツィア関連の描写について読み解いていこうと思います。
ヴィンセントが絶賛する“美女”
ヴィンセントの運命を狂わせたのは、神羅の美しき女科学者ルクレツィア。
彼女を深く愛するがゆえにヴィンセントは、危険な実験に身を投じる彼女をあえて止めようとしなかった。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 45ページより
ルクレツィアの容姿については、ヴィンセント曰く「美しい」とのこと。
この「美しい」という評価には、ヴィンセントの主観が大いに混じっていると考えられます。
…が、ルクレツィアが美人であるという意見には筆者も賛成です。
実際のところ、FF7DCで描かれたルクレツィアは“超”が付くほどの美人でした。
単純な美人度で言えば、ティファやエアリスに勝るとも劣らないレベルです。
ティファが快活系の美人、エアリスが清楚系の美人ならば、ルクレツィアはインテリ系の美人といったところでしょうか。
管理人殿!
“快活系”とか“清楚系”とか、定義がちょっと分からないであります!
細かいことは考えるな!
僕の個人的な印象だッ!!
ルクレツィアの容姿については好みが分かれるかもですが、顔の造形については非常に整っています。
…と言うか、欠点を探す方が難しいレベルです。
原作版FF7からグラフィックが進化したFF7DCでもルクレツィアが登場しますが、なるほど確かに「美人」と呼んで差し支えない顔立ちをしています。
FF7には美形キャラクターが多いせいで感覚が麻痺しがちですけど、ヴィンセントが言う「美しい」という表現も、あながち間違いではないという訳ですね。
そもそも、セフィロスの容姿は宝条(=父親)には全く似ていません。
つまり、髪や瞳の色こそ異なるものの、セフィロスの顔立ちは明らかにルクレツィア似だと言えるでしょう。
FF7屈指の美青年として、もはやゲームの枠を超えて現実の世界でも有名人となったセフィロス。
そんなセフィロスですけど、彼の“美形遺伝子”は母親由来のものであるという訳です。
両親は銀髪ではないのに、どうしてセフィロスは銀髪なのでありますか?
セフィロスが銀髪なのはジェノバ細胞の影響によるものという説があるけど、公式からは特に何も回答はされていないんだ…
ガスト博士の助手を務めていた
ジェノバ・プロジェクトのチームメンバーは、主任であるガスト博士と、助手の宝条、ルクレツィアの3人。
任務で彼らに同行していたヴィンセント、ルクレツィアに恋心を抱くようになり、プロポーズする。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 47ページより
作中での各種イベントを見た限りだと、ガスト博士はFF7世界で最高峰の頭脳を持つ科学者として描かれています。
ガスト博士の人間性&精神性はさて置き、その頭脳の優秀さについては万人が認めるところだったことが窺えます。
宝条に至っては、後述するようにガスト博士に対する劣等感で苦しんでいたとされています。
そんなこんなで、誰も彼もが“天才”と呼ぶほどの科学者だったガスト博士。
そんなガスト博士の下で助手を務めていたルクレツィアもまた、科学者として優秀な人物であったことは間違いありません。
そうは言っても、原作版FF7ではルクレツィアが科学者として非凡であることを示唆する場面は殆どありませんでした。
ですが、派生作品であるFF7DCにてルクレツィアは「星の循環」というテーマで研究を行っていたことが明らかになっており、やはり稀有な科学者であったことが窺えます。
美人な上に、頭脳も優れている。
まさに“才媛”と呼ぶに相応しいキャラクターという訳です。
別の言い方をするなら“才色兼備”ってところだな!
頭脳派の美人はFFシリーズでも珍しいですな!
ちなみにですが、FF7世界における女性の社会進出がどの程度のレベルなのかは不明です。
一応、FF7本編ではスカーレットのように兵器開発部門でバリバリ働いているような女性もいます。
(※性格の悪さ、倫理観の乏しさは別として。)
しかしながら、ジェノバ・プロジェクトに代表されるような科学の分野で活躍している女性となると、かなり少数派だったのではないでしょうか?
実際、FF7CCで神羅ビルの科学部門フロアに行くと、そこで働いている社員たちは男性ばかりなんですよね。
現実の世界同様、見渡す限り男・男・男ばかりの“理系職場”そのものです。
そもそも、ジェノバ・プロジェクトが発足したのは本編から30年以上も昔のことです。
多分ですけど、本編の時間軸以上に当時は男性優位な社会だったのではないでしょうか。
そのような時代に、女性でありながらも科学者として第一線で活躍していた女性。
その一点だけでも、実は凄いことではないかと筆者は思う訳です。
ヴィンセントがルクレツィアにベタ惚れだったのは、意外とこういった部分にも理由があるのではないでしょうか?
ヴィンセントは、ただ単にルクレツィアが美人だから惹かれた訳ではない。
優れた頭脳に敬服し、なおかつ男社会の中でも頑張って仕事をこなす姿勢に感銘を受けた。
だからこそ、ヴィンセントにとってルクレツィアは“忘れられない女性”となり得たのかもしれませんね。
女性が男社会の中で働くのって、体力的にも精神的にも大変なことなんだよ…
野郎だらけの軍隊で働いている自分にはよく分からないでありますが、何となく想像は出来るであります…
宝条のパートナー(色々な意味で)
宝条がガストへのコンプレックスに苦しむさまを見てきた彼女は、母性的な愛情を彼に抱き、守りたいと思ったのだ。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 47ページより
プロジェクトにおいて、メンバーの宝条は、研究者仲間であり恋人のルクレツィアを実験体として、ジェノバ細胞を彼女に注入することにより新たな生命体を作り出し、彼女に出産させた。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 210ページより
かつてヴィンセントの言葉も聞かず宝条への愛に身を捧げ、みずから実験体となったルクレツィア。
彼女との思い出がヴィンセントの脳裏によみがえる。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 202ページより
恋愛的な意味で宝条とヴィンセントを天秤にかけ、そして宝条を選んだルクレツィア。
容姿・性格ともにヴィンセントの方が優良物件であるはずなのに、敢えて地雷物件である宝条を選んでしまった愚か者。
男を見る目が無い、どうしようもなく馬鹿な女。
…というのがネット上での定説であり、ルクレツィアが“悪女”の汚名を被った理由の1つでもあります。
しかしながら、恋愛とは面白いもので、容姿・性格が優れている者が必ずしも勝利する訳ではありません。
宝条とルクレツィアは、二人とも同じ科学者です。
科学者同士、そしてガスト博士の助手同士、この二人にしか理解し得ない何かがあったのかもしれません。
それも、ヴィンセントが入り込む余地が無いほどに。
極めつけに、FF7の10周年記念アルティマニアではルクレツィアと宝条は「夫婦」であったことが名言されています。
この辺りの恋愛事情について、原作版FF7とFF7DCとで異なる部分も多いけどな!
でも、ルクレツィア女史と宝条博士が「夫婦」であったことは間違いない訳でありますな…
科学者としても、男女としても、紛れもなくパートナーの関係であったルクレツィアと宝条。
ヴィンセントファンにとっては憤慨な事実ですが、これこそがFF7の物語における真実です。
ルクレツィアに“選ばれた”宝条。
ルクレツィアに“選ばれなかった”ヴィンセント。
傍目から見ると奇妙な選択に見えますが、だからこそ感慨深いものも感じます。
もしルクレツィアがヴィンセントを選んでいたら、セフィロスは生まれず、FF7の物語も始まらなかった訳ですから。
(※そして、その場合だとFF7世界は少なくともメテオの脅威に晒されることなかったと考えられる。)
そう考えてみると、ルクレツィアはジェノバとは違う意味でFF7の母体になったキャラクターだと言えるかもしれません。
セフィロスの産みの母親
ジェノバ・プロジェクトの一環として、生まれる前にジェノバ細胞を植えつけられ、“人工的な古代種”として創り出されたセフィロス。
血縁的には宝条とルクレツィアの子になるが、その真相はセフィロスには伏せられた。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 55ページより
セフィロスのような危険人物を生み出してしまった時点で、ルクレツィアはFF7世界の“戦犯”と呼ぶべき人物である。
…などという言説をインターネット上で見かけますが、ちょっと待ってください!
そもそも、ジェノバ・プロジェクトを立ち上げ、胎児にジェノバ細胞を注入することを考え付いたのはガスト博士です。
そのガスト博士の案を受けて、宝条がルクレツィアと胎児を“提供”したのです。
この事実については、本編の終盤で宝条が自ら語っています。
つまり、胎児にジェノバ細胞を植え付けることについては、ガスト博士または宝条の意向が強く反映されていたことが窺えます。
ジェノバ・プロジェクトに胎児を“提供”することいついて、ルクレツィアがどのくらい前向きだったのかは分かりません。
とても積極的だったのか。
意外と消極的だったのか。
その点について、原作版FF7の描写からは判然としません。
しかし、最終的にはルクレツィア自身も胎児にジェノバ細胞を注入することについて承諾しています。
そんなこんなでセフィロスが生まれた訳ですが、ルクレツィアにとって辛い展開となるのはここからです。
何と、ルクレツィアは「あの子が生まれてから私は一度も抱いていない」と言っています。
おそらくですが、セフィロスはジェノバ・プロジェクトの一環で生まれた関係上、貴重な実験体として生後すぐにルクレツィアのもとから取り上げられたのでしょう。
この点については、派生作品の1つであるFF7DCで詳しく掘り下げられています。
このFF7DCでルクレツィアが宝条に詰め寄るシーンですが、子供を持つ親としては非常に辛くなるものがあります。
筆者が初めてFF7DCをプレイしたのは高校生の頃でしたので、当時は「ルクレツィアがヒステリーを起こしてるなー」くらいにしか思いませんでした。
しかしながら、現在では親となった筆者としては、とても他人事とは思えません。
…と言うか、ルクレツィアに感情移入しまくりで、マジで全く笑えないって感じです。
この場面、FF7DCの中では屈指の愁嘆場だったと思うぞ…
宝条博士の酷薄さが半端じゃないであります…
可愛い我が子を、抱くことが出来ない。
それどころか、会わせてすらもらえない。
母親にとって、これは想像を絶する苦しみだったはずです。
胎児が生まれる前から「生まれたら実験体としてすぐに隔離するね」と言い含められ、その件について一度は納得したとしても、妊娠期間を通じて心境が変化した可能性は十分に考えられます。
この辺りが、次に紹介する「失踪」の呼び水になってしまったのかもしれません。
自分でこのような文章を書いていて、ルクレツィアがどんどん可哀相になってきたよ…
“自業自得”という4文字で片付けるには、あまりにも惨い展開でありますな…
セフィロスを残して失踪
セフィロスが生まれて間もなくルクレツィアは身体の変化に耐え切れず失踪。
セフィロスは神羅カンパニーにて、宝条から「母の名はジェノバ」とだけ聞かされて育つ。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 55ページより
アルティマニアによると、ルクレツィアが失踪した理由は「心身の変調」が原因であるとされています。
この「心身の変調」とは、一体何なのか。
ジェノバ細胞による悪影響なのか?
子供に会わせてもらえないストレスが引き起こした体調不良なのか?
あるいは、さらに別の要因があったのか?
肉体的に辛かったのか、精神的に苦しかったのか。
ぶっちゃけ、その辺りの具体的な事情は不明です。
しかしながら、幼い子供を置いて失踪までしている時点で、ルクレツィアは凄まじい苦しみに苛まれていたことは間違いありません。
この「失踪」という事実だけを見ると、母親として非常に無責任な行動をしているように見えます。
この辺りもまた、ルクレツィアが“悪女”と呼ばれている理由の1つなのですが…
ここで誤解してはいけないのは「ルクレツィアはセフィロスに対して確固たる愛情を持っている」という点です。
それはルクレツィア自身の発言からも明らかです。
ジェノバ・プロジェクトの一環で生まれた実験体だとか、普通の人間とは違うだとか、そんなこととは関係なくルクレツィアはセフィロスを愛している訳です。
むしろ、セフィロスへの愛情があるからこそ、ルクレツィアは精神的苦痛に苛まれたのではないでしょうか?
生まれてすぐのセフィロスを取り上げられ、抱くことも会うことも出来ない現実に打ちのめされ、精神を病んでしまった可能性も考えられます。
そこに加えてジェノバ細胞のせいで身体に悪影響が出ていたとすれば、とんだ災難だな…
まさに“泣きっ面に蜂”とでも呼ぶべき状態でありますな…
実際のところ、現実の世界でも極度のストレスに耐えかねて「失踪」する親は大勢いますからね。
そのような親を「無責任」という言葉のもとに糾弾するのは簡単です。
しかしながら、親の側にも止むに止まれぬ事情があることだって少なくありません。
精神的なストレスによって正常な判断力を失い、後先を考えることなく衝動的な行動を取ってしまったりとか。
そう考えてみると、「失踪」という道を選んでしまった時点で、ルクレツィアの精神は既に病み疲れ、そして狂っていたのかもしれません。
孤独な隠遁生活
宝条の支援を受けつつ、滝の傍のほこらでひっそりと生活していたルクレツィア。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 47ページより
ニブルヘイムから「失踪」した後は、ルクレツィアはニブルエリアの山奥にある滝付近の祠で生活(?)しています。
このルクレツィアの住処(?)ですが、FF7のワールドマップ的なことを言えば、潜水艦か特殊なチョコボを使わなければ行けないような場所です。
FF7世界で例えるなら、チョコボ仙人といい勝負の隠遁生活をしている訳ですよ。
初回プレイでルクレツィアの祠を自力で発見できたプレイヤーが果たして何人いただろうか…
しかも、ヴィンセントがパーティメンバーにいないとルクレツィア女史は姿を現さないであります!
FF7の世界観的な意味でも、ゲーム的な意味でも、極めて分かりにくい場所で生活していたルクレツィア。
そんな失踪後のルクレツィアを一言で表現すると、まさに「世捨て人」そのものです。
過去を悔いるばかりで、ただただ苦悩するだけの日々。
棺桶の中で眠り続けていたヴィンセントとは状況こそ異なるものの、ルクレツィアも立派な“引きこもり”という訳です。
当然ながら、外界との接触なんて一切ナシ。
…と、思いきや!!!
FF7アルティマニアΩの記述によると、この隠遁生活は宝条の支援があったとされています。
これ、マジで信じられねぇ裏設定だよなぁ…
アルティマニア執筆者の誤った解釈ではないことを祈るばかりであります!
この宝条による「支援」について、具体的にどのようなものがあったのかは不明です。
ルクレツィアが衣食住について困らないように、定期的に物資を送ってあげていたのか。
ルクレツィアの様子を見るために、たまにだけど山奥まで会いに行っていたのか。
その辺りの事情に関しては、アルティマニアにも記載されていないためは全く分かりません。
その一方で、ルクレツィアは「セフィロスは5年前に死んだ」という事実を知っています。
(※FF7世界において、セフィロスは5年前に死亡したと世間では認識されている。)
よって、外界の情報についてルクレツィアが何らかの形で得る機会があったことは明白です。
あんな山奥で孤独な生活をしているにも関わらず、なぜルクレツィアはセフィロスが死んだことを知っていたのか?
宝条からの「支援」があった事実と取らし合わせると、セフィロス関連の情報については宝条がルクレツィアに伝えていた可能性が高そうです。
…と言うか、ルクレツィアが自ら人里まで行かない限りは、それ以外に考えられません。
ちなみにですが、宝条がどういった意図で「支援」を行っていたのかも不明です。
ルクレツィアの「夫」として、必要最低限の務めを果たそうとしたのか。
「妻」への配慮として、息子の近況について教えてやろうと思ったのか。
何れにしても、マッドサイエンティストである宝条らしからぬ善行であると感じてしまうのは筆者だけでしょうか?
倫理観も道徳心も欠如している宝条ですが、社会的な義務を果たすことについては、ああ見えて一定の理解があったのかもしれませんね。
信じ難いことだけど、社会人としてある程度の責任感は持ち合わせていたのかも…!?
神羅カンパニーのような巨大企業で部門長を務めている宝条博士ですから、その可能性は否定できないであります!
望まずして不老不死となった身体
ジェノバ細胞を埋めこまれたルクレツィアも、簡単に死ねない身体となったのだ。
引用:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ 202ページより
ルクレツィアの口振りからは、どうやら自らの罪を悔いて自殺を試みたことが窺えます。
ここでルクレツィアが言う「罪」とは、息子に対して母親らしいことを何もしてやれなかったことを指しています。
息子をジェノバ・プロジェクトの実験台にしたこと。
その息子を置いて失踪したこと。
これら複数の行為について、ルクレツィアは「罪」として認識している訳です。
だからルクレツィアとしては、死ぬことでそれらの罪を償おうとした訳ですね。
首を吊ったのか、手首を切ったのか、毒でも飲んだのか、具体的な自殺の方法については不明です。
しかし、結果についてはルクレツィア自身が言っている通り、失敗に終わったとのこと。
「死にたい」と願うルクレツィアの意志に反して、彼女の身体は「死ねない」という状態になっている。
その理由については、またお前かよと言うべきジェノバ細胞が絡んでいます。
胎児にジェノバ細胞を植え付ける際、母体にもジェノバ細胞が流入し、生命力が異常なまでに強化されてしまったのでしょう。
“胎児にジェノバ細胞を植え付ける”と言葉にするのは簡単でありますが、具体的にはどうやったでありますか?
ルクレツィアの子宮内に注射器でジェノバ細胞を入れたのか、あるいは胎盤から流し込んだのか、ぶっちゃけ謎は多い…
うーん、考えるだけでもグロくて気持ち悪いであります…
ジェノバ自身が凄まじい生命力を持っていることから、その性質がジェノバ細胞を通じてルクレツィアの肉体にも受け継がれてしまったという訳ですね。
しかも、ただ単に生命力が超強化されるだけに留まらず、加齢によって老化することもなくなった。
つまり、不老不死の身体となってしまった訳です。
この一部始終を見ると、ジェノバ細胞を体内に埋め込むという意味では、ソルジャーやセフィロス・コピーの製法と殆ど同じであることが分かります。
その一方で、両者ともに“不老不死”にまではなっていません。
では、なぜルクレツィアは“不老不死”となったのか?
体内に入ってきたジェノバ細胞の量が多かったのか?
それとも、ジェノバ細胞との相性か何かの問題なのか?
その辺りの真相は定かではないですけど、ただ一つだけ確実なのは「ルクレツィアは不老不死の肉体を忌み嫌っている」という点です。
“死にたくても死ねない”という点については、FF15のアーデンを彷彿とされる設定だな…
不本意な“不老不死”なんて地獄の苦しみであります…
FF15の悪役『アーデン』の正体と魅力について語る!(ネタバレ注意!)
死なないし、老いない。
まさにファイナルファンタジーの極致とでも呼ぶべき肉体ですが、自殺による死を望んだルクレツィアにとっては嫌悪の対象でしかありません。
死んで罪を清算することも出来ず、後悔を抱えたまま生き永らえる。
自分たちの勝手な都合で実験体にしてしまった件について、息子に謝罪することも出来ない。
その上で、無力な母親として生きることを強いられる。
つまり、ルクレツィアにとっては“生き地獄”とでも呼ぶべき状況という訳です。
ここで注目するべきは、繰り返しになりますけどルクレツィアは過去を悔いているという点です。
もしルクレツィアが宝条のように身勝手な人物であれば、こんなにも悔恨の念を抱えたりはしないでしょう。
そして何より、自殺に失敗して死に切れなかったことについて、ここまで嘆いたりはしないでしょう。
それは即ち、ルクレツィアが善良な人物だからこそ、罪悪感や嫌悪感に苛まれているという証拠ではないでしょうか?
善人だからこそ、「妊娠」「出産」「失踪」という一連の行為について内省し、セフィロス誕生から約30年が経った現在でも自責の念に囚われている。
30年と言ったら、相当な年月ですよね。
それ程までに長い間、母親として人知れず苦しみ続けたルクレツィア。
本編の時間軸でこそネガティブな言動が目立つルクレツィアですけど、それはルクレツィアが善良な人物であることの裏返しでもある。
筆者としては、そのように解釈しています。
ふと思ったのですが、セフィロスは本編から30年前に生まれたのでありますか?
正確に言うと、本編から“約”30年前な!
母親として名乗り出ることが許されない苦悩
これは一体、どういう意味合いなのでしょうか?
この点についてはアルティマニアにも記載されていませんが、大凡の想像は付きます。
セフィロスと言えば、神羅カンパニーが誇る“英雄”です。
つまり、世界中が注目している“超有名人”という訳です。
現実の世界で例えるならば、メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手みたいなものです。
そんなセフィロスのもとに、もしルクレツィアが「私があなたの母親よ!」などと名乗り出て行ったら、どのような事態になるでしょうか?
まず間違いなく、各方面から批難を浴びるでしょうね。
神羅カンパニーの広報部からは「あの女性は妄想甚だしい異常者です」などと報じられたり。
セフィロスに憧れている(または崇拝している)ファンからは「頭のおかしい女」と認識されたり。
そして何より、当のセフィロスからは「何だ、コイツは?」などと冷たい視線を向けられたり。
まさに百人百様といった形で、ルクレツィアに対して糾弾を行うことでしょう。
ルクレツィアとて馬鹿ではありませんから、そのような展開については容易に推測できたはずです。
そもそも、セフィロスはルクレツィアの名前すら知らないであります…
セフィロス目線だと母親の名前は「ジェノバ」であり、しかも既に死んでいると認識しているからな…
他の解釈としては、宝条から「母親として名乗り出ることはやめろ」と圧力を掛けられていた可能性もあります。
「母の名はジェノバ」と認識している息子のもとに、今さら実母が現れることについて憂いていたのか。
失踪した母親が、今さら母親面することについて釈然としない感情でもあったのか。
実験体としての価値を見出していた息子に、余計な虫を近付けたくなかったのか。
この辺りの真相は定かではありませんが、これもまた可能性としては低くない気がします。
そもそも、セフィロスに「母親の名前はジェノバである」なんて教えた奴が悪いんだよ!
その教えた奴とは、まず間違いなく宝条博士でしょうな…
セフィロスは少年時代には既に戦場に出て活躍しており、宝条を含む神羅カンパニーの人間たちにとっては“超”が付くほど有益な人材だった訳です。
それ故にスキャンダル的な情報ネタは避けたかったでしょうし、パパラッチ的な出来事についても言語道断といったところでしょう。
そんなところに、自称“セフィロスの母親”が出てきたとしたら?
しかも、その母親が(ジェノバ細胞の影響とはいえ)異常なまでに若い容姿だったら?
それはもう、世間では“あの英雄セフィロスの醜聞”みたいな感じで、新聞の三面記事を埋め尽くすこと待ったナシです。
神羅も、宝条も、セフィロスも、誰も彼もが多かれ少なかれ迷惑する訳です。
詰まるところ、ルクレツィアが母親として名乗り出たとしても、公私ともに“今さら感”が半端じゃない。
それどころか、各方面への悪影響は避けられない。
むしろ、自己満足の域を出ない行為に過ぎない。
そんな現実についてルクレツィアは冷静に分析していたからこそ、産みの母親として能動的に名乗り出るような真似は慎んでいたのではないでしょうか?
息子には会いたいし、母親だと呼んでほしい。
でも、世間はそれを許さない。
そして何より、息子に迷惑は掛けたくない。
このような複数の感情が絡まり合い、ルクレツィアを苦しめていたのではなかと筆者は思う訳であります。
このような苦悩もまた、ルクレツィアが善良な人物であることの証ではないだろうか?
真性のクズ親だったら、こんな風に悩まないでありますからな…
まとめ:ルクレツィアは世間で言われているほど“悪女”ではない
このルクレツィアというキャラクターは、プレイヤー側の捉え方によって評価が大きく異なるキャラクターだと思います。
女として、科学者として、そして母親として、傍目から見れば「自業自得」としか言いようがない人生を歩んだルクレツィア。
そんなルクレツィアの人間性について、あるプレイヤーは“悪女”と一刀両断する。
その一方で、別のプレイヤーは“可哀相”と評する。
そういった意味では、大人向け、あるいは玄人向けのキャラクターと言えるかもしれません。
学生なのか、社会人なのか、既婚者なのか、子供はいるのか、この辺りの“属性”によってルクレツィアへの印象は大きく変わるだろうな…
何だか深い話になってきたでありますなぁ…
このような文章を書いている筆者自身、ルクレツィアに感情移入できるようになったのは割と最近のことです。
社会に出て働くとは、一体どういうことなのか。
仕事に対して責任感を持ち、そして使命感に燃えるとは、一体どのような状態なのか。
物事が意図しない方向に進んでしまったとき、一体どのような気持ちになるのか。
取り返しのつかない事態に陥った際、一体どのようにして現実に向き合えば良いのか。
これらの事柄について多数経験した今だからこそ、ルクレツィアというキャラクターの真髄を理解できるようになった気がします。
原作版FF7を初めてプレイした少年時代。
FF7DCを初めてプレイした学生時代。
それらの当時、筆者は割とマジでルクレツィアのことを“悪女”だと思っていました。
悲しみも、後悔も、絶望も、何もかも自業自得ではないか。
馬鹿で、愚かで、無能だからこそ、取り返しのつかない間違いを犯したのではないか。
そのように思っていました。
しかし、今はそのようには思いません。
人生において、間違いは付きものです。
どれだけ知恵を絞っても、どれだけ熟考を重ねても、100%の確率で“正解”に辿り着くことは出来ない。
それどころか、その時は“正解”だと思っていたことが、後から振り返ってみたら“不正解”だった。
そんなことが往々にして起こり得るのが人生なんですよね。
だからこそ、ルクレツィアの苦悩や後悔も理解できるのです。
「自業自得」という4文字で片付けるには、あまりにも悪辣な環境要因が多過ぎた。
だからこそ、ルクレツィアは心身ともに追い詰められ、そして苦しむことになった。
筆者には、そのように思えてならないのです。
…という訳で、以上の内容を踏まえて、改めて主張させてもらいます。
ルクレツィアは決して“悪女”などではない!!
これが筆者なりの結論です。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!
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