FF7に登場するザックスの性格が改変された理由について考察する!

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こんにちは、FF大好きなユウです!

FF7のストーリーを語る上で、軽視できない存在であるソルジャー・クラス1stのザックス。

クラウドにとっては親友かつ命の恩人であり、なおかつクラウドの疑似人格のベースとなった人物でもあります。

そんなザックスですけど、FF7の原作版で描写された人物像としては、大体こんなところでしょうか。

①義理人情に厚い
②面倒見が良い兄貴肌
③女好きなプレイボーイ気質

セフィロス・コピー計画の一環でニブルヘイムの神羅屋敷に捕らわれていたものの、そこから見事に脱出を果たしたザックス。

その際に魔晄中毒により廃人同然となったクラウドを見捨てることなく、逃避行の道中でもポジティブな言葉を投げ掛けるときた。

そして、複数の女の子に助けてもらう気満々でいる、生粋のプレイボーイ感が漂っているモテ男。

少しばかりいい加減で、女性関係にはだらしなくて、それでいて兄貴分なところがある。

悪い言い方をするならば、チャラ男の要素を持ち合わせているソルジャー・クラス1st。

それこそが原作版のFF7で描写されたザックスというキャラクターでした。

しかし!!!

FF7の派生作品(特にPSPで2007年に発売されたFF7CC)では、上記のうち女好きなプレイボーイという要素が希薄になっています。

…と言うか、FF7CCの中盤くらいからは“女好き”であることを示唆しさする描写が完全に消滅します。

ユウ
ユウ

サブヒロインのシスネには目もくれず、もう完全にエアリス一筋の状態なんだよ!

これはこれでアリだと思う反面、原作版のザックスを知っている筆者としては、ぶっちゃけ違和感を禁じ得ないという思いもあるのです。

何と言うか、原作版のチャラい要素が削ぎ落されており、所謂いわゆる良い人になり過ぎている気がするのです。

令和の現在では、エアリスとザックスは相思相愛であることが当然のように考えられています。

しかしながら、ザックスに関する原作版FF7でのイベントシーンを読み解いていくと、ザックスが“エアリス一筋である”という描写は全く存在しないのです!!

それどころか、ザックスにとってエアリスは仲が良い女の子の一人くらいにしか認識していないふしすらあります。

FF7のメインヒロインの一人であり、FFシリーズ全体の中でも屈指の人気を誇るエアリスが、何と“大勢の中の一人ワン・オブ・ゼム”みたいな扱いをされている訳です!!

全世界のエアリスファンにとっては憤慨なことですが、これこそが原作版FF7での真実でもあります。

では、原作版FF7と派生作品とで、ザックスの性格はどのように異なるのでしょうか?

そこで、この記事ではザックスの“女好き”という点に焦点を当てて分析&考察していこうと思います!

ザックスの性格改変の歴史

画像出典:FINAL FANTASY Ⅶ アルティマニアΩ

原作版のFF7において、設定面では重要人物とされていたザックス。

…とは言うものの、実際のゲーム内ではチョイ役の範疇だったことも事実です。

どちらかと言えばクラウドやエアリスの口から過去形で語られることの方が多く、ザックス自身が実際に動いているシーンは極端に少ないという有様でした。

(※1997年10月に発売された「FF7インターナショナル」という所謂いわゆる“完全版”にてザックス関連のイベントシーンが追加され、その人物像について掘り下げが行われました。)

先述した通り、原作版FF7のザックスは“女好き”であることが明白な人物として描かれています。

しかし、2007年に発売したFF7CCにて“女好き”の部分がかなり改変されています。

多少なりともチャラい要素を持ち合わせていたプレイボーイのザックスが、どのようにして現在の人物像に落ち着いたのか?

そんな性格改変の歴史について、ゲーム内での画像を交えながら分析していこうと思います。

① FF7原作でのザックス

神羅屋敷から脱出し、クラウドと共にミッドガルへと向かう道中にて…

仲が良い女の子に匿ってもらう気満々のザックス

しかし、女の子の親とは関わりたくないらしい…

このモテ男特有の溢れ出るプレイボーイ感…

ニブルヘイムの神羅屋敷を脱出後、クラウドと二人でミッドガルへと向かうザックス。

その道中で、ザックスは複数の女の子と親しくしていることを仄めかしています。

どの女の子と、どのくらい親しくしているのか?

エアリスとの関係性を含めて、それは定かではありませんが…

これらの“女好き”を象徴するような台詞の数々により、見る側(=プレイヤー)からすればプレイボーイな印象を受けます。

ユウ
ユウ

ちなみに、ここでの会話ではエアリスの“エ”の字も出てこない…(汗)

ザックスが言う“みんな”の中には、当然ながらエアリスも含まれていると予想されます。

ですが、どこからどう見ても真っ先にエアリスに会いに行こうという感じではありません。

このことから、ザックスにとってエアリスは大勢の中の一人ワン・オブ・ゼムに過ぎないことは明白です。

では、肝心のエアリスはザックスに対してどのような感情を抱いているのでしょうか?

これはもうご存知の通り、エアリスにとってザックスは“初恋の人”です。

エアリス自身も初めて好きになった人とクラウドに明言していますからね。


自分が1stだったと語るクラウド(本当は経歴詐称だけど)

ザックスとクラスが同じであることを知ったエアリス

エアリスの反応が気になって問い返すクラウド

ザックス(=初恋の相手)の存在についてクラウドに語るエアリス

クラウドが「その相手とは付き合っていたのか?」と尋ねるが…

付き合っていたかどうかについては明確に否定したエアリス


これら一連のシーンから察するに、エアリスがザックスに対して好意を抱いていたのは明白です。

その一方で、エアリス自身はザックスと“付き合っていた”とは明言していません。

エアリスはザックスのことを確かに好きだったけれど、残念ながらカップルという形にまでは到達しなかった。

少なくとも、ザックスにとっての本命彼女にまではなれなかった。

このイベントシーンから推測できる情報としては、大体こんなところでしょうか。

このことから、原作版FF7におけるザックスとエアリスは、一般的な彼氏・彼女の関係ではなかったことが窺えます。

ユウ
ユウ

後述するFF7CCとはえらい違いなんだよなぁ…

そして!!!

さらに重要な描写として、エアリスもまたザックスのことを女好きな人物として認識しているふしがあります。

さらに深読みすると、ザックスの“女好き”について快く思っていなかったことをほのめかす描写もあります。

その根拠となるシーンがこちらです。


ザックスの実家にて、彼の行方について訊かれるクラウド一行

ザックスの実母から「ガールフレンドか?」と問われるエアリスだが…

その質問に対してエアリスは肯定しなかった

その後、屋外にてザックスのことをクラウドに語るエアリスだが…

強がりつつもザックスへの未練を感じさせる辺りが生々しい…

ザックスが“女好き”であることはエアリスも知っていたらしい…


原作版FF7でゴンガガを訪れた際、エアリスを連れてザックスの実家に行くと特殊な会話イベントが発生します。

実はこれ、完全に任意のイベントであり、なおかつエアリスが死亡する前でないと発生しないという、原作版のFF7では屈指のレアイベントなんですよね。

そもそもゴンガガ自体、ストーリーをクリアするだけなら自発的に立ち寄らなくてもOKな場所ですからね。

(※古代種の神殿をクリアした後、強制的にゴンガガの宿屋に運ばれるイベントはありますが。)

かくいう筆者自身も、初回プレイではゴンガガの存在そのものに気付かないまま、ゴールドソーサーからコスモキャニオンに到達するという体たらくでした。(汗)

ユウ
ユウ

余談ですが、この場面ではエアリスだけでなくティファも連れて行くことをお勧めします!

ティファとも特殊な会話イベントが発生するので!

何はともあれ、エアリスはあなたがザックスのガールフレンドなのか?という問いに対して肯定することなく、ザックスの実家を出ていきます。

もしエアリスがザックスにとって本命の“ガールフレンド”であり、お互いに深い信頼関係を築いていたのなら、このような反応はしなかったはずです。

この描写から察するに、エアリスはザックスのことを好きだったものの、やはり相思相愛と呼べる程の仲ではなかったことが窺えます。

では、ザックスが両親宛の手紙に記した“ガールフレンド”なる人物とは、一体誰なのでしょうか?

エアリスではない、別の誰かなのでしょうか?

この辺りは原作版FF7の中では明言されていませんので、筆者としてはエアリスを含めた複数の女の子たちを指しているのかなぁと勝手に思っています。

そもそも、ガールフレンドとは読んで字の如く「女友達」であり、必ずしも「恋人」を意味している言葉ではありません。

異性と親密であること。

異性に対して愛情を抱いていること。

これらは似て非なる感情であり、その点についてザックスも認識していたからこそ「恋人(または彼女)」ではなく「ガールフレンド」という表現を使ったのではないでしょうか?

まあ、真実はザックス(…というか制作スタッフ)しか知らない訳ですが…

これら一連のイベントシーンから考えるに、原作版FF7のザックスには“女好き”という側面があり、彼がプレイボーイなモテ男であったことは明白です。

そんなモテ男の魅力にハマってしまい、自分以外の女性とも仲良くしているザックスについて、何かと気を揉んでいたエアリス。

そして結局のところ、ザックスとの関係性はそれ以上発展しないまま、疎遠になってしまったという結末。

しかも、その件についてエアリスは未練を抱いている節もあります。

ザックスとの別離から5年も経っているというのに、エアリスがザックスのことを忘れられずにいるという点もまた、妙に生々しく描写されています。

これはザックスのモテ具合が尋常ではないことを示しているのか、エアリスの一途さを示しているのか、単なる物語上の都合に過ぎないのか。

何れにしても、このような現実世界の恋愛にも通じるようなリアリティが感じられる辺りもまた、ザックスとエアリスの関係性を考察する上では重要な材料なのかなと思っています。

ユウ
ユウ

悲劇のヒロインたるエアリスをここまで惚れさせるとは、ザックスはとんでもない色男だな…

FF7はエアリスが死亡するからこそ“名作”との評価を得たのでは?

② FF7ACのザックス

FF7ACは、原作版FF7の2年後を描いた映像作品です。

本作ではクラウドがザックスとエアリスの死について責任を感じている様子が描かれています。

その兼ね合いにより、ACでのザックスは主にクラウドの回想で出てくるのみです。

…と思いきや、ACの終盤にてザックスとエアリスと軽口を言い合う場面はあります。

そして最終盤では、何とエアリスと共に伍番街スラムの教会に現れ、クラウドに向かって微笑むというシーンも。

ユウ
ユウ

2005年にACを初めて鑑賞した時、僕はこのラストシーンに驚愕&感動した…!!

しかしながら、ACではザックスとクラウドの友情という部分がクローズアップされており、エアリスとの関係性について深くは語られません。

しかし、上述の通り伍番街スラム教会でのラストシーンでは、エアリスとのカップルのように見えなくも無いです。

まあ、あのワンシーンだけでザックスは死んでライフストリームへと還ったことでエアリス一筋になったなどと解釈するのは早計ですが…

少なくとも、原作版のFF7よりはエアリスとの親密度がアップしているのは間違いなさそうです。

③ FF7CCのザックス

エアリスとザックスの出会いが描かれたFF7CC

FF7CCはザックスが主役を務めたゲームです。

ついでに言うと、ザックスというキャラクターの人気が急上昇することに一役買った作品でもあります。

そして、ここまで何度もお伝えしてきた通り、FF7CCではザックスの“女好き”という側面が大幅に改変されています。

…と言うのもですね、ザックスが“女好き”であることが窺える描写そのものが、FF7CCでは不自然と言っていいほどに減らされています。

筆者はFF7CCを2007年の発売当時にリアルタイムでプレイし、裏ボスであるミネルヴァも撃破しています。

さらに、2022年に発売したリマスター版も周回プレイしています。

付け加えると、FF7CCのアルティマニアも熟読しています。

そんな筆者だからこそ断言しますが、FF7CCの作中でザックスの“女好き”が窺えるイベントシーンはこれだけです。

①ミッドガル八番街でシスネを率先して助けようとする
②伍番魔晄炉でシスネと二人きりになろうとする(DMW)
③通りすがりのシスネを晩メシに誘おうとする(DMW)
④神羅ビルの受付嬢を口説こうとする(DMW)
※「DMW(デジタル・マインド・ウェーブ)」とは戦闘中にザックスの記憶が垣間見れるFF7CC独自のシステムです。

シスネはFF7CCにおけるサブヒロインであり、エアリスとはまた違った種類の魅力を持っているキャラクターです。

FF7CCをプレイした人なら知っての通り、シスネはタークスの一員でもあります。

そして意外と知られていないことですが、シスネはエアリスと同年齢なんですね。

(※ミッドガル八番街での初登場時点で16歳であり、エンディング時点では22歳)

シスネって、タークスらしく任務遂行を優先するクールな性格である反面、優しくて健気なところもあるキャラクターなんですよ。

そんな訳で、筆者個人としてはエアリスよりもシスネの方がザックスにお似合いなんじゃないかと思っているほどです。

FF7CCに登場する女性タークス「シスネ」の魅力について語りたい!

ユウ
ユウ

完全に余談だけど、シスネが好き過ぎて【こんな小説】まで書いてしまった…(汗)

しかしながら、①についてはともかく、②~④に至ってはDMWでの演出に過ぎません。

詰まるところ、正規のイベントシーンですらない訳です。

そのため、ザックスの“女好き”を象徴するようなイベントについて深く知ることなくクリアしてしまったプレイヤーも多いかと思います。

…とは言っても、文章だけでは説得力がないので、実際のゲーム画面と共にザックスの“女好き”について検証していきましょう。


「可愛い子がいるじゃん!早く助けて仲良くなりたい!」みたいな下心を感じる…

他部署(=タークス)の美人に鼻の下を伸ばしているようにも見える?


さりげなくシスネと二人きりになろうと画策するザックス


社内でシスネに声を掛けるザックス

「晩メシ」という名目でシスネをデートに誘っている?


神羅ビルにて受付嬢を口説こうとするザックス


美人を見付けた途端、積極的に声を掛けて仲良くなろうとする。

これだけを見れば、原作版FF7のザックスに近い印象を受けます。

しかし、ご覧の通りこれらの描写は全てエアリスと出会う前(あるいは出会って間もない頃)のものです。

実際、ストーリー中盤でエアリスと出会って以降、ザックスはエアリスに傾倒していきます。

ユウ
ユウ

作中の時系列を整理すると…

二人が出会った当時、ザックスは17歳、エアリスは16歳です!

特に、ザックスが髪形を変えて以降(=アンジールからバスターソードを受け継いで以降)は、もはやエアリス一筋と言っても過言ではない状態になります。

コスタ・デル・ソルでの休暇中なんて、水着姿のシスネに目もくれずスクワットに励む始末です。


せっかくシスネが「オイル塗ろうか?」という申し出をしているのに…

「エアリス以外は興味ないね!」などと言わんばかりのザックス


原作版FF7のザックスならば、シスネに対してその水着、似合ってるな!などと言い放ちそうなものです。

しかし、FF7CCのザックスときたら、気の利いたリップサービスなど一切なし。

この時点でのザックスからは“女好き”という要素が全く感じられません。

それどころか、このコスタ・デル・ソルのイベントシーンでは、シスネに対して邪険にしている印象すら受けます。

ユウ
ユウ

実際、シスネには「そんなことはどうでも良い」「あっち行ってろよ」などととげのある物言いをしていますからね…

たとえ本命の相手がエアリスだとしても、もう少しばかりシスネに対して気の利いたことを言えなかったのでしょうか?

実はこの時、シスネはタークスとしての任務でザックスを秘密裏に監視しています。

シスネにとってはコスタ・デル・ソルで休暇を過ごすこと自体、任務の一環なんですよね。

ザックス自身もシスネの任務については勘付いており、だからこそ良い気分ではなかったとも解釈できるのですが…

そういった事情を差し引いても、原作版FF7のザックスを知っている筆者としては違和感を禁じ得ません。

このようにですね、原作版FF7のザックスから漂っていた“女好き”の雰囲気が、FF7CCの中盤以降は鳴りを潜めています。

もはや「お前、誰だよ?」みたいな状態であり、これを一言で表現するなら性格改変と呼ぶ他ありません。

考察:なぜザックスの性格は改変されたのか?

FF7のリメイクシリーズでは準主役級の扱いを受けているザックス

“女好き”という一点だけを見れば、原作版FF7とFF7CCでは別人レベルの性格改変が施されてしまったザックス。

一体どのような意図で制作スタッフは改変を行ったのでしょうか?

ザックスが“女好き”だと不都合な事情でもあったのでしょうか?

もしそうだとしたら、何がどのように不都合だったのでしょうか?

この件について、筆者の見解を述べたいと思います。

FF7CCにてザックスの“女好き”が改変された背景には“商業的な理由”が関わっていると考えています。

そもそも、考えてみてください。

ザックスが主人公のFF7CCというゲームを作るとして、制作スタッフがまず考えるであろうこと。

それを一言で要約するならばどうすればFF7CCが売れるかという点です。

ましてや、FFシリーズとはストーリーに定評がある作品群として広く認知されています。

つまり、プレイヤーの大多数はストーリー重視派な訳です。

たとえスピンオフ作品だとしても、あのFF7の派生作品である以上、ストーリーには否が応でも期待してしまう人が大半でしょう。

ユウ
ユウ

かくいう僕自身も、ストーリー内容に期待してFF7CCを買った人間の一人である!

まあ、筆者の場合は原作版FF7のザックスを知っているからまだ良いのですが…

ザックスに関する事前知識がない人間がFF7CCをプレイした際、もし主人公がチャラいプレイボーイだと分かったら、一体どう思うでしょうか?

しかも、そんなプレイボーイにエアリスが弄ばれるような展開にでもなったら、プレイヤーはどう感じるでしょうか?

再三のことで恐縮ですが、エアリスはFF7のみならずFFシリーズ全体を通じて屈指の人気を誇るヒロインです。

そんな超有名ヒロインが、たとえ若気の至りだとしても、チャラいプレイボーイの主人公に翻弄されたとしたら?

極めつけに、そのプレイボーイがエアリスのことを最初から最後まで大勢の中の一人ワン・オブ・ゼムとして扱っていたとしたら?

どう考えてもプレイヤーの反感を買うことは必至です!!

それどころか、その場合だとザックスのみならず、エアリスまで酷評される可能性すらあります。

なぜかと言うと、プレイヤー目線ではエアリスがプレイボーイに弄ばれたヒロインに見えてしまうからです。

ザックスというチャラ男に惚れた女。

男を見る目がない愚かな女。

結局のところ、ザックスの本命彼女になれなかった女。

もし原作版FF7そのままのザックスが主人公だとしたら、エアリスの役回りはこのような形となります。

ユウ
ユウ

つまり、ヒロインであるエアリスの株が大暴落する訳だ!!

少なくとも、原作版FF7におけるザックスの発言内容に沿ってエアリスのことを描写するとしたら、上記のような評価に落ち着いてしまうのは避けられません。

そんなゲームを、最後までプレイしてクリアする人間がどのくらいいるでしょうか?

ゼロとまでは言いませんが、おそらく途中でさじを投げてしまうプレイヤーも多いのではないでしょうか?


FF7CCというゲームは、主人公がチャラ男で全く感情移入できなかった!
チャラ男に翻弄されるエアリスなんて見たくなかった!
チャラ男のザックスを操作するのが苦痛過ぎて、プレイするのが途中で嫌になってしまった!

このような悪評が広まってしまったら、ゲームそのものが売れなくなる可能性だってあります。

それは即ち、商業的には失敗を意味します。

そのような展開となることを危惧したからこそ、制作スタッフはザックスが“女好き”である点について性格改変を行ったのではないでしょうか?

制作スタッフとてサラリーマンです。

売れるゲームを作るために不安要素を排除することは、至極真っ当な行為だと思います。

詰まるところ、スクエニは商業的な失敗を避けるために、主人公であるザックスがプレイヤーの反感を買わないような性格にする必要があると考えた訳です。(多分…)

しかしながら、原作版FF7の流れを汲むためには、ザックス独自の“女好き”という要素を削ぎ落し過ぎるのも良くない。

そのように腐心した結果が、現在のFF7CCの形なのではないでしょうか?

“女好き”をほのめかすようなシーンはエアリスと出会う前だけに限定しておき、エアリスと出会って以降は“女好き”が前面に出てこないようにする。

そのようなストーリー展開とすることで、エアリスの株が下がらないようにしつつ、原作版FF7とのバランスを取る。

なおかつ、プレイヤーが操作していて好感を抱きやすいような人物像に仕上げる。

このような“大人の事情”が多分に絡んでいたらこそ、ザックスの“女好き”という要素が大幅に薄められ、万人受けするであろう性格へと改変されたのではないでしょうか?

原作版FF7とFF7CCの両方をやり込んだ筆者としては、そのように思えてなりません。

ユウ
ユウ

商業的な理由が関わっているという意味では、FF7リバースの結末に通じる匂いがするな…

FF7リバースのエアリス死亡描写が中途半端でモヤモヤするぞ!!(ネタバレ注意)

余談:キングダムハーツBbSのザックスが原作版FF7に最も近い?

軽い口調でアクア(=美人)をナンパするザックス

何の前触れもなくナンパされて慌てるアクア

ディレクターである野村哲也氏の意向により、FFのキャラクターがゲスト的な扱いで登場するキングダムハーツシリーズ。

その中の1つであるキングダムハーツBirth by Sleepバースバイスリープ(通称:BbS)に、実はザックスも出演しています。

そんなBbS版のザックスですが、筆者は「このザックスこそが原作版FF7に最も近い」と思っています。

…と言うのも、主人公の一人である「アクア」のことをザックスがナンパする場面があるからです。

この時の口調、軽さ、爽やかさ。

どこからどう見ても、女慣れしているモテ男の口説き方にしか見えません。

FF7CCで例えるなら、神羅ビルの受付嬢に声を掛けていた時の雰囲気的に近いですかね。

BbSを初めてプレイした際、原作版FF7で描かれた女好きのザックスにボイスが付くとなれば、多分こんな感じなんだろうなぁと筆者は思ったものです。

ユウ
ユウ

BbSが発売する直前のPVで少しだけザックスのナンパシーンが映った時も、FF&キングダムハーツ好きの界隈では地味に騒がれたものである!

軽妙なノリで、なおかつ空気を吸うのと同じような自然さで、目の前にいる女性を口説こうとするザックス。

ナンパの結果よりも、ナンパという行為そのものを楽しんでいるかのような節すらある。

これこそが、まさに“ザックスの本質”なのではないか?

原作版FF7にて描写された“数多くのガールフレンドがいる”という設定に関して、見事なまでに合致するのではないか?

…などと思ってしまう筆者は異端でしょうか?

原作版FF7のキャラクター性を踏襲しているという意味では、FF7CC版のザックスよりも、キングダムハーツBbS版のザックスの方がシックリくるのです。

筆者としては、FF7CCで描かれた「エアリス馬鹿」なザックスも決して嫌いではありません。

そのように思う反面、やはり原作版FF7で描かれた「女好き」という気質を前面に押し出しているザックスの方が、より自然な姿に見えると言うか…

そこまで考えて、改めて気付いたことがあります。

女好き」という設定と、「エアリス一筋」という設定は、やはり相容れない。

当然、両立もしない。

…と言うか、両立するはずが無い。

だからこそ、FF7CC版のザックスに違和感を覚えてしまう。

BbSでのザックスとアクアのやり取りを見ていると、そのように思ってしまう自分がいます。

ユウ
ユウ

登場する作品は違っても、ザックスにとって美人相手に「デート1回」と声を掛けるのはライフワークみたいなものなのかもな…

余談ですが、アクアの声優は豊口めぐみ氏であり、実はFF7ではイリーナ役を務めています。

髪色は違うものの、アクアとイリーナは顔立ちが似ていることに加え、声まで一緒なのです。

ついでに言うと、二人とも真面目な性格である点まで共通しています。

極めつけに、何と年齢まで一緒です。

(※アクアは「18歳前後」と野村氏が明言しており、イリーナは「18歳」であることがFF7リバースのアルティマニアで判明した。)

ユウ
ユウ

ポンコツ気味なイリーナとは対照的に、キーブレードマスターでもあるアクアは作中屈指の猛者なんだけどね…

FF7リバースの発売によって株を大きく上げたイリーナ

口調こそ異なりますが、イリーナはアクアと共通している部分が複数あるのです。

…ということを考えると、ある意味ではザックスがイリーナをナンパしているとも捉えられます。

このような見方をしてみると、FFだけでなくキングダムハーツもプレイしている筆者にとっては中々面白かったりします。

まとめ:ザックスの性格改変は商業的な理由によるところが大きいと考えられる!

ある意味、ザックスは“制作スタッフ”という名の「神」によって人格を変えられた悲劇の男なのかもしれない…

FF7CCは派生作品でありながらも、売上的には成功を収めた作品だと言われています。

その証拠に、2022年にはリマスター版まで発売されたほどの人気を誇っています。

そんな人気作の主人公であるザックスはどうかと言うと、やはり好評を博しています。

クラウドやエアリスとの関係性は言わずもがなですが…

ザックスの男気溢れる生き方は多くのプレイヤーたちの心を揺さぶり、今日ではFF7における屈指の人気キャラクターという評価を得ています。

このような文章を書いている筆者自身もザックスのことが好きですし、ザックスがいたからこそクラウドは命拾いし、FF7という物語が生まれたとも言えます。

そういった意味では、ザックスはFF7全体を通じて“影の主役”と言っても過言ではない存在なんですよね。

ユウ
ユウ

FF7リバースではザックスが超重要人物として描写されていますが、それも納得できるだけのストーリー性があるキャラクターだと思っています!

そんなザックスというキャラクターの歴史を紐解いていくと、やはりFF7CCの主役に抜擢されたことが大きな転機となったのは間違いありません。

FF7CCをプレイした人ならご存知の通り、この作品でのザックスにはこれでもかと言うくらいヒロイックな要素が詰め込まれています。

アンジールとの死別。

ジェネシスとの対決。

セフィロスとの決裂。

クラウドとの友情。

エアリスとの恋情。

あらゆる場面でプレイヤーが理想とするような英雄ヒーローを演じており、そこに反感や不満といったネガティブな感情が入り込む余地などはありません。

ユウ
ユウ

ザックスは序盤から「俺も英雄になるんだ!」と公言していたけど、まさにその通りのストーリー展開で痺れた…!!

しかしながら、です。

原作版FF7のザックスを知っている筆者からすれば、FF7CCのザックスには少なからず違和感があるのです。

その最たる部分が、この記事で幾度となく語ってきた“女好き”の部分です。

万人受けするように性格改変されたザックスが嫌いな訳ではないのですが、原作版FF7に準拠した“女好きのザックス”を見たかったと思うのは筆者だけでしょうか?

世界各地で女性を口説き、エアリスにも気障キザな台詞を吐きつつ、結局は疎遠になってしまう。

…で、クラウドを守って絶命する間際にあぁ…あの子(エアリス)ともう1回くらいデートしたかったなぁ…などと未練を抱えたままく。

たらればの話をしても仕方ないのですが、そんなストーリー展開も見てみたかったなぁと思う訳です。

そうは言っても、そんなストーリーになったら商業的な失敗を招く可能性が高いのは間違いないですし、ぶっちゃけ詮無い話ではあるのですが…

商業的な理由、つまり“大人の事情”に振り回されることもなく、女性を口説きまくるチャラ男なザックスについて、それはそれで見てみたかったという気持ちがあります。

しかし、それだとエアリスが不憫であることも事実。

結局のところ“女好きのザックス”が日の目を見なかったことは、FF7全体のことを考えると良いことなのかもしれませんね。(汗)

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました!

コメント

  1. 不快な事があったらごめんね より:

    面白い考察でした
    付け加えさせていただくならば、なんでミッドガル目指したの。馬鹿なのザックス
    とよく言われていたので、その辺りの理由つけもかねてエアリスを特別な女性にしたのかなとも思っています
    クラウドもラストにわざわざ「ありかとう」なんて不自然な追加台詞が入っていますし、ザックス・エアリスに限らず登場人物への好感度には神経を使っているのでしょう
    コンピ作品ではありますが、この一本をプレイした満足度も優先されているのは、むしろとても良いと思います
    FF7Rシリーズではエアリス生存という原作と違った要素を望む人間としては、CCFF7に原作との違いも容認せなあかんかなとは思っております

    • ユウ ユウ より:

      不快な事があったらごめんね さん

      コメントありがとうございます!
      「ミッドガルを目指したザックスは馬鹿」という言説、今となってはとても懐かしいです!
      僕自身も「ミッドガルには向かわずに辺境の村(ミディールとか)でクラウドの治療をしつつ、一時的にでも隠遁生活をしていれば死なずに済んだのに…」などと思ったこともあります。

      原作版FF7で脱走兵であるザックスが神羅の総本山であるミッドガルへと向かった理由について、昔は「ミッドガルに保管されているジェノバ(首なしの胴体)によるリユニオンの一環だ」みたいな考察をしている人がいましたね。
      しかし、FF7CCでは完全にエアリス目的でミッドガルへと向かっていますので、ご指摘の通り、やはりゲーム内でのストーリー性を重視しての展開だったのだと思います。

      「FF7CC」という作品を単体として見ると、ストーリーは見事なまでに完成されています。
      しかし、その代償として原作版FF7との齟齬や相違は避けられない。
      その辺りは、我々プレイヤーも割り切って捉えた方が良いのでしょうね。

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